CCL2

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CCL2(C-C motif chemokine ligand 2)は、CCケモカインファミリーに属するサイトカインである。MCP-1(monocyte chemoattractant protein 1)、SCYA2(small inducible cytokine A2)といった名称でも知られる。CCL2は細胞の力学的性質を緊密に調節し[5]、組織損傷や感染による炎症部位へ単球メモリーT細胞樹状細胞をリクルートする[6][7]

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号CCL2, GDCF-2, HC11, HSMCR30, MCAF, MCP-1, MCP1, SCYA2, SMC-CF, C-C motif chemokine ligand 2
染色体17番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
CCL2
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1DOK, 1DOL, 1DOM, 1DON, 1ML0, 2BDN, 2NZ1, 4DN4, 3IFD, 4R8I, 4ZK9

識別子
記号CCL2, GDCF-2, HC11, HSMCR30, MCAF, MCP-1, MCP1, SCYA2, SMC-CF, C-C motif chemokine ligand 2
外部IDOMIM: 158105 MGI: 108224 HomoloGene: 2245 GeneCards: CCL2
遺伝子の位置 (ヒト)
17番染色体 (ヒト)
染色体17番染色体 (ヒト)[1]
17番染色体 (ヒト)
CCL2遺伝子の位置
CCL2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点34,255,274 bp[1]
終点34,257,208 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
11番染色体 (マウス)
染色体11番染色体 (マウス)[2]
11番染色体 (マウス)
CCL2遺伝子の位置
CCL2遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点81,992,671 bp[2]
終点81,994,226 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 受容体結合
protein kinase activity
cytokine activity
血漿タンパク結合
chemokine activity
CCR2 chemokine receptor binding
CCR chemokine receptor binding
細胞の構成要素 細胞外領域
細胞外空間
細胞内
生物学的プロセス negative regulation of neuron apoptotic process
viral genome replication
negative regulation of natural killer cell chemotaxis
タンパク質リン酸化
細胞表面受容体シグナル伝達経路
humoral immune response
血管新生
positive regulation of ERK1 and ERK2 cascade
animal organ morphogenesis
cellular homeostasis
cellular response to fibroblast growth factor stimulus
positive regulation of GTPase activity
炎症反応
Gタンパク質共役受容体シグナル伝達経路
monocyte chemotaxis
G protein-coupled receptor signaling pathway, coupled to cyclic nucleotide second messenger
cellular response to organic cyclic compound
走化性
細胞接着
免疫応答
regulation of cell shape
リポ多糖を介したシグナル伝達経路
receptor signaling pathway via JAK-STAT
細菌への反応
Akt/PKBシグナル経路
astrocyte cell migration
negative regulation of glial cell apoptotic process
PERK-mediated unfolded protein response
MAPK cascade
positive regulation of calcium ion import
cytoskeleton organization
シグナル伝達
regulation of signaling receptor activity
neutrophil chemotaxis
helper T cell extravasation
macrophage chemotaxis
positive regulation of T cell activation
positive regulation of nitric-oxide synthase biosynthetic process
chemokine-mediated signaling pathway
cellular response to lipopolysaccharide
cellular response to interferon-gamma
cellular response to interleukin-1
cellular response to tumor necrosis factor
positive regulation of apoptotic cell clearance
サイトカイン媒介シグナル伝達経路
negative regulation of vascular endothelial cell proliferation
negative regulation of G1/S transition of mitotic cell cycle
positive regulation of endothelial cell apoptotic process
eosinophil chemotaxis
lymphocyte chemotaxis
侵害受容
positive regulation of synaptic transmission, glutamatergic
positive regulation of NMDA glutamate receptor activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_002982

NM_011331

RefSeq
(タンパク質)

NP_002973

NP_035461

場所
(UCSC)
Chr 17: 34.26 – 34.26 MbChr 17: 81.99 – 81.99 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
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遺伝学

ヒトゲノム中では、CCL2やその他多くのCCケモカインの遺伝子は17番染色体英語版(17q11.2-q21.1)に位置している[8]CCL2遺伝子は1927塩基対の長さで、3つのエクソンと2つのイントロンから構成される。CCL2のタンパク質前駆体は23アミノ酸からなるシグナルペプチドを含んでおり、成熟型CCL2は76アミノ酸からなる[9][10]

ヒトでは、CCL2濃度は個体によって大きく異なる場合がある。ヨーロッパにルーツを持つ白人の場合、CCL2濃度の多変量補正遺伝率は、血漿中濃度に関しては0.37、血清中濃度に関しては0.44である[11][12]

分子生物学

CCL2は、約13-15 kDa(グリコシル化の程度に依存する)の単量体型ポリペプチドである[13]。CCL2はプロテオグリカングリコサミノグリカン側鎖によって内皮細胞細胞膜に固定されている。CCL2は主に単球、マクロファージ、樹状細胞によって分泌される。PDGFCCL2遺伝子の主要なインデューサーである。

CCL2が結合する細胞表面受容体は、CCR2英語版CCR4英語版である[14]

CCL2は単球と好塩基球に対する走化性活性を示す。一方で、好中球好酸球は誘引しない。CCL2はN末端残基を除去することで好塩基球に対する誘引活性を喪失し、好酸球に対する化学誘引物質となる。CCL2処理された好塩基球とマスト細胞は細胞間隙へ顆粒を放出する。この作用は、IL-3英語版やその他のサイトカインによる前処理によって増強される[15][16]。CCL2は単球の抗腫瘍活性を高め、肉芽腫の形成に必要不可欠である。メタロプロテアーゼMMP-12英語版によって切断された場合には、CCL2はCCR2のアンタゴニストとして作用する[17]

CCL2は歯の萌出部位や骨の分解部位にもみられる。骨では、CCL2は成熟型破骨細胞骨芽細胞で発現し、NF-κBの制御下に置かれている。CCL2とRANTESは、RANKL英語版が存在しない場合でもM-CSF処理単球からTRAP英語版陽性多核細胞の形成を誘導することができるが、生み出された破骨細胞はカテプシンKの発現と吸収能力を欠く。CCL2とRANTESはヒトの破骨細胞の分化において自己分泌ループを形成していると考えられている[18]

CCL2は神経細胞アストロサイトミクログリアでも発現している。神経細胞でのCCL2の発現は、主に大脳皮質淡蒼球海馬室傍核視索上核視床下部外側野、黒質顔面神経核三叉神経運動核・脊髄路核、巨大細胞性網様核英語版、小脳のプルキンエ細胞でみられる[19]

臨床的意義

CCL2は、乾癬関節リウマチアテローム性動脈硬化など、単球の浸潤によって特徴づけられるいくつかの疾患の病因への関与が示唆されている[20]

糸球体腎炎モデルでは、抗CCL2抗体の投与によってマクロファージやT細胞の浸潤が低下し、半月体の形成、瘢痕化、腎機能不全が緩和される[21]

CCL2は、神経変性によって特徴づけられるさまざまな中枢神経系疾患で生じる神経炎症過程に関与している[22]グリア細胞でのCCL2の発現は、てんかん[23][24]脳虚血[25]アルツハイマー病[26]実験的自己免疫性脳脊髄炎[27]外傷性脳損傷[28]において増加している。

CCL2のプロモーター領域のCpG部位の低メチル化は高血糖高中性脂肪の影響を受け、血清中のCCL2濃度が上昇する。このことは2型糖尿病の血管合併症に重要な役割を果たしている[29]

CCL2はCCR2非依存的に、ERK1英語版/ERK2/JNK-AP1経路やNF-κB関連経路を介してアミリンの発現を誘導する。CCL2によるアミリンのアップレギュレーションは、肥満時にみられる血漿アミリン濃度の上昇やインスリン抵抗性に寄与している[30]

脂肪細胞は、脂肪組織骨格筋のネガティブなクロストークに関与するさまざまなアディポカインを分泌する。CCL2は生理的血漿中濃度(200 pg/mL)と同程度の用量で、ERK1/2の活性化を介して骨格筋のインスリンシグナル伝達の機能不全をもたらすが、この過程にはNF-κB経路の活性化は関与していない。CCL2は筋細胞でのインスリン刺激によるグルコースの取り込みを大きく低下させる。CCL2は脂肪組織と骨格筋のネガティブなクロストークにおいて両者を関連づける分子となっており、CCL2の炎症以外の重要な役割である可能性がある[31]

HL-1心筋細胞やヒト筋細胞を酸化LDL存在下で培養するとBNPやCCL2が誘導されるが、非酸化LDLではこうした効果は見られない[32]

加齢と関連した肝炎の症状を示す老齢マウスに対してメラトニン処理を行うと、オスではTNF-αIL-1βヘムオキシゲナーゼHO-1英語版HO-2英語版)、iNOS、CCL2、NF-κB1英語版NF-κB2英語版NKAP英語版のmRNAの発現が減少する。また、TNF-αとIL-1βのタンパク質発現も低下し、IL-10が増加する。メラトニンの外因性投与は炎症を緩和させることができる[33]

出典

関連文献

外部リンク

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