ファンクションキー
コンピュータや端末用のキーボードのキーの一部
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概要
ファンクションキーには個別に決まったコンピュータの機能、動作を割り振ることが可能な汎用キーである。通常は初期設定があり、特定の機能があらかじめ割り当てられている。また、アプリケーション毎に固有の機能を割り当てることも多くキーそのものが直接機能と結びついているわけではない。
IBM 3270やVT100のようなビデオ表示端末 (VDT) のファンクションキーは、エスケープ文字から始まる短い特定の文字列(エスケープシーケンス)を生成し、これがホストコンピュータによって解釈される。また、端末動作に意味のある特定の制御文字を生成することもある。
今日のキーボードでは、ファンクションキーは、固定された単一のスキャンコードを生成する。そして、キーボードのデバイスドライバやOSを経由してアプリケーションに送られ、解釈される。
ファンクションキーにはキートップか、キーのそばにデフォルトの動作やその短縮名、またはより一般的な「F-番号」( F1 - F12 など)が刻印されている。
歴史

1870年にトーマス・エジソンが発明した電気式タイプライターは、鑽孔テープを読み込ませて文章を自動入力することが可能で、1940年代にアメリカ合衆国海軍省において戦死者の遺族向けの弔文を自動入力できるシステムとして使われていたが、一般には普及していなかった。
1950年代末ごろに当時の大手機械式計算機メーカーであったフリーデン計算機社が発売した電気式タイプライター「Friden Flexowriter」シリーズは、鑽孔テープを読み込ませることができ、フリーデン社の計算機と接続して、鑽孔テープのデータに基づき顧客名と請求金額が自動的に入力された請求書などの定型文を作成することが可能だった。このFlexowriterには、テープを読み込む「START READ」キーや、テープをストップする「STOP READ」キーなど、色々なキーが搭載されていた。
1968年に当時のフリーデンの親会社であったシンガーから発売された「Flexowriter 2201 プログラマティックタイプライター」では、「START READ」キーや「STOP READ」キーなどの専用キーに代わって、F1からF13までの13個の汎用ファンクションキーを搭載しており、これが汎用のファンクションキーが搭載された史上初のキーボードだと考えられている。タイプライターの背面にプラグボードを搭載し、ファンクションキーの機能を自分でプログラミングすることが可能だった。
1960年代から1970年代にかけての計算機のキーボードでは、用途が固定された専用キーを搭載するものが主流で、汎用ファンクションキーを搭載した製品は少なかったが、例えばプログラマブル卓上計算機の HP 9810A (1971年)、HP 9830A (1972年)などが汎用ファンクションキーを搭載している。HPが発売した最初の端末機であるHP 2640 (1975年)でもファンクションキーが搭載され、「Fなんたらキーを押したら何がどうなるか解らない」という問題への対処のため、一部のアプリケーションではキーボードに機能を印刷した対応表の紙を付属させた。

当時のコンピュータ業界の盟主であるIBMにおいては、端末機 IBM 3270(1972年)において初めてファンクションキーを採用。当初はキーボードの右側に固まって配置されていたが、そのうちキーボードの右側にテンキーが搭載されるようになり、ファンクションキーはキーボードの上側に移動した。パソコンでは、初代IBM PC(1981年)およびPC/XT(1983年)では、ファンクションキーはキーボードの左側に固まってついていたが、1984年発売のModel M キーボード(「拡張キーボード」)で、キーボードの上側にF1からF12まで搭載される、現在と同じファンクションキーの配置がほぼ確立した。
日本のパソコンでは、最初期の製品であるNEC PC-8001(1979年)で、キーボードの上側に、F1からF5までのファンクションキーが搭載された。
例
ファンクションキーは多様なキーボードに搭載されている。初期のパーソナルコンピュータの多くは、ファンクションキーは無いか、5個や10個が多い。12個のものが増えたのは、101キーボード以降である[1]。
- 101キーボード(IBM PC/AT後期、現在のPC/AT互換機の大半)
- ファンクションキーはF1 - F12が4個ずつグループ化されてキーボードの一番上に置かれている。なおオリジナルのIBM PC、PC/XT、PC/AT前期までのキーボードは、F1 - F10までの10個のファンクションキーを持っていて、キーボードの左側に2個ずつ (F1|F2、F3|F4、F5|F6、F7|F8、F9|F10)、縦に5段に並べられていた。
- Mac
- ファンクションキーはモデルによってさまざまで、F1 - F12、F1 - F15、F1 - F16などがキーボード上方に置かれている。過去にはファンクションキーがないモデルもあった。近年のキーボードではファンクションキーは音量調節やDashboard呼び出しなど機能キーの役割を兼ねている。
- PowerBook
- ファンクションキーはF1 - F12で、F1 - F7までにはあらかじめ機能が割り振られている。
- PC-9801/9821
- 当初はf・1 - f・10。後にvf・1 - vf・5が追加された。N88-BASICなどでは各キーに命令文が登録されている。
- Amiga
- 10個のファンクションキーが5個ずつグループ化されてキーボード上方に置かれている。
- IBM 3270
- IBMのメインフレーム用の3270型端末では、初期モデルではキーボードの右側に12個のPFキー (Programmable function key) が3個×4グループにまとめて置かれていた。後期モデルではキーボードの上方に2段に分けて24個のPFキーが置かれていた。また、この端末には2個のPA (Program Access) キー、Attn (Attention) キー、SysRq (Syetem Request、システムリクエスト) キー、ScrLk(Scroll Lock、スクロールロック)キーなどが備えられ、それぞれ固有の端末動作が割り振られていた。なお、現在の101キーボードのキーボードレイアウトの直接の祖先はこのIBMメインフレーム用の端末のキーボードであり、PAキーやAttnキー等は無くなっているが、12個のファンクションキーや、SysRqキー、ScrLkキーなどは継承されている。
- MZ-700/1500
- カタログ上では、ディファイナブル・ファンクションキーと記載されている。
- F1 - F5までの青いキーがキーボード左側の一番上に水平に並べられている。このファンクションキーは通常のキーとサイズが異なり、横が倍で縦は半分だった。ファンクションキーの上方にはラベルを張るためのカバーとくぼみが用意されている。
- クリーンコンピュータであるため、ロードしたシステムによってその機能、割り当ては変化する。BASIC等では、利用頻度の高いコマンドなどが初期設定では定義されており、ユーザが任意に変更可能になっている。
- 上位シリーズでのファンクションキーは10個であり、キーの横サイズが半分程度になっている。
- MSX
- F1 - F5としてキーボードの最上列に並べられている。キーの大きさは機種によって様々であるが、概ね普通の文字キー2つ分くらいの大きさである。SHIFTキーと併用することでF6 - F10として作用できる。MSX-BASICでの利用を考慮し、goto cload runといった利用頻度の高いコマンドが初期登録されている。
- プログラム実行の結果、画面の文字色と背景色が同じになって文字が見えなくなる場合の回避方法としてF6には color 15,4,7[return]が登録されている。これを押すことで、即座にMSX-BASICが立ち上がった時の配色に復帰できる。MSX-BASICではkeyコマンドで各ファンクションキーの内容を自由に再定義できる。MSX-DOS環境では、MS-DOSのテンプレート操作に準じた機能が割り当てられている。
