KCNQ1
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KCNQ1(potassium voltage-gated channel subfamily Q member 1)またはKv7.1 、KvLQT1は、ヒトではKCNQ1遺伝子にコードされているカリウムチャネルタンパク質である。この遺伝子の変異はQT延長症候群の原因となる。KCNQ1は電位依存性・脂質依存性カリウムチャネルであり、心臓組織や内耳の神経細胞、その他の組織の細胞膜に存在する。心臓細胞においてKCNQ1は、細胞の再分極に寄与する緩徐活性型遅延整流カリウム電流(IKs)を媒介し、心臓の活動電位、そして心収縮の終結をもたらす。
構造と機能
臨床的意義
リガンド
- ML277: 強力かつ選択的なチャネルアクチベーター[9]
相互作用
KCNQ1は、PRKACA、PPP1CA、AKAP9と相互作用することが示されている[10]。
KCNQ1はKCNEファミリーの5種類のタンパク質のいずれとも結合する場合があるが、このファミリーの中でヒトの心臓に影響を及ぼすのはKCNE1、KCNE2、KCNE3との相互作用のみである。KCNE2、KCNE4、KCNE5はKCNQ1の機能性に阻害的影響を及ぼすのに対し、KCNE1とKCNE3は活性化因子となることが示されている[6]。KCNQ1はKCNE1、KCNE4と同時に結合している場合があり、KCNE1の阻害効果はKCNE1の活性化効果によって上書きされる。機能的なKCNQ1は2個から4個のKCNEタンパク質を結合していることが一般的である[6]。最も一般的なのはKCNE1との結合であり、in vivoでの相互作用の詳細な記載がなされているのはKCNQ1/KCNE1複合体のみである[6]。KCNE1とのヘテロマー形成によってKCNQ1の活性化は緩徐になり、神経細胞膜の電流密度は高まる[6][11]。KCNEタンパク質との結合に加えて、KCNQ1のN末端の膜近接ドメインはSGK1とも結合する。SGK1は緩徐活性化型遅延整流カリウム電流を刺激する。SGK1によるKCNQ1/KCNE1の刺激には構造的完全性が必要であり、KCNQ1の変異によってSGK1によるチャネル刺激は低下する[12]。KCNQ1の変異は一般的に、緩徐活性化型遅延整流カリウム電流の低下、活動電位の延長、頻脈傾向を引き起こすことが知られている[11]。
KCNQ1/KCNE1
KCNE1(minK)はKCNQ1と結合し、緩徐活性化型遅延整流カリウムチャネルを形成する。KCNE1がKCNQ1とヘテロマー複合体を形成した際にはKCNQ1の不活性化は緩徐になり、野生型KCNQ1ホモ四量体型チャネルと比較して電流振幅は大幅に増大する。KCNE1はKCNQ1のポア領域に結合し、その膜貫通ドメインはヘテロマー複合体の選択性フィルター機能に寄与する[11]。KCNE1タンパク質のαヘリックスはKCNQ1チャネルのポアドメインS5/S6、そしてS4と相互作用する。その結果、KCNQ1チャネルの電位センサーと選択性フィルターに構造的変化が生じる[13]。このチャネル複合体のαサブユニットであるKCNQ1、βサブユニットであるKCNE1のいずれかの変異はQT延長症候群やその他の不整脈関連疾患の原因となる場合がある[12]。KCNE1と結合した際にはKCNQ1チャネルの活性化はかなり緩徐なものとなり、またより高い膜電位で生じるようになる。このチャネル複合体には4個のαサブユニットと2個のβサブユニットが存在していることを示唆する実験データが得られており、四量体型KCNQ1チャネルに2個のKCNE1タンパク質が相互作用すると考えられている[13]。KCNQ1/KCNE1チャネルはRAB5依存的的機構で細胞膜から除去され、またRAB11依存的機構で膜へ挿入される[14]。