Minecraft – Volume Alpha

C418による2011年のサウンドトラックアルバム From Wikipedia, the free encyclopedia

Minecraft – Volume Alpha』(マインクラフト - ボリューム・アルファ)は、ドイツの音楽家のダニエル・ローゼンフェルド(C418)による初のサウンドトラックアルバムである。2011年のビデオゲームMinecraft』のために制作され、ゲームの公式サウンドトラックとしてはローゼンフェルドのアルバム2作品のうち最初の1つである。収録曲の多くはシンプルな環境音楽で構成されているが、中にはよりテンポの速い曲も存在する。楽曲が簡素なものとなったのは、当時のMinecraftのサウンドエンジンの技術的制約により初期の構想が実現できなかったためである。アルバムは2011年3月にデジタルリリースされ、ローゼンフェルドにとって初の商業的リリース作品となった。その後2015年にゴーストリー・インターナショナルからアナログ盤およびCDがリリースされ、2025年にはカセットテープ版が発売された。

リリース
ジャンル
時間
概要 C418 の サウンドトラック, リリース ...
『Minecraft – Volume Alpha』
C418サウンドトラック
リリース
ジャンル
時間
レーベル 自主制作
C418 アルバム 年表
Life Changing Moments Seem Minor in Pictures
(2010年)
Minecraft – Volume Alpha
(2011年)
72 Minutes of Fame
(2011年)
Minecraftのサウンドトラック 年表
Minecraft – Volume Alpha
(2011年)
Minecraft – Volume Beta
(2013年)
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リリース以来、本作は批評家から高く評価され、ゲーム内での効果的な使用法だけでなく、独立したアンビエント作品としての完成度も賞賛されている。本作はMinecraftの人気に大きな役割を果たしたとみなされ、収録曲のうち7曲がSpotifyで最も再生されているゲーム音楽に含まれている。また、Minecraftとの結びつきから、影響力のあるアルバムであり、優れたゲームのサウンドトラックの1つとされている。2025年、本作はアメリカ議会図書館によって全米録音資料登録簿に「文化的・歴史的・美的に重要」として選出され、『スーパーマリオブラザーズ』の地上BGMに続く2例目のゲーム音楽となった。続編のサウンドトラック『Minecraft – Volume Beta』は2013年にリリースされ、さらに未発売ながら完成済みの3枚目のアルバムも存在する。

ローゼンフェルドは本作を自身の最重要作品だと述べており、アルバムの成功が彼を音楽活動に専念させる契機となった。2022年、本作は人気が再燃し複数のチャートにランクイン、ビルボード・ミュージック・アワード2022でダンス/エレクトロニック・アルバム部門にノミネートされた。2023年8月には、アルバムの成功によりローゼンフェルドが『ビルボード』誌のEmerging Artistsチャートで1位を獲得。同年12月、先に「Sweden」がゴールド認定を受けたのに続き、アルバムはアメリカレコード協会(RIAA)よりゴールド認定を取得した。その後、「Minecraft」と「Subwoofer Lullaby」も追加でゴールド認定を受けている。

背景

21歳のドイツ人男性。茶髪で青いジャケットを着て、正面を向いている顔の写真
2011年のVolume Alphaの作曲者、ダニエル・ローゼンフェルド(C418)

本作は、2011年にマルクス・ペルソン(Notch)が制作したサンドボックスゲームMinecraft』のサウンドトラックから生まれた最初のサウンドトラック・アルバムである[1]。このゲームでは、プレイヤーは「ボクセル」で構成されたランダム生成ワールドの中で、任意の目標が課されることなく自由に建築を行うことができる[2]。2023年10月時点で本作は全世界で3億本以上を販売し、史上最も売れたゲームとなっている[3]

本作を制作する以前、ダニエル・ローゼンフェルド(C418)は無名に近いインディペンデント音楽家であり、主にエイフェックス・ツインに触発された実験的で「意味をなさない」と彼自身が表現するアルバムを制作していた[1]。Minecraftの開発過程で、ペルソンはTIGSourceというインディーゲーム開発フォーラムを通じてローゼンフェルドと出会い、2人は友人になった[4]。その後、ペルソンがゲームをローゼンフェルドに見せた際、彼にサウンドデザイナーを依頼。ローゼンフェルドはこれを引き受け、サウンドエフェクトや音楽の制作に取り組み始めた[5][1]

制作と作曲

本作は主にシンプルな環境音楽アコースティック音楽で構成されており、中心的にピアノ弦楽器が用いられている[2][6]。この作風は、Minecraftのサウンドエンジンにおける技術的制限によるところが大きい。制限によりゲーム内サウンドデザインの可能性は大幅に狭められており、当初ローゼンフェルドは、戦闘時に流れる「壮大な」音楽や、バイオームの種類ごとに変化する音楽、洞窟専用の音楽を盛り込みたかったが、いずれも実装不可能か、ゲーム内イベントの持続時間が短すぎて成立しなかった[5]。そのため、彼はより静かでシンプルな音楽に転換した。このアプローチは『Dwarf Fortress』(2006年)に着想を得ており、グラフィックのシンプルさを補うように音楽がプレイヤーを引き留める役割を果たすと考えた[5]

ローゼンフェルドはAbleton Liveやその他のソフトウェア、プラグインを用いて作曲を行い、さらにMoog Voyagerなどのシンセサイザーも使用した。各楽曲が完成した後、彼は全曲が自然に繋がって流れるように編曲を行い、そのために一部の曲を延長することもあった。彼の意図は、本作を一度に通して聴ける独立した作品として提示しながら、全体を1つの音楽作品として解釈できるようにすることだった。『Vice』のインタビューで、ローゼンフェルドは当初アルバムの曲順に物語性を持たせようとしていたが、現在はその内容を忘れてしまったと語っている[1]。一方でMinecraftにおいては曲順が固定されず、特定の場面ごとに音楽が流れる仕組みは存在せず、BGMはランダムに再生される[2][7]

Minecraft向けに最初に制作され、開発初期に追加された3曲は「Minecraft」「Clark」「Sweden」であり、ゲームファイル内ではそれぞれ「Calm 1, 2, 3」として知られている。その後もローゼンフェルドはサウンドトラックの方向性を試行錯誤したが、「Calm」系統の楽曲がプレイヤーから最も好評を得たと結論づけた[4]。以降、このスタイルが本作における他の楽曲作曲の基盤となった[8]。ただしアルバム内すべてがこのスタイルではなく、「Cat」や「Dog」といった楽曲はアップテンポなチップチューンであり、シンセサイザーを多用している[6]

リリース

本作は2011年3月4日にBandcampを通じてデジタルリリースされ、ローゼンフェルドにとって初の商業リリース作品となった[8][9]。商業版には、アルバム専用の楽曲がいくつか収録されており[10]、ゲームから削除された「Excuse」のような曲から、ローゼンフェルドの過去アルバムに由来する「Droopy Likes Ricochet」のような曲まで含まれている[8]。アルバムのカバーアートは、Minecraftに登場する草ブロックを3D化したデザインである[1]

2015年6月23日、レコードレーベルゴーストリー・インターナショナルより本作のフィジカル版リリースが発表された。通常のCDおよびLPに加え、限定1,000枚生産の透明バイナル仕様も用意され、2015年8月21日に発売された[11]。物理メディアを購入した者にはデジタル版も同時に提供された[12]。なお、本作は以降も増刷が行われている[13]

2025年4月15日、Ghostlyは本作をカセットテープとして同年6月13日にリリースすると発表した。単体販売に加え、続編サウンドトラックのVolume Betaとセットになった数量限定のボックスセットでも提供される[14]

評価

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専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
AllMusic4/5stars[15]
Anthony Fantano≥8/10[16]
Mojo4/5stars[17]
Sputnikmusic4.0/5[18]
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本作は批評家から概ね高い評価を受けた。多くの評論家は、本作がMinecraftの美学に合致しており、ゲーム内での使用において効果的であると指摘した[2][6][15]。その意義や影響力について評価する声も多く[6][16][17][19]、芸術性に対しても賞賛が寄せられた[6][15][18]。『Kotaku』のルーク・プランケットは本作を「快適な睡眠と同じくらい穏やか」であり、優れたアンビエント・アルバムであると評した[10]。音楽評論家のアンソニー・ファンタノは本作を「美しい」と評し[16]、『Sputnikmusic』のスタッフライターは「ちょっと聴いてみるはずが、気づけば2時間が過ぎ、混乱しつつもその時間が無駄でなかったと理解する」と表現した[18]

作品としての芸術性についても数多く論じられている。『AllMusic』のアンディ・ケルマンは本作をローゼンフェルドの活動を示す好例とし、エリック・サティブライアン・イーノのような影響力のある作曲家に比較される理由が容易に理解できると述べた[15]。また、収録曲の多様性について「繰り返し聴いても疲れることがない」と評価している[15]。『Original Sound Version』のリチャード・マクドナルドは、アルバム全体を通じた一貫したスタイルが各トラックを引き立てると同時に個性も保っているとし、「このゲームにはこの音楽が不可欠」と評した[6]。Sputnikmusicはピアノ主体の楽曲とシンセサウンドの組み合わせがローゼンフェルドの「シグネチャー」を作り上げているとし、没入感の要素として高く評価する一方、バリエーションの不足を指摘した[18]

批評家はアルバムの意義や影響力についても広く言及されている。『Mojo』のスティーブン・ワーシーは、人気ゲームにありがちな大規模オーケストラではなく小曲集によって構成された点で期待を裏切るとし、Minecraftの世界的普及に伴い「近年最も影響力のある、そして最も美しいアルバムの1つ」と評価した[17]。Sputnikmusicは2011年の最高のアンビエント/エレクトロニック作品の1つと称し[18]、ファンタノは「間違いなく史上最高のゲームサウンドトラックの1つ」と評している[16]。マクドナルドはさらに「21世紀における最も際立ったゲーム音楽」であり、「美しく感情的な作曲によってゲーム音楽の枠を超越した作品」と位置づけた[6]。ゲーム内での文脈についても評価されている。マクドナルドは、本作がプレイヤーに「ごく一部のゲームしかなし得ない非常に強い感情」を呼び起こし、それが強いノスタルジーを伴うと述べた[6]。ケルマンは本作をMinecraftにおける「多くの没入要素の1ぬ」と表現し[15]、ファンタノはゲームプレイを楽しめるものにした要素と評した[16]。『Digital Trends』も、ローゼンフェルドの活動、特に本作がなければMinecraftはここまで成功しなかった可能性があると示唆している[19]。また、ミヒール・カンプは著書『Four Ways of Hearing Video Game Music』にて、Minecraftのサンドボックス的性質は音楽にも反映されており、BGMのランダム再生によって意図せず個別的でユニークな体験を生み出すと論じている[2]

リリース後の展開

本作のリリース後も、ローゼンフェルドは引き続きMinecraftの音楽制作に携わった[4]。2013年には2作目のサウンドトラック・アルバム『Minecraft – Volume Beta』をリリース[13]、2012年のドキュメンタリー映画『Minecraft: The Story of Mojang』でも音楽を担当している[4]。さらに2014年にはConsole EditionのMinecraft用に楽曲を提供し[20]、2018年には本編に3曲のオリジナル曲を追加した[21]。2015年、ローゼンフェルドは『Fact Magazine』で3作目のサウンドトラックをリリース予定であると述べ[22]、2017年には「まだ完成にはほど遠い」としつつも、既にVolume AlphaとBetaを合わせた以上の楽曲を作曲済みだと語った[23]。2021年のアンソニー・ファンタノとのインタビューにおいては、3作目について「一応あるし、自分としては完成してるつもりだけど、状況が複雑になってきていて…特にMinecraftは今はもう大きな案件だから、どうなるか分からない」と発言している[24]。その後はレナ・レイン(『Celeste』(2018年)の作曲者)など、他のアーティストもMinecraftに楽曲を提供している[25]。2025年にローゼンフェルドは、自身のMinecraftでの活動が「ここで終わると選ばれた」ことを受け入れ、今後は通常のキャリアに注力したいと語っており、再びMinecraft向けの作品を手掛けるかどうかについては「多くの思索がある」としつつも、仮に新規楽曲を作らなくても満足していると述べている[26]

複数のニュース媒体編集部は、Minecraftのサウンドトラック(Volume Alphaを含む)を史上最高のゲーム・サウンドトラックの1つとして挙げている。これには『NME[27]、『Digital Trends[19]、『GamesRadar+[28]、『VG247[29]の各編集部が含まれる。2020年、ファンタノはMinecraftのサウンドトラック(Volume Alpha含む)を2010年代のアルバムランキングで第138位に選出した[30]。本作はその落ち着いた性質のため、学習や仕事中に聴くアルバムとして人気があるとされる[31]

2021年4月のUnikrnの調査によると、「Sweden」はMinecraftのサウンドトラック中で最もSpotifyで再生された楽曲であり、同時にサービス全体で最も再生されたゲーム音楽でもあった。当時の再生数は7,700万回以上で、「Minecraft」(2位)、「Subwoofer Lullaby」(7位)、「Wet Hands」(8位)、「Key」(18位)、「Haggstrom」(23位)、「Mice on Venus」(24位)といったVolume Alpha収録の他6曲もトップ25に入っていた。合計再生数は約2億2500万回と推定され、ローゼンフェルドは最大90万ドルを得た可能性があるとされ、その3分の1がSwedenによるものだった[32]。以後、UNDERTALEの楽曲「Megalovania」に抜かれたものの、Swedenは2023年3月時点で約1億2000万回の再生数を記録し、依然として2位を維持していた[33]。また、本作からは3曲がRIAAによってゴールド認定を受けており、Swedenは2023年8月22日に、そしてMinecraftと「Subwoofer Lullaby」は2025年2月18日にそれぞれ50万ユニットの販売を達成した[34]

ローゼンフェルドは本作を自身の最も重要かつ成功した作品であり、独立音楽家としてのキャリアを築くきっかけとなったと考えている[8]。2011年、彼はKotakuに対し、このMinecraftの音楽の成功により音楽制作をパートタイムからフルタイムに転じることが可能になったと語った[10]。Fact Magazineによると、Minecraftの成功はローゼンフェルドを間接的に史上有数のセールスを記録するアーティストへと押し上げた[22]。その後、彼はインディーゲームスタジオのIvy Roadを共同設立し[35]、同社の初作品『Wanderstop』で音楽を担当した[36]

本作は2022年から2023年にかけて再評価が進み[13]、複数の国際チャートにランクインしたほか、ビルボード・ミュージック・アワード2022ではダンス/エレクトロニック・アルバム部門にノミネートされた(受賞はIlleniumの『Fallen Embers』)[37]。2023年にはBillboardのEmerging Artistsチャートで1位を獲得[13]し、12月14日にはSwedenの個別認定から約4か月後にアルバム全体でもRIAAによるゴールド認定を受けた[34]。2025年4月には、アメリカ議会図書館が本作を全米録音資料登録簿に「文化的・歴史的・美的に重要な録音」として選出し[38][39]、『スーパーマリオブラザーズ』の地上BGMに次いで2例目のゲーム音楽として登録された[40]

トラックリスト

受賞歴

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Minecraft – Volume Alphaの受賞・ノミネート一覧
授賞式 部門 結果 出典
ビルボード・ミュージック・アワード 2021年 Top Dance/Electronic Album ノミネート [37]
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チャート

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認定

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Minecraft – Volume Alphaの認定
国/地域 認定認定/売上数
アメリカ合衆国 (RIAA)[60] ゴールド 500,000 ユニットdouble-dagger

double-dagger 認定のみに基づく売上数と再生回数

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脚注

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