C-Fos

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c-Fosは、レトロウイルスがん遺伝子v-fosホモログであるがん原遺伝子(ヒトではFOS)にコードされるタンパク質である[5]。c-Fosはラット線維芽細胞において、FBJ MSV(Finkel–Biskis–Jinkins murine osteogenic sarcoma virus)と呼ばれるウイルス形質転換遺伝子との類似性から発見された[6]。c-FosはFosファミリーの転写因子であり、Fosファミリーには他にFosBFra-1英語版Fra-2英語版が含まれる[7]。c-Fosはc-Junとヘテロ二量体を形成してAP-1複合体となり、標的遺伝子のプロモーターエンハンサー領域のAP-1特異的部位のDNAに結合することで、細胞外のシグナルを遺伝子発現の変化へと変換する[8]。c-Fosは多くの細胞機能で重要な役割を果たしており、さまざまながんで過剰発現していることが知られている。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号FOS, AP-1, C-p55, Fos proto-oncogene, AP-1 transcription factor subunit
染色体14番染色体 (ヒト)[1]
概要 FOS, PDBに登録されている構造 ...
FOS
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1A02, 1FOS, 1S9K

識別子
記号FOS, AP-1, C-p55, Fos proto-oncogene, AP-1 transcription factor subunit
外部IDOMIM: 164810 MGI: 95574 HomoloGene: 3844 GeneCards: FOS
遺伝子の位置 (ヒト)
14番染色体 (ヒト)
染色体14番染色体 (ヒト)[1]
14番染色体 (ヒト)
FOS遺伝子の位置
FOS遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点75,278,826 bp[1]
終点75,282,230 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
12番染色体 (マウス)
染色体12番染色体 (マウス)[2]
12番染色体 (マウス)
FOS遺伝子の位置
FOS遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点85,520,664 bp[2]
終点85,524,047 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 DNA結合
sequence-specific DNA binding
R-SMAD binding
DNA-binding transcription factor activity
DNA-binding transcription activator activity, RNA polymerase II-specific
転写因子結合
クロマチン結合
血漿タンパク結合
protein heterodimerization activity
二本鎖DNA結合
RNA polymerase II core promoter sequence-specific DNA binding
RNA polymerase II cis-regulatory region sequence-specific DNA binding
DNA-binding transcription factor activity, RNA polymerase II-specific
細胞の構成要素 細胞質
細胞質基質

transcription regulator complex
核質
小胞体
neuron projection
細胞核
protein-DNA complex
transcription factor AP-1 complex
生物学的プロセス cellular response to extracellular stimulus
response to muscle stretch
response to immobilization stress
cellular response to calcium ion
response to cytokine
regulation of transcription, DNA-templated
SMAD protein signal transduction
有機環状化合物への反応
response to light stimulus
regulation of transcription by RNA polymerase II
response to progesterone
female pregnancy
response to corticosterone
response to mechanical stimulus
老化
positive regulation of osteoclast differentiation
transcription by RNA polymerase II
神経系発生
cellular response to reactive oxygen species
response to gravity
Fc-epsilon receptor signaling pathway
positive regulation of transcription, DNA-templated
DNAメチル化
リポ多糖への反応
睡眠
cellular response to hormone stimulus
regulation of DNA-binding transcription factor activity
味覚嫌悪
skeletal muscle cell differentiation
response to cold
response to cAMP
炎症反応
transforming growth factor beta receptor signaling pathway
positive regulation of pri-miRNA transcription by RNA polymerase II
毒性物質への反応
positive regulation of transcription by RNA polymerase II
遺伝子発現調節
サイトカイン媒介シグナル伝達経路
cellular response to cadmium ion
positive regulation of neuron death
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_005252

NM_010234

RefSeq
(タンパク質)

NP_005243
NP_005243.1

NP_034364

場所
(UCSC)
Chr 14: 75.28 – 75.28 MbChr 14: 85.52 – 85.52 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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構造と機能

c-Fosは380アミノ酸のタンパク質であり、二量体化のための塩基性ロイシンジッパー領域、C末端にDNA結合・トランス活性化ドメインを持ち、Junタンパク質と同様にホモ二量体を形成することもできる[9]In vitroでの研究では、Jun-Fosヘテロ二量体はJun-Junホモ二量体より安定で、より強いDNA結合活性を持つことが示されている[10]

血清成長因子発がんプロモーターサイトカインUV照射など、さまざまな刺激がc-Fosの発現を誘導する。c-FosのmRNAとタンパク質はこうした刺激に応答して最初に発現するため、最初期遺伝子と呼ばれている。誘導は迅速かつ一過的であり、刺激後15分以内に行われる[11]。c-Fosの活性は翻訳後修飾によっても調節されており、MAPKCDC2PKAPKC英語版などさまざまなキナーゼによってリン酸化が行われる。こうした修飾はタンパク質の安定性、DNA結合活性、転写因子のトランス活性化能に影響を与える[12][13][14]。c-Fosは遺伝子の活性化も抑制も引き起こすが、双方の過程には異なるドメインが関与していると考えられている。

c-Fosは、細胞増殖、分化、生存など重要な細胞イベントに関与している。c-Fosは低酸素血管新生と関係する遺伝子にも関与しているため、その調節異常は発がんの重要な因子となっている[15]。また、c-Fosは細胞極性の喪失や上皮間葉転換を誘導し、乳腺上皮細胞の浸潤と転移をもたらす[16]

臨床的意義

AP-1複合体は形質転換とがんの進行への関与が示唆されている。骨肉腫子宮体癌では、c-Fosの過剰発現は高グレードの病変、予後の悪さと関係している。また、子宮頸部の前がん病変と浸潤性子宮頸癌との比較においては、前がん病変ではc-Fosの発現は有意に低い。c-Fosは、乳がんの生存率低下の独立した予測因子としても同定されている[17]

コカインメタンフェタミン[18]モルヒネ[19]や他の向精神薬[20][21]は、中脳皮質経路英語版前頭前皮質)や中脳辺縁系経路英語版側坐核)でc-Fosの産生を増加させ、その影響は事前の感作によって変動することが示されている[21]

応用

c-Fosは神経の活動電位の発火の際にしばしば発現するため、c-Fosの発現は神経活動の間接的なマーカーとして利用される[22][23]。神経でのc-FosのmRNAのアップレギュレーションは、最近その神経で活動があったことを示している[24]

c-Fosのプロモーター薬物乱用の研究においても利用されている。このプロモーターを用いてラットの導入遺伝子をオンにし、特定の神経細胞集団を操作することで、薬物と関連した記憶や行動における役割の評価を行うことができる[25]。こうした神経細胞の制御は、オプトジェネティクスDREADDでも再現可能である[26]

相互作用

c-Fosは次に挙げる因子と相互作用することが示されている。

Overview of signal transduction pathways involved in apoptosis.

出典

関連文献

関連項目

外部リンク

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