Boxed warning
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名称
この警告文が「boxed warning」と呼ばれる理由は、アメリカ食品医薬品局が、この警告文の周囲を「box」で、つまり、枠で囲みなさいと規定しているためである[1]。しかも、黒い枠で囲まれているために、時々「black box warning」と俗に呼ばれたりもする。
意味
評価
経済学者や内科医は、アメリカ食品医薬品局が出した警告による効果を調査した。その調査によれば、この「boxed warning」は所詮、問題が発生してから事後に出される無用な代物だとされた[4]。例えば、ロシグリタゾンの用量を7割にまで減らすように「boxed warning」を出すよう、アメリカ食品医薬品局が命令した時点までには、既に約370万人に処方され、患者の手に渡ってしまっていた。それでも、ロシグリタゾンに関する「boxed warning」をアメリカ食品医薬品局が出してからは、マスコミでの広報や、医療関係者の助言や、科学雑誌の出版などの手法を総合的に用いた結果、ロシグリタゾンの用量は減った。ところが、ロシグリタゾンと同じような警告を出していたピオグリタゾンについては、マスコミでの広報が少なかった結果、その用量は減らなかった[5]。なお、アメリカ合衆国では、特に2004年から「boxed warning」が出た旨を、マスコミを利用して広報する事例が増加した。
事例集
以下は、アメリカ食品医薬品局が出した「boxed warning」の事例である。
精神系の薬物
- 小児から24歳程度までの若年者に抗うつ薬を投与すると、自殺企図のリスクが増すかもしれないと「boxed warning」が出た。
- 2005年に、非定型抗精神病薬を年齢の高い患者に使用すると、痴呆症に至るリスクが出る旨の「boxed warning」が出た。これを受けて、特に痴呆症の高齢患者への非定型抗精神病薬の処方は、アメリカ合衆国では避けられるようになった[6]。
- 2006年2月に、注意欠陥多動性障害などに用いる場合のあるメチルフェニデート(商品名:Ritalin)が、心臓血管障害を引き起こす可能性が有るとして「boxed warning」が出た[7][8]。ところが1ヵ月後に、この「boxed warning」は取り消された[9][10]。
- 2009年7月1日に、ニコチンの依存症から離脱するための補助に使用される場合があるバレニクリン(商品名:Chantix)に、意欲低下から自殺企図や自殺に至る可能性があるとして「boxed warning」が出た[11]。しかし、その後の調査によって積み上げられたエビデンスに基いて、2016年にバレニクリンの「boxed warning」は除去された。
麻薬系鎮痛薬
COX阻害薬
抗血小板薬
糖尿病薬
ホルモン関連薬
モノクローナル抗体
- 2006年に、多発性硬化症の治療に用いるナタリズマブ(商品名:Tysabri)が、進行性多巣性白質脳症を引き起こすリスクを増加させるとして「boxed warning」が出た。ナタリズマブは2004年に上市され、それから間もなく、非常に珍しい疾患であるはずの進行性多巣性白質脳症が、ナタリズマブを投与した3症例に現れた。その後もナタリズマブを投与した者に進行性多巣性白質脳症が現れ続け、
2012年までに約210症例の進行性多巣性白質脳症を発症させた。この2012年までの調査によって、その発症率はナタリズマブを投与した者の1千人に2.1人と見積もられた[19]。あまりにも多いので、結局、2016年現在、アメリカ合衆国ではUnified Commitment to Healthが関わる「TOUCH (Tysabri Outreach)」と呼ばれる、ナタリズマブの処方の管理が実施されている[20]。