ジブチルヒドロキシトルエン
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ジブチルヒドロキシトルエン(dibutylhydroxytoluene)とは、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール(2,6-di-tert-butyl-p-cresol)である。芳香族化合物の1種で、ブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、略称 BHT)の別名も有する。
| 物質名 | |
|---|---|
2,6-Di-tert-butyl-4-methylphenol | |
別名
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| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| ChEBI | |
| ChEMBL | |
| ChemSpider | |
| ECHA InfoCard | 100.004.439 |
| EC番号 |
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| E番号 | E321 (酸化防止剤およびpH調整剤) |
| KEGG | |
PubChem CID |
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| RTECS number |
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| UNII | |
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| C15H24O | |
| モル質量 | 220.356 g/mol |
| 外観 | 白色から黄色の粉末 |
| 匂い | わずかにフェノールのような |
| 密度 | 1.048 g/cm3 |
| 融点 | 70 °C (158 °F; 343 K)[1] |
| 沸点 | 265 °C (509 °F; 538 K)[1] |
| 1.1 mg/L (20 °C)[2] | |
| log POW | 5.32[3] |
| 蒸気圧 | 0.01 mmHg (20 °C)[4] |
| 危険性 | |
| 労働安全衛生 (OHS/OSH): | |
主な危険性 |
可燃性 |
| GHS表示: | |
| Warning | |
| H410 | |
| P273, P391, P501 | |
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |
| 引火点 | 127 °C (261 °F; 400 K)[1] |
| 致死量または濃度 (LD, LC) | |
半数致死量 LD50 |
> 2,000 mg/kg (皮膚, ラット)[5] |
| NIOSH(米国の健康曝露限度): | |
PEL |
None[4] |
REL |
TWA 10 mg/m3[4] |
IDLH |
N.D.[4] |
| 安全データシート (SDS) | [6] |
合成
性質
ジブチルヒドロキシトルエンの水への溶解度は低いのに対し、エタノールには約25パーセント、油脂には30パーセントから40パーセントの濃度で溶解する[7]。つまり、どちらかと言えば脂溶性の高い化合物である。
ジブチルヒドロキシトルエンはトコフェロールとは異なるものの、トコフェロールの合成類似物質として作用し、主として有機化合物が空気中の酸素によって酸化される「自動酸化」を止める働きを持つとされる。この自動酸化は自触媒反応だが、ジブチルヒドロキシトルエンは水素原子を供与する事によって、ペルオキシラジカルをヒドロペルオキシドに変換し、反応過程を終了させる。これは以下のような一般式によって表される。
- 非ラジカル性の化学種
なお、Rはアルキルまたはアリールを示し、ArOHはジブチルヒドロキシトルエンもしくは類似のフェノール性の酸化防止剤と、同様の作用を示す。ジブチルヒドロキシトルエン1分子は、それぞれ2個のペルオキシラジカルと反応する[8]。
用途
食品への添加
問題
合成保存料へ社会的関心が高まったため、ジブチルヒドロキシトルエンに関しては広く研究が行われた。その結果、ジブチルヒドロキシトルエンに発ガン性は確認されていないものの、変異原性は認められた。さらに催奇形性を有する疑いも出てきた。したがって、食品に対するジブチルヒドロキシトルエンの使用は、問題ではないかという指摘が有る。アメリカ合衆国では乳幼児用食品への使用が禁止されている。ジブチルヒドロキシトルエンの使用を、自主的に取りやめている食品会社も見られる。
なお、1976年に東京都練馬区では、学校給食用のポリプロピレン製の食器から微量のBHTが溶出されたため、使用を中断した。他区でも追随する動きが出た[12]。これに対して、ポリオレフィン等衛生協議会は、溶け出してきたとしても極めて微量で許容摂取量を充分に下回るため、充分に安全だと主張した[13]。
関連項目
- ブチルヒドロキシアニソール (BHA)


