ADM形式
一般相対性理論のハミルトニアン形式
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Arnowitt-Deser-Misner 形式(英: - formalism、略: ADM 形式)は、1959年に発表された正準量子重力理論及び数値相対性理論において重要な役割を果たしている一般相対性理論におけるハミルトン形式[3]。名称は論文の著者である Richard Arnowitt、Stanley Deser、Charles W. Misner による。
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著者らが1962年に発表した ADM 形式に対する広範囲なレビューは[4]、General Relativity and Gravitation にて再版されており[5]、論文の原版はフィジカル・レビューに保存されている[3][6]。
概要
表記
ほとんどの参考文献では、4次元テンソルを抽象添字表記法で記述する表記法が、ギリシャ文字は値(0, 1, 2, 3) を取る時空の表記法が、ラテン文字は値(1, 2, 3)をとる空間の座標の表記法として採用されている。ここでの導出は、上付添字 (4) は 通常は三次元スライスの計量テンソル や完全な四次元時空の計量テンソル などの3次元と4次元の両方のバージョンを持つ量に付加される。
この記事では、繰り返される添字の総和が想定するアインシュタインの縮約記法を使う。 この記事では2つの種類の導関数を使う。偏微分は演算子またはカンマが前に付く下付添字によって表す。共変微分は演算子 またはセミコロンを前に付けた下付添字で表す。
計量テンソル係数の行列の行列式の絶対値は (添字なし).で表される。その他の添字なしで書かれたテンソル記号は などの 対応するテンソルのトレースで表される。
ADM分解
ADM分解 は時空計量を3次元空間座標と1次元時間座標(葉状構造)に分解することを表す。 それは時空計量を 空間的部分と時間的部分に 分離し、これにより、重力場の進化の研究が容易になる。基本的なアイディアは 時空計量を超曲面間の時間発展を表す減衰関数として表現し、そして空間座標を表すシフトベクトルはこれらの超曲面間の変化と3次元空間計量を関連付けて表す。数学的には、この分離は次のように表される。
ここで、 は固有の時間発展は符号化する減衰関数で、 は超曲面間で空間座標がどのように変化するかを表すシフトベクトルである。 は各超曲面上の出現する3次元空間計量である。この分解により時空発展方程式の拘束(空間超曲面上の初期データに関係するもの )と発展方程式(時空の幾何学を1つの超曲面から別の超曲面へどのように変化するかを記述するもの)に分離できる。
ADM形式の導出
ラグランジアン形式
ADM形式の出発点は ラグランジアン密度、
これは完全な時空に対する4次元計量テンソルの行列式の平方根の積とリッチスカラーの積である。これはアインシュタイン・ヒルベルト作用からのラグランジアンである。 導出の望ましい結果は四次元時空内の3次元空間スライスの埋め込みを定義する 。3次元スライスの計量は、
これはハミルトン形式の一般化座標系となる。 正準運動量は次のように計算できる。
標準的なテクニックと定義を使用する。記号 は完全な4次元時空の計量に関連付けられたクリストッフェル記号である。減衰は、
そしてシフトベクトルは、
これらは四次元計量テンソルの残りの要素である。 定式化に必要な量を導き出したら、次の目標はこれらの変数を用いてラグランジアンを書き直すことができる。ラグランジアンの新しい表現は
は、2つの新しい変数で表すと便利である。
そして、
これらはハミルトン拘束と運動量拘束として知られる。減衰関数とシフトベクトルはラグランジアンではラグランジュ乗数として現れる。
運動方程式
ラグランジアンの変数は4次元時空に埋め込まれた3次元空間上の計量テンソルを表すが、ラグランジュ力学の通常の手順を用いて計量 と正準運動量の両方の時間発展を記述する「運動方程式」を導くことは可能であり、また望ましい。結果、
そして、
これは 偏微分方程式の非線形の集合である。 減衰関数とシフトベクトルに関して変化をとることで、拘束方程式を与える。
そして、
そして減衰関数とシフトベクトル自体は任意であり、 座標系は空間と時間の両方で任意に指定できるという事実を反映している。
応用
量子重力への応用
ADM形式を使用すると、 量子力学における特定のハミルトニアンに対応するシュレディンガー方程式を構築するのと同じ方法で量子重力理論 を構築しようとここ見ることができる。すなわち、 正準運動量 と空間計量関数を線形関数微分演算子に置き換える、
より厳密に言えば、 古典的な変数を演算子に置き換えることは交換関係により制限される。ハットは量子力学における演算子を表す。これはホイーラー・ドウィット方程式に関連している。
アインシュタイン方程式の数値解への応用
アインシュタイン方程式に対する厳密解は比較的少ないことが知られている。他の解決策を見つけるために、 数値相対性理論という活発な分野があり、 スパコンを使って方程式のおおよその解を求めている。 このような解を数値的に構築するために、多くの論文は アインシュタイン方程式の定式化は ADM 定式化と密接に関連していることを出発点としている。 最も一般的なアプローチはADM形式に基づいた初期値問題を出発点としている。
ハミルトニアン形式では、基本的なポイントは2次方程式の集合を別の一次方程式に置き換えることが可能である。 私たちはハミルトニアン形式の簡単な方法により、この2次方程式の集合を得ることができる。もちろん、これは数値物理学において非常に便利であり、なぜならコンピュータ用の方程式を準備したい場合、 微分方程式の階数を小さくすることはしばしば便利だからである。
ADMエネルギーと質量
ADMエネルギーは一般相対性理論におけるエネルギーを定義する時の特別な方法であり、これは無限遠で明確に定義された計量テンソルに漸近的に近づくような時空の幾つかの特殊な幾何学にのみ適用可能である。例えば、 漸近的にミンコフスキー空間に近づく時空などである。これらの場合のADMエネルギーは 計量テンソルが規定された漸近形から逸脱する関数として定義される。言い換えると、ADMエネルギーは 無限遠における重力場の強度として計算される。
要求される漸近形が時間に依存しない場合 (それ自身のミンコフスキー空間など)、 すると、時間並進対称性が保たれる。ネーターの定理は、ADMエネルギーが保存されることを意味する。一般相対性理論によると、 全エネルギーの保存則は、より一般的な時間依存の背景では成立しない。 例として、現代宇宙論.では完全に破れている。特定の宇宙インフレーションは「無」からエネルギー(と質量)を生み出すことができる。なぜなら真空エネルギー 密度はほぼ一定だが、宇宙の堆積は 指数関数的に成長する。