Wikiwand AI

HOOKSOFT

日本のアダルトゲームブランド From Wikipedia, the free encyclopedia

HOOKSOFT(フックソフト)は株式会社ロボプランニングによるアダルトゲームのブランド。 2008年12月2日以前の名称はHOOK(フック)。パートナーブランドの一員。HOOK SOFTWARE CREATIONS(フックソフトウェアクリエイションズ)とも。

ジャンル ゲーム
企業名 株式会社ロボプランニング
審査 EOCS(一部作品はCSA)
特記事項 パートナーブランド加盟ブランド
概要 ジャンル, 企業名 ...
HOOKSOFT
ジャンル ゲーム
企業名 株式会社ロボプランニング
審査 EOCS(一部作品はCSA)
特記事項 パートナーブランド加盟ブランド
HOOKSOFT(HOOK)
デビュー作 雨あがりの猫たちへ
2001年6月15日
最新作 トリプルペアリング -Triple Pairing-
2026年5月29日
公式サイト HOOKSOFT OFFICIAL WEB SITE
TJR
デビュー作 tan.
2006年12月22日
最終作 BackStage
2008年8月8日
SMEE
デビュー作 リリミエスタ
2007年3月23日
最新作 ドカイチャ!!ラブピカルポッピー!
2024年12月20日
テンプレートを表示
閉じる

姉妹ブランドとして、SMEEASa Project、低価格ブランドのTily[1]、そして家庭用ゲーム機向けの移植専門ブランドAirVelocityがある。活動中止した[2]ブランドにはTJR[3]があった。

HOOKSOFTとSMEEは設立時より共通のスタッフで演出・編集を行っており、基本的に制作陣は同一である[4]。なお、ASa Projectは同一法人ではあるがホームページおよび構成スタッフは異なる[5]

経緯

サークル時代

イトセキミナトは、高校3年生時に同学年のkeiをさそい、同人サークル「ティングアベル」を結成した[6]武田弘光は高校時代に自作のホームページにCGを載せていたところ、イトセキに見止められた[6]。山根呂兵はゲーム専門学校に行った後に、インターネットのチャットにおいてイトセキに誘われて「ティングアベル」に参加した[6]。川波無人は一般企業に勤めた後、ゲーム制作の夢を諦めきれずゲームデザイナー学院に入り、同人サークル「ソフトハウス吾」(そうふとはうすあ)を結成した[6]。亜佐美晶は大学時に同人サークル「サテライン」を結成した[6]。ゲームをつくるに当たり、プログラマーを募集したところ「ソフトハウス吾」のメンバーが手伝いに来ることにより交流を持つようになる[6]

ブランド「HOOK」設立

1999年に同人サークル「ティングアベル」代表のイトセキミナトが中心となり、同人サークルの法人化という形で設立[6]。イトセキは設立に当たり、同人サークル「サテライン」と「ソフトハウス吾」に声をかけ、メンバーを募集する[6]。「サテライン」のメンバー亜佐美はゲーム制作を職業に希望しており、イトセキの誘いに乗る[6]。これにより「サテライン」は解散し、設立に不参加のメンバーは別れる[6]。「ソフトハウス吾」の川波はゲーム制作の下請け会社に勤めた後に、一般企業に勤めていたところ、イトセキの誘いがあり、再びゲーム制作会社に勤めることを決意する。

2000年4月に有限会社を設立し[7]、イトセキが社長に就任。第1作『雨あがりの猫たちへ』の制作発表に当たり、2000年12月にブランド名を「HOOK」に変更[8]2001年6月15日に同作を発売し、5000本売れたことで、2001年9月に向ヶ丘遊園で初の事務所を構えた[6][8]

「HOOK」解散の危機

メンバーは口だけの社長イトセキに不満を募らせており、イトセキ社長の実質上の解任を行う。しかし、年収の低さ等は解消せず、不満はわだかまっていた。川波と山根以外はほぼ出社しておらず、実質上の解散となっていた[6]。一方、川波は『雨あがりの猫たちへ』の制作で不満を募らせており、これまでと違うメンバーで制作を行いたいと考える[6]。原画家がいなかったため、「ソフトハウス吾」のメンバーの弟であり、雑誌の投稿で名を得ていた宅本うとを原画家に採用する[6]。その際予めメンバーに相談せずに、第2作『天紡ぐ祝詞』の企画を販売元に提出し、了承が出たため制作を開始する[6]。終盤になると亜佐美とkeiが加わり、何とか発売にこぎつける。また、川波は同作の開発と並行して、ゲームエンジン「YukaScript」の開発を進めていた[9]

「天紡ぐ祝詞」の販売目途が立ったところで、第3作『Orange Pocket』の制作を始める。会社に籍が残っていたものの依然として出社していなかった武田に原画の担当を頼むが断られる。山根が武田を説得して、『OrangePocket』の制作が開始する[6]。販売元から制作資金を調達後、『天紡ぐ祝詞』の営業が全く行われておらず、同作の予想販売数が2000本と当初の予想7000本から大きく外れることが発覚する[6]。実際の売上も振るわず、借金を抱えることになる。

『天紡ぐ祝詞』がマスターアップすると、「FILM-SOFTWARE」の第1作『なないろ 恋の天気予報』の手伝いに仙台へ行くことになる[6]。ほぼ完成しているという話だったが、手伝いにいってみると発売4ヶ月前にもかかわらず、1%程しか完成していなかったため、急遽「HOOK」スタッフが手伝いに参加した[6]。『なないろ 恋の天気予報』のマスターアップ以降も「FILM-SOFTWARE」代表から制作場所だった一戸建ての家を引き続き使用してよいといわれたため、『OrangePocket』の制作を行う[6]。ところが2002年10月25日に販売された『なないろ 恋の天気予報』に大きなバグが発覚し、「FILM-SOFTWARE」代表は失踪し実質上の解散となる[6]。これにより「FILM-SOFTWARE」のメンバー松下まかこ、らっこ、GTが、『Orange Pocket』の制作を手伝うようになる[10]

12月末まで仙台で制作していたが、光熱費を支払っていなかったため、電気・ガスが止まる[6]。仕方なく東京に帰ったところ、イトセキが会社解散を発表する[6]。イトセキは制作には関わっていなかったものの、法的には代表取締役社長であったため、イトセキは会社を解散させることができた。

「株式会社ロボプランニング」傘下へ

会社が解散になり、個人だと税金の問題や権利関係が複雑になるため、『Orange Pocket』の発売元をどうするかが問題になった[6]。個人名義の販売も考えたが、「株式会社ロボプランニング」が名義を貸してくれることになり、「HOOK」は「株式会社ロボプランニング」傘下のブランドとなる[6]。事務所は販売元のビルの一室を借りることで解決する[6]2003年6月13日に無事発売された『OrangePocket』は「HOOK」設立以来のヒット作となり、そのお金で2003年8月に秋葉原に事務所を構える[8]。松下、らっこは、「FILM-SOFTWARE」の復活は無理と諦め、「HOOK」の正式メンバーとなる[6]。一方で、武田は「HOOK」を退職する[6]。ここで「HOOK」における原画家が武田から松下、らっこに移ることになる。

2004年5月28日には第4作『LikeLife』を発売した。その翌年には2005年7月15日第5作『_summer』を発売。これら2作はHOOKの方向性が決まった作品であり、うち萌え擬人化を扱った前者は、ユーザーからの高い支持を得、のちに同様のテーマを扱った作品が作られることになった[11]

2005年9月に、寝泊まり不可の物件で寝泊まりしていたため秋葉原の事務所を追い出されてしまい、各所を探し回った結果、2006年2月に別の事務所へ移る[8]

サブブランド「SMEE」「TJR」の誕生、「ASa Project」との出会い

このころ、「HOOK」は自社作品を家庭用ゲーム機へ移植することになり、自分達で監修しようとしたものの、苦労の連発だったうえ、赤字に終わってしまった[12]。この反省から、家庭用ゲーム機への移植作業は他社に任せるという方針がとられた[12]。同様の理由から、生き残りの手段としてサブブランドが立ち上げられることになった[12]2006年8月には、サブブランド「TJR」と「SMEE」を立ち上げる。うち、「SMEE」の代表には宅本が就いた[13]

また、亜佐美は新進ブランドのASa Project、とりわけ代表の天都を気に入っており、宅本によると自分たちに近いところがあったという[13]。HOOK内部では外部メーカーに肩入れしすぎであり、受け入れるのはリスクしかないという指摘も上がっていたが、亜佐美の力押しによりこちらもロボプランニング傘下に加わった[13]

「株式会社インターアパレル」への移動、そして新ブランド「HOOKSOFT」へ

2007年の時期は不明だが、「HOOK」は「株式会社ロボプランニング」から「株式会社インターアパレル」内の開発チームとして全員転籍し、2007年6月29日第6作『HoneyComing』を発売する。ただし、当時「HOOK」が開発してる秋葉原の開発室の表記では「株式会社ロボプランニング」になっていた。亜佐美はこの当時勘違いしかかっていたと2020年の「BugBug」とのインタビューの中で明かしており、次回作である『FairlyLife』(2008年10月10日発売)で原点回帰を図ったと述べている[14]

2008年10月末をもってスタッフ全員が「株式会社インターアパレル」を退社した[15]。その際「HOOK」作品の権利確保と引き換えに「HOOK」のブランド名が使えなくなったため、短期間「フェアリーライフ」というブランド名を経て[16]2008年12月2日に「HOOKSOFT」を新たに設立(事実上の独立)した[15]

このころ発売された『FairlyLife』のファンディスク『みくりまくり』が「HOOKSOFT」としての第一歩となったものの、開発期間が短い分ボリュームが小さいため、テレホンカードのおまけというかたちとなった[17]。その後、『FairlyLife』の人気投票の結果を受け、ファンディスク『よりこりまくり。』の制作が決まったものの、まずは『HoneyComing』のファンディスク『@HoneyComing RoyalSweet』と、『HoneyComing』の家庭用ゲーム機への移植作業を優先させる方針を発表した[17]。最終的に『よりこりまくり』は、コミックマーケット77にて発売された[18][注釈 1]

松下まかこ・らっこの脱退まで

2010年、ブランド10周年記念作品となる『さくらビットマップ』の開発途中で主要原画家のらっこが漫画家として活動したいということで退社し[20]、しばらくの間フリーとして作品作りにかかわることになった。新たな原画家を探すことになったが、彼女は当時同社の看板原画家として認知されていた松下まかこに合わせようとしていたため、新しい原画家もそうすべきか亜佐美は思い悩んだと「HOOKSOFT 10th ANNIVERSARY FANBOOK」の中で明らかにしている[20]。最終的に、鈴平ひろ桜はんぺんの2人が起用された[20]。一方、HOOKSOFTだけではこの作品の開発に必要な資金を調達できなかったため、当時の流通を担っていたホビボックスにも出資してもらった[21]。このため、著作権表記がHOOKSOFTとホビボックスの連名となっている[注釈 2][21]

また、『さくらビットマップ』の販促イベントに参加していた者の中には、のちにHOOKSOFTでシナリオライターとして活動する桜城なおもいた[22]

また、開発ラインの見直しが行われたのもこのころである[12]。従来は年に一度フルプライス作品を発売していたが、一つの作品にスタッフを総動員して、その後次回作への制作に進む方法ではコストパフォーマンスが低かった[12]。売れていたとはいえ、一つでも売れなければブランド生命の危機に立たされるという状況にあった[12]。そこで彼らは、同業者であるWhirlpool[注釈 3]を参考に、HOOKSOFT内の開発ラインを二つに分けた[12]。また、不測の事態に備え、シナリオライターと原画家にはそれぞれメインとは別にアシスタントが用意された[23]。一方、亜佐美はこの体制変更について、当時流行していたライトノベルの影響を挙げ、時代に遅れたくないという考えからリリース数を増やした結果、スタッフ間の切磋琢磨につながったとも述懐している[14]

こうして、2011年には『SuGirlyWish』(らっこ)と『StrawberryNauts』(松下まかこ)がそれぞれ発売された[14]。前者では広報出身のELMAが初めて監修を務めた[2]。また、後者ではKeiが初めてプロデューサを務めた[24]。同年4月には、Whirlpoolと共同でインターネットラジオ『うみをかける!大航海ラジオ』の配信を開始した[25]

2012年には、純愛の探求を謳った『LOVELY QUEST』が世に送り出された[26]

2013年発売の『PriministAr -プライミニスター-』では、美少女ゲームファン出身の桜城なおのシナリオライターデビュー作となった[22]。また、この作品では『Strawberry Nauts』で導入されたPIT(コミュニケーションツール)が再び導入された[14]

2014年1月31日に発売された『MeltyMoment -メルティモーメント-』をもって、らっこは原画家を引退した[27][28][29]。なお、この作品は萌えゲーアワード2014の純愛系作品賞の金賞を受賞した[30]

2015年には同ブランド結成15周年作品[30][31]兼、初のファンタジー作品[14][32]である『トラベリングスターズ』が発売された。この作品を最後に松下まかこもHOOKSOFTを離れた[33][24]

『Amenity's Life』以降

2016年には3つ目の擬人化作品である『Amenity's Life』が発売された[14]。この作品ではSMEEの代表である宅本うとがディレクターのひとりとしてクレジットされており[34]、HOOKSOFTの作風を変えるきっかけとなった[35]。また、この作品はRINKSの原画家デビュー作品となり、しばらくの間RINKSが単独で原画家として起用される機会が増えた[14]

2018年発売の『IxSHE Tell』では、桜城なおと宅本うとがディレクターを務め、桜城はシナリオも兼任した[36]。同作において桜城が幼なじみヒロインの栞織を一番人気にしようとして実現できなかった経験は、のちに『どっちのiが好きですか?』(2019年発売)における幼馴染ヒロインを登場させない方針や、幼馴染との再会を題材とした『思い出抱えてアイにコイ!!』(2021年発売)の開発につながった[22]

その一方、宅本はWhirlpoolのプロデューサー・アラガーとの対談の中で、この当時は「HOOKSOFT」らしさに縛られることがあり、企画の立案に際してはそれを禁じ、「純粋に面白いか」や「ユーザに喜んでもらえるか」を考えてもらうようにしていたと振り返っている[37]

2020年、20作目にしてブランド設立20周年作品『放課後シンデレラ』を発売した[38]

2021年には『ゆびさきコネクション』と『思い出抱えてアイにコイ!!』というフルプライス作品がそれぞれ発売された[39]。 2022年には『放課後シンデレラ』の続編となる『放課後シンデレラ2』を発売した[40]

Tily発足後

2023年には低価格帯ブランドTilyが誕生し、デビュー作として『dROSEra 〜レディ・バッドエンドの初恋〜』が発売された[1]。一方、HOOKSOFTにおいては『恋にはあまえが必要です』が世に送り出された[41]

2024年には『シークレットラブ (仮)』が発売された[42]。同作では少し刺激の強い路線に挑戦すべく、「秘密の共有」が主題に据えられ、恋人同士であることを隠すか否かでルート分岐するシステムが取られた[43]。また、同作の性描写には『dROSEra 〜レディ・バッドエンドの初恋〜』で得た知見が活かされた[44]

2025年にはHOOKSOFTブランド設立25周年記念作として『ハッピーウィークエンド』が発売された[45]

2026年には家庭用ゲーム機向けの移植ブランドとして、『AirVelocity』(エアヴェロシティ)が誕生し、第1弾としてNintendo Switch/PlayStation4版『ラブピカルポッピー!』を2026年6月25日に発売することを発表した[46]。一般市場をメインにするつもりはなく、18禁版にも興味を持たせるのを目的としている[47]

2026年3月4日、AirVelocityからNintendo Switch版『Sugar*Style』が配信された[48][注釈 4]

作風

HOOKSOFTおよび各サブブランドにおいては、「ヒロインを可愛く見せる」という方針が立てられている[51]。一方、ブランド代表の亜佐美晶は『BugBug』2023年9月号のインタビュー記事の中で、タッフがキャラクターの設定や物語の展開を重くしたがっていたと話しており、そうすることでドラマは盛り上がるだろうが、HOOKSOFTの方針に反するとして却下したと述べている[51]。また、低価格ブランド・Tilyのデビュー作である『dROSEra 〜レディ・バッドエンドの初恋〜』は「バッドエンド妄想」というキーワードと濃厚な性描写を特徴としつつも、性的ではない場面のイベントCGも用意された[51]

HOOKSOFT

HOOKSOFTの作品は、“純愛”をテーマにした学園ラブコメディが多い[8]。亜佐美によれば、自身がかつて男子校に通っていたため、「こんな青春を過ごしてみたかった」という願望や妄想から作っている[8]。またユーザーとのつながりを“仁義”と捉えており、ユーザーの嫌がることはせず、できるだけユーザーの意見を取り入れた物作りを心がけている[8]

2003年発売の『Orange Pocket』によって、ブランドの作風が打ち立てられた[52]。また、同作では複数のルールが設けられており、2015年までの時点で後続作品にも基本方針として採用されてきた[52]。1つめは「原則として一人の主人公に対して、ヒロインは一人である」であり、これは主人公が複数のヒロインと付き合ったり、逆に複数のヒロインが主人公を奪い合うという展開を認めないことを意味する[52]。残りは「制服のある学園ものにする」と、「マニュアルを読まなくても遊べるよう、システムを複雑化しすぎない」である[52]

2015年までの時点でのシナリオの傾向としては、『Orange Pocket』や『_summer』のようなまったり系と、『LikeLife』のようなドタバタ劇の2種類が存在していた[53][54]

作風の転換点となったのは2016年発売の『Amenity's Life』である[35]。シナリオライターの桜城によると、『PriministAr -プライミニスター-』と『トラベリングスターズ』ではディレクターの指示に沿ってシナリオを執筆していたのに対し、『Amenity's Life』ではディレクターの宅本うとが桜城の好きなように執筆させたという[35]。結果、SMEEに近い仕上がりとなった[35]。桜城は2021年時点でSMEE作品への参加経験がないため、なぜ似ていると指摘されるのか理解できていないとしつつも、従来のHOOKSOFT作品における「家族を大事にする純愛ストーリー」という枠組みを意図的に崩したことを認めており、「ヒロインの可愛さを愛で、彼女とイチャイチャする日常を大事に描く」という方針が宅本と共通した結果ではないかと分析している[35]

また、学園以外を舞台とした作品も出てくるようになった。うち、2021年発売の『ゆびさきコネクション』は社会人である主人公がメッセージアプリを通じてヒロインたちと恋に落ちる様子を描いている[55]。また、2025年発売の『ハッピーウィークエンド』では、大学生である主人公の恋愛模様を描いている[45]。他方、『思い出抱えてアイにコイ!!』(2021年発売)では、子ども時代と学生時代の二部構成で描くことで、再会するまでの間の変化をヒロインの魅力として描く試みがなされた[22]

宅本はHOOKSOFT作品における幼馴染像として「長い子と行動を共にしてきた主人公に対する好意が、恋なのか家族愛なのかわからない」と2021年に寄せたブログ記事の中で説明している[56]。一方、亜佐美は2017年の「美少女ゲームなう!!」編集部とのインタビューの中で、ヒロインに裏表をつけないようにしていると述べている[11][注釈 5]。また、宅本は『メガストア』2018年3月号のインタビュー記事の中で、『IxSHE Tell』の幼馴染ヒロイン・ 栞織は、このようなタイプにしては珍しく妙に毒づくところがあり、今までのHOOKSOFT作品にはあまりいなかったタイプであると述べている[57]

システム構築

ヒロインのかわいいところを見せたいという亜佐美の想いから、独自のシステムを入れることでも知られている[11]。亜佐美は2015年の「電撃姫.com」とのインタビューの中で、システムに対する考え方がこの15年の間に変化したと語っており、最初はゲーム性がないと売れないと考えていたが、次第にシミュレーションゲームやRPGでもないのに中途半端にそのような要素を入れるのは良くないと思い、さらにその後はシステムがゲームらしさを作ると感じたと述べている[52]。『さくらビットマップ』(2010年発売)は純愛に重きを置くため、あえてシステム要素を排した[52]。他方、宅本は「BugBug」2022年6月号に掲載されたアラガーとの対談の中で、独自のシステムを構築するようになった背景として『ときめきメモリアル』の影響を挙げており、シナリオのボリュームが減る分、他の箇所に磨きをかけられるとも説明している[58]

ある作品のシステムが他作品に採用された例もあり、たとえば『Strawberry Nauts』(2011年発売)を初出とするシステムのうち、電子掲示板「PIT」や、恋人となったヒロインが主人公の自室に遊びに来る「俺の部屋」は、2013年発売の『PriministAr -プライミニスター-』にも導入された[59]

スタッフィング

2022年現在、宅本の発言によれば、HOOKSOFTとSMEEのいずれも、特定のスタッフの人気に頼らないという方針が取られている[37]。これについて宅本は、もし次回作にその作家が不参加となった場合、その人目当てで買っていたユーザーがいなくなってしまうためだと、Whirlpoolのアラガーとの対談の中で説明している[37]。一方、「BugBug」2021年9月号に掲載された桜城なおへのインタビューでは、インタビューアーからHOOKSOFT社内には自社の他作品に対して張り合うスタッフが多いと指摘された際、桜城はその根底に「よいものを作りたい」や「ユーザにもっと楽しんでもらいたい」といった思いがあると答えている[22]。また、桜城は、サブブランドであるSMEEの評判が良く、「SMEEあってのHOOKSOFT」と思っているユーザが増えているのではないかと思い、『思い出抱えてアイにコイ!!』制作への意気込みもそこにあると述べている[22]

Tily

既存のブランドにはゲーム作りに枠のようなものが出来上がってしまったため、これらのブランドでは作れないゲームを作るためにTilyが設立された[60]。既存ブランド同様、「Tily」と言うブランド名は『ピーターパン』の登場人物タイガー・リリーにちなんでつけられた[60][注釈 6]

亜佐美晶は「BugBug」とのインタビューの中で、ブランドのコンセプトとして純愛を前提としつつも、「作りたかったゲームを自由に作ろう」であると述べている[60]。早い段階から低価格路線は決定しており、それと関連して性的描写にも力を入れている[1]。うちデビュー作『dROSEra 〜レディ・バッドエンドの初恋〜』は、ハッピーエンド至上主義者の主人公と、バッドエンドに性的な興奮をするヒロインの駆け引きが描かれており、亜佐美は事前説明を抜きにとにかくエロいから遊んでくれと渡せる作品にしたかったと、アダルトゲーム雑誌「BugBug」2023年9月号に掲載されたインタビューの中で明かしている[1]。第2作である『あの日の君を振り向かせて。』と、第3作である『ヤっても出られない部屋に閉じ込められたので引き続きもっとヤる話』はそれぞれの開発チームが同時進行で開発を進めていた[61]。また、亜佐美は「BugBug」とのインタビューの中で、最初の3本は結果に関係なく作り、4本目以降はこれらの結果を踏まえたうえで制作しようと展望を述べている[60]。第4作となる『両腕が折れたのでHなお世話をされる話』は、『ヤっても出られない部屋に閉じ込められたので引き続きもっとヤる話』の流れを踏襲し、性描写を中心とした物語となった[62]

なお、Tily専門のチームはなく、作品制作はHOOKSOFTやSMEEのスタッフが手掛けている[60]。たとえば『dROSEra 〜レディ・バッドエンドの初恋〜』は、SMEEの『ハジラブ -Making*Lovers-』のディレクターを務めたカスカベシカオの持ち込み企画である[63]

作品一覧

HD版は省略する。

さらに見る #, 発売日 ...
#発売日タイトル原画シナリオ
1 2001年6月15日雨あがりの猫たちへ武田弘光三浦祐介[64]
2 2002年6月14日天紡ぐ祝詞宅本うと川波無人、三浦祐介[65]
3 2003年6月13日Orange Pocket武田弘光はね、川波無人、三浦祐介[66]
4 2004年5月28日Like Life松下まかこ
らっこ
川波無人
セルシオ
はね、神無月如月[67]、刀部智己[注釈 7]
2004年12月29日LikeLife 氷庫版
5 2005年7月15日[68]_summer松下まかこ、らっこセルシオ
6 2007年6月29日HoneyComing川波無人[69]
7 2008年10月10日FairlyLife川波無人
モーリー[70]
7 FD 2008年12月28日みくりまくり
6 FD 2009年8月28日@HoneyComing RoyalSweet
7 FD 2009年12月29日よりこりまくり。
8 2010年9月24日 [71]さくらビットマップ
川波無人
9 2011年9月30日SuGirly Wishらっこ
桜はんぺん
10 2011年11月25日Strawberry Nauts
雪仁
11 2012年9月28日LOVELY QUESTらっこ
桜はんぺん
モーリー
瀬尾順
時野つばき
12 2013年8月30日PriministAr -プライミニスター-
桜城なお(メイン)[22]
木村ころや
神代いづみ
九平和泉
13 2014年1月31日MeltyMoment -メルティモーメント-
  • モーリー
  • 時野つばき
  • 柊晴空
14 2015年8月28日 [31]トラベリングスターズ
  • 松下まかこ
  • 鈴平ひろ
  • たかやKi
  • うおぬまゆう
  • なえなえ
  • 桐島千夜
[注釈 8]
  • 桜城なお
  • 羽凪華
  • egk
  • 夢我野迷々
[31]
15 2016年12月22日Amenity's LifeRINKS
  • 桜城なお
  • 松倉慎二
16 2018年2月23日IxSHE Tell -アイシーテル-RINKS
  • 桜城なお
  • 松倉慎二
16 FD 2018年7月27日もっとI×SHE TELL 彩楓&芳乃 ミニアフターストーリーRINKS松倉慎二
17 2019年5月31日[73]EスクールライフRINKS
  • 松倉慎二
  • 神宮寺
  • 平野譲治
18 2019年11月29日[35]どっちのiが好きですか?
19 2020年8月28日放課後シンデレラ[74]RINKS
  • 此ノ花しな
  • 水越ナゴ
  • 川波無人
20 2021年4月30日ゆびさきコネクション[75]綾瀬はづき
のいと
岸田ソラ
此ノ花しな
21 2021年9月24日 [22]思い出抱えてアイにコイ!!RINKS
のいと
桜城なお
19 FD 2022年1月28日放課後シンデレラ ミニファンディスク ~あなたと帰る最後の下校道~RINKS此ノ花しな
浅黄アキ
20 FD 2022年2月25日ゆびさきコネクション ミニファンディスク Vol.01 悠月&美琴編[76]綾瀬はづき椋木咲夜
20 FD 2022年4月28日ゆびさきコネクション ミニファンディスク Vol.02 夏歩&伊織編[76]綾瀬はづき椋木咲夜
22 2022年9月30日[77]放課後シンデレラ2RINKS
  • 此ノ花しな
  • 浅黄アキ
  • モーリー
23 2023年3月31日[78][79]恋にはあまえが必要ですGo-1
のいと
桜城なお
22

FD

2023年6月30日[80] 放課後シンデレラ2 ミニファンディスク ~君と踊る初めてのハッピーハロウィン~ RINKS 此ノ花しな、モーリー
23

FD

2024年1月26日 恋にはあまえが必要です ~もっとあまえるだけミニファンディスク[81] Go-1 桜城なお、モーリー
23

FD

2024年2月22日 恋にはあまえが必要です ~もっとあまえてもらうだけミニファンディスク[82] Go-1 桜城なお、モーリー
24 2024年7月26日 シークレットラブ (仮)[42] K子
まんごープリン
  • 岸田ソラ
  • モーリー
  • 阿部まれお
  • 渡辺僚一
24

FD

2025年4月25日[83] シークレットラブ(仮) 純愛アフターストーリー K子
まんごープリン
阿部まれお、渡辺僚一
25 2025年6月27日[45] ハッピーウィークエンド 綾瀬はづき
  • 内藤自由
  • モーリー
  • さんざんまん
26 2026年5月29日[84] トリプルペアリング -Triple Pairing- K子
まんごープリン
  • カスカベシシオ
  • 三雲三鳥
  • 渡辺僚一
  • 雪丸仟
26

FD

2026年10月30日 トリプルペアリング ミニファンディスク K子
まんごープリン
  • 渡辺僚一
  • 三雲三鳥
  • 雪丸仟
閉じる
さらに見る 発売日, タイトル ...
オムニバス作品
発売日タイトル備考
2020年7月31日HOOKSOFT 20th Anniversary Royal Box 2002-2017『天紡ぐ祝詞』から『Amenity’s Life』までの初期作品の本編や関連作品を収録[85]
2025年11月28日HOOKSOFT 25th Discovery Box 2002-2022『IxSHE Tell』から『放課後シンデレラ2』までの作品群、および『HOOKSOFT20周年記念アニバーサリーパック』収録作品のDLCコードを収録[86]
閉じる

姉妹ブランド

SMEE
ASa Project
TJR
Tily
AirVelocity

受容

亜佐美によれば、HOOKSOFTのファンは『_summer』のようなまったりした雰囲気を好む者と、『LikeLife』のようなドタバタ劇が好きな者に二分されていたというが、後者から見れば『_summer』などは眠たく感じられてしまったという[注釈 9][54]。後年になり、かつて「萌えゲーアワード」の審査委員会に所属していた山下智生やマス大澤らは以下のとおり振り返っている[92]

マス大澤:古参ファンからすると「HOOKSOFTといえば松下まかことらっこ」というイメージですよね。
山下智生:「遊んでいると眠くなる」というイメージね(笑)。
マス大澤:そんなことも言われてましたねえ(笑)。BugBug 2022年5月号137頁[92]

インターネットラジオ番組「電脳妄想開発室」のディレクター・今俊郎は、アダルトゲーム雑誌「BugBug」2022年5月号の記事の中で、このイメージが変わった理由として、サブブランドであるSMEEの良さがHOOKSOFTに取り込まれたことを挙げており、「HOOKSOFTは桜城なおさんがシナリオを書いて、SMEEの宅本うとさんが制作を見るようになってから、主人公ににおいがついたんですよね。」と語っている[92]。この話題は、「BugBug」2022年6月号に掲載された対談でも挙がっており、宅本本人はHOOKSOFTらしさというよりはむしろ自分たちのフェティシズムであると答え、恋愛対象となる二次元の美少女に少しずつリアリティを高めた「2.5次元」だと述べている[58]。その一方、HOOKSOFTとSMEEの違いがあいまいになっているという声もあり、『BugBug』2023年9月号のインタビュー記事でこの話題が上がった際、亜佐美はブランドのすみ分けの検討を示唆した[51]

他方、「BugBug」に掲載された『Eスクールライフ』のレビューによると、これまで同ブランドは学園を舞台とした恋愛ゲームを数多く生み出してきたが、作品ごとの特殊な設定に左右されることが多く、同作以前は純粋な学内での生活感を表現した作品が少なかったという[93]

また、ユーザーからはHOOKSOFT作品の性描写が薄さが指摘されている[63][22]。これについて桜城はHシーンで全裸と半裸を選択する機能を導入したと語りつつつも、純愛もののゲームを売りにしている以上、Hシーンを目玉にすることができないと『BugBug』2021年9月号に掲載されたインタビューの中で明かしている[22]。この話題は『BugBug』2023年9月号のインタビュー記事でも上がっており、これについて亜佐美は一つの作品におけるイベントCGの数が定まっている以上、性描写を増やした分日常生活のイベントCGが減ってしまうことや、多くのユーザが性描写以外のCGを求めていることなどを理由として挙げている[63]

一方、サブブランド・Tilyの場合、デビュー作の『dROSEra 〜レディ・バッドエンドの初恋〜』が発売された時は、性描写の強さに驚く流通業者や小売業者がいたといい、HOOKSOFTも性描写に力を入れるようになったと言われることが増えたと亜佐美は述懐している[44]。2作目の『あの日の君を振り向かせて。』では関係者から挑戦的な作品だと受け止められたほか、その次回作である『ヤっても出られない部屋に閉じ込められたので引き続きもっとヤる話』では『dROSEra 〜レディ・バッドエンドの初恋〜』から性描写を強化したこともあり好意的に受け止められたという[44]

ファン層

2010年時点で、ファンの年齢層は30代より上が多く、18歳から20代前半も一定数いたものの、その間の層は薄かった[54]。一方、『BugBug』2023年9月号のインタビュー記事によると、ここ数年は新規ユーザーの参入もあり、松下まかこやらっこを知らないファンも増えたという[51]

また、2025年時点におけるTilyのファン層はSMEEより若干年齢層が低いといい、『ヤっても出られない部屋に閉じ込められたので引き続きもっとヤる話』では原画家にSMEE作品への参加経験がある谷山さんを起用したことから、SMEEのファンが多く手に取ったという[44]

スタッフ

現スタッフ

  • 企画、プロデュース
    • 亜佐美晶[8] - 創立メンバー 現HOOKSOFT代表[8][11]
    • 山根呂兵[8] - 創立メンバー グラフィックチーフ[8]。『Strawberry Nauts』より監修担当。また、『さくらビットマップ』のみサブ原画の一部を担当している
    • 宅本うと[8] - 姓の読みは「やかもと」[8]。『天紡ぐ祝詞』に原画家として参加。SMEEでのプロデュースと監修も担当している。
    • ELMA - 『SuGirly Wish』より監修担当[2]。アダルトゲーム雑誌『BugBug』2023年9月号によると、自称「しがない広報」としてHOOKSOFT、SMEE、ASa PROJECTにかかわったとされており、同誌では10周年以降のHOOKSOFTを知る大番頭のひとりとして紹介されている[2]
  • シナリオ
    • モーリー - 外注。『FairlyLife』以降のHOOKSOFT作品。
    • 桜城なお - 『PriministAr -プライミニスター-』より担当[22]
  • 原画
    • 松下まかこ[8] - 『LikeLife』より担当。『トラベリングスターズ』を最後に離脱[33]。元「FILM-SOFTWARE」。
    • 桜はんぺん - 外注。『さくらビットマップ』以降のHOOKSOFT作品。
    • らっこ[8] - 『LikeLife』より担当。元「FILM-SOFTWARE」スタッフで、2010年に退社してフリーになった後もHOOKSOFTの原画を担当(『Sugirly Wish』・『LOVELY QUEST』)を続けていた。だが、2013年7月に「14thProject」にあたる『MeltyMoment』をもって業界から完全に引退した[27][28]
    • 羽鳥ぴよこ - 外注。『Strawberry Nauts』以降のHOOKSOFT作品。
    • 鈴平ひろ - 外注[94]。『さくらビットマップ』『トラベリングスターズ』のみ担当
    • その他
      • 真海 - ちびキャラデザインやサブ原画を担当している(ゲームEDのクレジットにしか表示されておらずパッケージには表記されていない)。一部作品ではグラフィッカーとして参加している[8]
  • デバッグ・編集
    • VII[8] - 『天紡ぐ祝詞』より参加し、「OrangePocket」で正スタッフ。
  • スクリプト・編集
    • 黒木ノア[8] - 「システムスクリプト」・「スクリプト統括」などでクレジットされることもあり。
  • プログラム
    • 市郎次 - 外注だが、2作目『天紡ぐ祝詞』以降すべて担当。
  • 広報
    • 伊藤直子 - 2009年から参加。
    • 飴乃あめ - 2020年3月から参加[95]

旧スタッフ

  • 旧会社社長
    • イトセキミナト - 創立メンバー。有限会社解散により辞職。
  • シナリオ
    • 川波無人[8] - 創立メンバー。2010年に退社して現在フリー。
    • 雪仁 - 外注。『さくらビットマップ』より『Strawberry Nauts』までシナリオ担当。その後主宰サークルで独立しSMILE(スミレ)を立ち上げる。
  • 原画
    • 武田弘光 - 創立メンバー。『OrangePocket』制作後に退社し、外注。
    • もとみやみつき - 『Strawberry Nauts』より担当。原画およびチーフグラフィッカー担当時は「もとみやみつき」だが、グラフィッカーの時は「みつき」[8]名義の場合あり。2013年10月末付けで退社。
  • デザイン
    • kei[8] - 創立メンバー HOOKSOFTブランドの原画をプロデュースしている。女性原画家の繊細なタッチに拘りを持っている。2013年10月末付けで退社。

脚注

参考資料

外部リンク

Related Articles

Timelines

Top Qs

Fact Checks