CD44

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CD44は、細胞間相互作用、細胞接着遊走に関与する細胞表面糖タンパク質である。ヒトでは、CD44は11番染色体英語版に位置するCD44遺伝子にコードされる[5]。CD44はHCAM(homing cell adhesion molecule)、 Pgp-1(phagocytic glycoprotein-1)、 Hermes抗原(Hermes antigen)、lymphocyte homing receptor、ECM-III、 HUTCH-1といった名称で呼ばれることもある。

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号CD44, CDW44, CSPG8, ECMR-III, HCELL, HUTCH-I, IN, LHR, MC56, MDU2, MDU3, MIC4, Pgp1, CD44 molecule (Indian blood group)
染色体11番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
CD44
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1POZ, 1UUH, 2I83, 4PZ3, 4PZ4

識別子
記号CD44, CDW44, CSPG8, ECMR-III, HCELL, HUTCH-I, IN, LHR, MC56, MDU2, MDU3, MIC4, Pgp1, CD44 molecule (Indian blood group)
外部IDOMIM: 107269 MGI: 88338 HomoloGene: 508 GeneCards: CD44
遺伝子の位置 (ヒト)
11番染色体 (ヒト)
染色体11番染色体 (ヒト)[1]
11番染色体 (ヒト)
CD44遺伝子の位置
CD44遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点35,138,882 bp[1]
終点35,232,402 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
2番染色体 (マウス)
染色体2番染色体 (マウス)[2]
2番染色体 (マウス)
CD44遺伝子の位置
CD44遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点102,641,486 bp[2]
終点102,732,010 bp[2]
RNA発現パターン




さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 collagen binding
血漿タンパク結合
hyaluronic acid binding
cytokine receptor activity
膜貫通シグナル伝達受容体活性
細胞の構成要素 integral component of membrane
ゴルジ体
macrophage migration inhibitory factor receptor complex

焦点接着
細胞膜
integral component of plasma membrane
cell surface
エキソソーム
細胞質基質
secretory granule membrane
apical plasma membrane
lamellipodium membrane
cell projection
微絨毛
basolateral plasma membrane
生物学的プロセス negative regulation of cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic process
monocyte aggregation
positive regulation of heterotypic cell-cell adhesion
hyaluronan catabolic process
negative regulation of intrinsic apoptotic signaling pathway in response to DNA damage by p53 class mediator
interferon-gamma-mediated signaling pathway
extracellular matrix disassembly
extracellular matrix organization
negative regulation of apoptotic process
cellular response to fibroblast growth factor stimulus
positive regulation of peptidyl-serine phosphorylation
軟骨形成
細胞接着
negative regulation of DNA damage response, signal transduction by p53 class mediator
positive regulation of ERK1 and ERK2 cascade
positive regulation of peptidyl-tyrosine phosphorylation
cell-matrix adhesion
positive regulation of monocyte aggregation
leukocyte migration
好中球脱顆粒
wound healing, spreading of cells
regulation of lamellipodium morphogenesis
cell-cell adhesion
炎症反応
遊走
T cell activation
positive regulation of kinase activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)
NM_000610
NM_001001389
NM_001001390
NM_001001391
NM_001001392

NM_001202555
NM_001202556
NM_001202557

NM_001039150
NM_001039151
NM_001177785
NM_001177786
NM_001177787

NM_009851

RefSeq
(タンパク質)
NP_000601
NP_001001389
NP_001001390
NP_001001391
NP_001001392

NP_001189484
NP_001189485
NP_001189486

NP_001034239
NP_001034240
NP_001171256
NP_001171257
NP_001171258

NP_033981

場所
(UCSC)
Chr 11: 35.14 – 35.23 MbChr 11: 102.64 – 102.73 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
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組織分布とアイソフォーム

CD44は哺乳類の多くの細胞種で発現している。大部分の細胞種で発現している標準的なアイソフォームはCD44sと表記され、エクソン1–5と16–20から構成される。その他異なるエクソンを持つスプライスバリアントはCD44vと表記される。一部の上皮細胞では、エクソンv8–10を含む大きなアイソフォーム(CD44E)も発現している[6]

機能

CD44はリンパ球の活性化、再循環やホーミング、造血腫瘍転移など広範囲の細胞機能に関係している。

CD44はヒアルロン酸受容体であるとともに、オステオポンチンコラーゲンマトリックスメタロプロテアーゼなど、その他のリガンドとも相互作用する。CD44の機能は翻訳後修飾によって制御されている。重要な修飾の1つとしてシアロフコシル化(sialofucosylation)があり、HCELL(Hematopoietic Cell E-selectin/L-selectin Ligand)と呼ばれるセレクチン結合型グリコフォームが形成される[7]

CD44遺伝子の転写産物は複雑な選択的スプライシングを受け、機能的に異なる多くのアイソフォームが形成される。選択的スプライシングはCD44タンパク質の構造的・機能的多様性の基礎となっており、がんの転移と関係している可能性もある。結腸がん細胞においてCD44のスプライスバリアントは、がん転移過程と関係した血流条件下でP-L-E-セレクチンのリガンド、そしてフィブリンフィブリノゲンではない)の受容体として機能する、シアロフコシル化HCELLグリコフォームを発現する[8][9]

HCELL

HCELLグリコフォームはもともとヒト造血幹細胞と白血病性芽球から発見されたが[7][10][11][12]、その後がん細胞でも同定された[9][13][14][15][16]。HCELLは骨へのホーミングレセプターとして機能し、ヒト造血幹細胞や間葉系幹細胞骨髄への遊走を指揮する[11]Ex vivoでの生細胞表面の糖鎖エンジニアリングによって、いかなる細胞でもCD44を強制的に発現させることができる[17]。また、CD44のグリコシル化によってフィブリンやフィブリノゲンへの結合能は直接的に制御される[8][18]

臨床的意義

白血病細胞上に高レベルで発現しているCD44は、白血病の発症に必要不可欠である[19]。また、CD44の特定のバリアントは頭頸部扁平上皮がんのプログレッションとも関係している[20][21]。選択的スプライシングや翻訳後修飾によって、おそらく腫瘍特異的なものも含めて、多くの異なる配列を持つCD44が産生されるため、抗CD44腫瘍特異的医薬品は現実的な治療アプローチとなる可能性がある[22]

一方で、多くのがん(腎臓がん非ホジキンリンパ腫は除く)において、CD44の高レベルの発現は常に転帰不良と関係しているわけではない[23]。反対に一部の新生物では、CD44のアップレギュレーションは転帰良好と関係している。このことは前立腺がんに当てはまり、CD44v5バリアント(v5エクソンが含まれている)は予後の良さ(手術後の再発期間の増加)と関係している[23][24]。前立腺がんでは、選択的スプライシングによるv5エクソンの除去にはRNA結合タンパク質KHDRBS1の存在が関係しており、YTHDC1英語版もしくはMTDHの発現が増加している場合にはv5エクソンが組み込まれる[24]。また、CD44の発現は上皮性卵巣がんにおいても患者の生存期間の増加の指標となる[25]

その他の疾患の場合には、異なる研究グループによる同じ腫瘍性疾患の解析によって、CD44の発現と疾患の予後の相関に関して矛盾する結果が得られており、おそらく解析手法の差異が原因となっていると考えられる。抗CD44治療をヒトのがんに対して適用する前に、まずこうした問題の解消が必要である[23]

子宮内膜症の女性の子宮内膜細胞では、CD44の特定のスプライスバリアントの発現の上昇と腹腔細胞への接着の増加が観察される[26]

相互作用

CD44は次に挙げる因子と相互作用することが示されている。

出典

関連文献

外部リンク

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