FYN

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FYN(fibroblast Yes related novel)は、ヒトではFYN遺伝子にコードされる酵素プロテインキナーゼ)である[5][6]

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号FYN, SLK, SYN, p59-FYN proto-oncogene, Src family tyrosine kinase
染色体6番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
FYN
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1A0N, 1AOT, 1AOU, 1AVZ, 1AZG, 1EFN, 1FYN, 1G83, 1M27, 1NYF, 1NYG, 1SHF, 1ZBJ, 2DQ7, 3H0F, 3H0H, 3H0I, 3UA6, 3UA7, 4D8D, 4EIK, 2MQI, 2MRJ, 2MRK, 4U17, 4U1P, 4ZNX

識別子
記号FYN, SLK, SYN, p59-FYN proto-oncogene, Src family tyrosine kinase
外部IDOMIM: 137025 MGI: 95602 HomoloGene: 48068 GeneCards: FYN
遺伝子の位置 (ヒト)
6番染色体 (ヒト)
染色体6番染色体 (ヒト)[1]
6番染色体 (ヒト)
FYN遺伝子の位置
FYN遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点111,660,332 bp[1]
終点111,873,452 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
10番染色体 (マウス)
染色体10番染色体 (マウス)[2]
10番染色体 (マウス)
FYN遺伝子の位置
FYN遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点39,368,855 bp[2]
終点39,565,381 bp[2]
RNA発現パターン




さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 CD4 receptor binding
transmembrane transporter binding
protein-containing complex binding
血漿タンパク結合
CD8 receptor binding
キナーゼ活性
tubulin binding
受容体結合
ATP binding
protein kinase activity
金属イオン結合
peptide hormone receptor binding
T cell receptor binding
トランスフェラーゼ活性
ephrin receptor binding
ヌクレオチド結合
growth factor receptor binding
phosphatidylinositol 3-kinase binding
G protein-coupled receptor binding
non-membrane spanning protein tyrosine kinase activity
phosphatidylinositol-4,5-bisphosphate 3-kinase activity
protein tyrosine kinase activity
酵素結合
identical protein binding
シグナルトランスデューサー活性
type 5 metabotropic glutamate receptor binding
alpha-tubulin binding
tau protein binding
tau-protein kinase activity
disordered domain specific binding
細胞の構成要素 細胞質

extrinsic component of cytoplasmic side of plasma membrane
ミトコンドリア
細胞核
脂質ラフト
細胞内膜で囲まれた細胞小器官
マイクロフィラメント
細胞周辺
エンドソーム
細胞膜
細胞質基質
シナプス後肥厚
樹状突起
cell body
perinuclear region of cytoplasm
perinuclear endoplasmic reticulum
glial cell projection
Schaffer collateral - CA1 synapse
glutamatergic synapse
postsynaptic density, intracellular component
生物学的プロセス negative regulation of neuron apoptotic process
適応免疫反応
学習
platelet activation
細胞表面受容体シグナル伝達経路
vascular endothelial growth factor receptor signaling pathway
食性
response to ethanol
calcium ion transport
regulation of apoptotic process
cellular response to transforming growth factor beta stimulus
Fc-gamma receptor signaling pathway involved in phagocytosis
negative regulation of protein catabolic process
transmembrane receptor protein tyrosine kinase signaling pathway
stimulatory C-type lectin receptor signaling pathway
遺伝子発現の負の調節
自己リン酸化
T cell activation
detection of mechanical stimulus involved in sensory perception of pain
細胞分化
dendrite morphogenesis
リン酸化
免疫系プロセス
neuron migration
cellular response to platelet-derived growth factor stimulus
regulation of cell shape
peptidyl-tyrosine autophosphorylation
phosphatidylinositol-mediated signaling
leukocyte migration
positive regulation of protein localization to nucleus
intracellular signal transduction
activated T cell proliferation
ephrin receptor signaling pathway
cellular response to growth factor stimulus
T cell costimulation
凝固・線溶系
mitigation of host defenses by virus
MAPK cascade
軸索誘導
多細胞個体の発生
negative regulation of protein ubiquitination
cellular response to peptide hormone stimulus
regulation of cell population proliferation
positive regulation of neuron projection development
positive regulation of I-kappaB kinase/NF-kappaB signaling
positive regulation of phosphatidylinositol 3-kinase signaling
peptidyl-tyrosine phosphorylation
前脳発生
negative regulation of extrinsic apoptotic signaling pathway in absence of ligand
T cell receptor signaling pathway
遊走
viral process
自然免疫
positive regulation of GTPase activity
phosphatidylinositol phosphate biosynthetic process
regulation of phosphatidylinositol 3-kinase signaling
タンパク質リン酸化
中枢神経系発生
regulation of peptidyl-tyrosine phosphorylation
positive regulation of protein targeting to membrane
positive regulation of neuron death
negative regulation of dendritic spine maintenance
response to amyloid-beta
regulation of calcium ion import across plasma membrane
response to singlet oxygen
心臓のプロセス
negative regulation of hydrogen peroxide biosynthetic process
サイトカイン媒介シグナル伝達経路
positive regulation of tyrosine phosphorylation of STAT protein
過酸化水素への反応
シナプス伝達の制御
positive regulation of protein kinase B signaling
dendritic spine maintenance
regulation of glutamate receptor signaling pathway
negative regulation of oxidative stress-induced cell death
positive regulation of non-membrane spanning protein tyrosine kinase activity
cellular response to L-glutamate
cellular response to glycine
positive regulation of protein localization to membrane
positive regulation of cysteine-type endopeptidase activity
cellular response to amyloid-beta
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001242779
NM_002037
NM_153047
NM_153048
NM_001370529

NM_001122892
NM_001122893
NM_008054

RefSeq
(タンパク質)

NP_002028
NP_694592
NP_694593
NP_001357458

NP_001116364
NP_001116365
NP_032080

場所
(UCSC)
Chr 6: 111.66 – 111.87 MbChr 6: 39.37 – 39.57 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
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FYNはSrcファミリーキナーゼ英語版に属する約59 kDaのタンパク質であり、発生過程や正常生理においてT細胞神経細胞のシグナル伝達と関係している。これらのシグナル伝達経路の破壊はさまざまながんの形成に影響を及ぼすことが多い。FYN遺伝子はがん原遺伝子であり、FYNは細胞成長の調節を補助するタンパク質である。DNA配列の変化によってFYN遺伝子はがん遺伝子へと変化し、正常な細胞調節に影響を及ぼすようになる[5][7]。FYNはチロシンキナーゼ英語版ファミリーに属し、細胞成長の制御への関与が示唆される膜結合型チロシンキナーゼである。FYNはPI3キナーゼのp85サブユニットと結合し、FYB英語版と相互作用する。FYN遺伝子には異なるアイソフォームをコードする選択的スプライシングバリアントが存在している[8]

歴史

FynはSrcファミリーキナーゼ(SFK)の一員である。Srcファミリーは1976年に発見され、1989年にJ・マイケル・ビショップハロルド・ヴァーマスに対してノーベル生理学・医学賞が授与された。Fynは1986年にv-yesv-fgr由来のプローブを用いて同定され、当時はSynまたはSlkと命名されていた。SFKに共通する特徴は、一般的にがんでアップレギュレーションされているということである。FynはFAKパキシリンと相互作用して細胞の形態や運動性を調節しているという点で、このファミリーの中でも独特である[9]

機能

Fynは、Rasを活性化するインテグリンを介したシグナル伝達経路に関与している。FynはSrcファミリーの非受容体型チロシンキナーゼである(このファミリーにはAblSrc、FAK、JAKなども含まれる)[10]。Fynはいくつかの細胞表面受容体の下流に位置し、神経発生やT細胞シグナル伝達と関係していることが多い。Fynが活性化されると、細胞の成長や運動性に重要な過程を駆動する下流の分子シグナルが活性化される[9]。Fynは主に細胞膜細胞質側に局在しており、そこでさまざまなシグナル伝達経路に関与する重要な標的のチロシン残基をリン酸化する。Fynによる標的タンパク質のチロシンリン酸化は標的タンパク質の活性の調節や、標的タンパク質が他のシグナル伝達分子をリクルートするための結合部位の形成をもたらす。こうした正常な生物学的機能が損なわれた場合、変化したFynは正常細胞からがん細胞への形質転換(非浸潤性から浸潤性へ、そして転移性への変化)に関与するようになる[7]

また、Fynは精子が相互作用した際に生じるIP3を介した迅速なカルシウムシグナルなど、受精の際に重要な役割を果たしているようである。卵母細胞におけるFynの発現レベルは神経細胞やT細胞よりも高く、卵母細胞特異的キナーゼであることが示唆されてきた[11]。いくつかの研究では、Fynが卵母細胞成熟過程において細胞皮質で生じる劇的な生化学的変化を担うことが指摘されている[12]。Fynは精巣においては精子頭部と先体の適切な形態形成に重要な役割を果たしている可能性があり、そしておそらく先体反応にも関与している[13]

シグナル伝達経路における役割

がんは正常な経路の機能不全によって引き起こされるため、がんにおけるFynの役割を理解するためには、正常な生物学におけるFynの役割を理解することが重要となる。Fynがどのような過程に関与しているかを理解することは、Fynによる無制御なシグナルを減弱させるための将来的な薬剤開発へ向けて重要な知見となる。

特定のシグナル伝達経路におけるFynの機能の必要性を明らかにするために、次に挙げるようなツールが有用となる。

  • Fyn-/-マウス(もしくはFyn、Src、Yes英語版トリプルノックアウトマウス(SYF))由来細胞
  • Fynのキナーゼ不活性型ドミナントネガティブ変異体(K299M)
  • PP2英語版など、Srcファミリーキナーゼの薬理的阻害剤(PP2はAbl、PDGFR英語版c-Kitなど他のチロシンキナーゼも阻害する)

こうしたツールを用いることで、FynはT細胞B細胞受容体シグナル伝達[14][15]、インテグリンを介したシグナル伝達、成長因子サイトカイン受容体英語版を介したシグナル伝達、イオンチャネルの機能、細胞接着軸索誘導、受精、有糸分裂への移行、NK細胞オリゴデンドロサイトケラチノサイトの分化、といったシグナル伝達経路に必要であることが示されている。FynはTLRを介したT細胞による免疫応答にも重要な役割を果たしている[16]

相互作用

FYNは次に挙げる因子と相互作用することが示されている。

がん生物学における役割

Srcファミリーキナーゼは一般に、浸潤や腫瘍の進行、上皮間葉転換血管新生転移の発生といった、がんのプログレッションの全ての特徴と関係している[9]。Fynの細胞成長や増殖における機能が、がん細胞のプログレッションや転移に利用されている可能性がある。Fynの過剰発現は正常細胞の形態的形質転換を駆動したり、足場非依存性増殖や顕著な形態変化を増加させたりすることが知られている[5]

FYNの過剰発現は、前立腺がん膠芽腫頭頸部扁平上皮がん膵臓がん慢性骨髄性白血病メラノーマとの関係が研究されている[5][76]。FYNの過剰発現は前立腺がんではAktの抗アポトーシス活性を促進し、正常な細胞死経路を回避する能力の獲得をもたらす(これはがんの一般的特徴の1つである)[7]。さらに膠芽腫では、SRCとFYNは発がん性EGFRシグナルのエフェクターであることが知られており、腫瘍の浸潤とがん細胞の生存をもたらす[5]

細胞遊走や接着におけるFYNの機能は、がん成長のためにインテグリンやFAKの利用を可能にする。インテグリンは細胞外マトリックスと相互作用し、細胞の形状や運動性に影響を及ぼすシグナルを伝達する細胞表面受容体である。FAKはフォーカルアドヒージョン英語版へリクルートされるチロシンキナーゼであり、指向性を持った細胞運動に重要な役割を果たしている。これらの経路は形状や運動性に影響を及ぼす細胞イベントを媒介しているため、その異常によってがん細胞の形状や運動性の変化が可能となり、高度な浸潤や転移の可能性が高まっている可能性がある。がんのプログレッションにおけるFynの役割が研究されている他の経路としては、Rac英語版RhoファミリーGTPアーゼ、Ras、ERKMAPKなどがある[5][7]

このような理由により、FYNは抗がん治療研究において一般的な標的となっている。FYN(やその他のSrcファミリーキナーゼ)の阻害は、細胞成長の低下を引き起こす。さらに、内在性Fynの競合的阻害因子となるキナーゼ不活性型Fynの発現は、マウスの原発腫瘍のサイズを縮小させることが示されている。FAKやパキシリンの阻害だけでなく、FYN特有の識別特性を特異的に標的化することで、非常に効果的な分子標的併用治療となる可能性がある[7][9]。また、FYN阻害剤はアルツハイマー病治療約としての可能性も研究されている[77]

出典

関連文献

外部リンク

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