販売時点情報管理

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あまり一般的ではない漢字表記で販売時点情報管理(はんばいじてんじょうほうかんり)[注釈 1]、通常はPOS(ポス)あるいはPOSシステムと表記されるものは、小売業において商品の販売・支払いが行われるその場(販売時点)で、その商品に関する情報(商品名、価格、売れた時間など)を単品単位で収集・記録し[2]、商品売り上げ情報を把握し、それに基づいて売り上げや在庫を管理するためのシステム、または経営手法である[1][3][4]

概説

英語の「Point of sale」の頭文字をとった略称で「POS」と呼ばれている[4]。Point Of Sale(POS)は "販売時点"という意味であるが、POSは販売実績データも指し、一般にPOSデータとよばれることが多い[5]

POSデータ

POSデータには、店舗番号、精算レジ番号、レジ精算日付、商品コード(日本の場合はJapanese Article Number Code。事業者および商品を示す識別番号)、販売価格、販売数量が基本データとして含まれている[5]

データは、POSターミナル(バーコードの読取装置とキャッシュレジスターが合体した装置) → 店舗内のコンピューター → ネットワークで繋がった本部のホストコンピューター という一連の流れによって集計される。

POS システム

上述のデータを扱うシステムを正式にはPoint of sales system(POS system、ポスシステム)という。

通常は、商品につけられたバーコードをレジのスキャナーで読み取り[1]、販売の時点と、販売された商品を登録する。 またバーコードの付いていない商品は、タッチパネルやメニューキーボードで販売情報を登録し[注釈 2]、それらの登録データをサーバに転送し、データが分析管理される[6]

なおレジでバーコードを読み込むとデータベースからバーコードの番号に紐づけられた商品名などの情報がその場で販売情報として記録されるが、バーコードの貼れない商品(例 : スーパーマーケットの野菜や果物の多く、包装されておらず客がトングでビニール袋に入れるサンマ、コンビニのフライドチキンなど)は、レジのタッチパネルで商品を選ぶことで販売を記録する。

バーコードつけ

POSを行うには、原則的に、商品にバーコードをつけること("マーキング")が必要になる。例外はガソリンスタンドや飲食店である。

バーコードには、品番コード、メーカー・コード(仕入先コード)、プライスコード(値段)などの情報が組み込まれている。

バーコードを商品へ装着するマーキングには下記の2種類の方法がある。

  • ソースマーキング ─ 商品の製造または流通過程で商品や梱包袋、箱などにバーコードを印字またはシールを商品に付けることである[7][8][9]
  • インストアマーキング ─ 製造・出荷段階でソースマーキングができない商品(店内調理の総菜など)に小売店など印字されて使用されるバーコードシールを張ることであり、特定の店、チェーン流通経路だけで使用される[10]

システム

POSシステムは、POSレジスタ(POSレジ)と呼ばれる商品単位の集計機能を持ったキャッシュレジスタデータを採取し、パソコンワークステーションなどのストアコンピュータ(ストアコントローラ)で集計を行うのがその基本である[11]

簡単なものならPOSレジ単独で集計を行うことも可能で、この方式は主に一般商店で普及している。以下の3点が基本となるが、これ以外に専用端末が加わることもある。

POSレジスタ

スーパーのPOSレジスタ

一般的には、販売店舗で売上会計を行うために店舗内に1台ないし複数台設置されるキャッシュレジスターを指す。

2019年現在では、Windows Embedded POSReady 7 やWindows 10 IoT Enterprise 2016 LTSBを搭載したPOS端末も登場している[12]。パソコンの小型化・高性能化を受けて、マイクロソフト主導で開発されたもので、Microsoft Windowsの技術を活用することで、開発コストを格段に抑えた周辺機器との接続仕様「オープンPOS」が発表された。オープンで多様なPOS端末の実現とPOSアプリケーション開発の生産性向上を目指してOPOS協議会が設立され[13]、参加する各社はその仕様に準拠した製品を開発、それらの導入例も増えている。

また、質の良いオープンソースソフトウェアの登場により、Linuxを利用した製品も発表されている。

近年では、iOSAndroid OSを活用したタブレット/モバイルPOSレジ[14]が登場し、導入コストや運用コストが低いことから急速に普及しはじめている。

構成

以下はメーカーによって名称が変わる場合もある。

POSレジスタ本体
商品名称や売価、販売実績などを蓄積するデータベース機能。
商品に付いたJANコード、ニューキーからの単品登録、インストアマーキングのバーコード等の値を検索キーとし、それをキーに売価などを呼び出す(PLU)通信機能などを備える。
バーコードスキャナ
商品に付いたバーコード(JANコードなどの商品コード)を読み取るための光学読取装置。
CCDを用いたハンディタイプと、固定式でレーザーを用いるレーザータイプがあり、印刷されたバーコードの白黒模様の色彩値を光の反射によって読みとる。ハンディタイプは主にコンビニや日用品・衣料品を扱うレジに見られ、レーザータイプは主に客ひとりあたりの購入品目が比較的多いスーパーの食品レジに見られる。
またハンディ式と固定式両方のバーコードスキャナを備えたPOSレジもある。
レシートプリンタ
レシートを印刷する機器。近年では、漢字印刷が高速で行えるうえに故障率も低いサーマルロール紙(感熱印刷紙)を用いたプリンタが主流となっている。
簡略な領収書が発行できるタイプもある。
ジャーナルプリンタ
販売データの保管を主な目的としてレシートと同じ内容を記録したものを印刷する装置。ただし近年ではデータとしてコンピュータに記録される電子ジャーナルが主流となってきたため、ジャーナル専用のプリンタ搭載することは稀となっている。
キャッシュドロワ
売上金や釣り銭を保管する、主に引き出し式の簡易金庫。レジからの信号によって金銭を区別したトレイが乗るドロワが前面へ飛び出す。
自動釣銭機
レジスタ本体と連動し、釣り銭を自動で計算して出す装置。キャッシュドロワとしての機能も併せ持つ。
売上金を入れ釣り銭を出すものと、釣り銭のみを出すものがある。
紙幣や硬貨のすべてに対応するものと、そうでないものがある。
カスタマディスプレイ
レジスタ本体に接続し、客に金額、数量、品名などを表示する装置。蛍光表示管(VFD)を用いた機種が主流であったが、2018年現在では、大手チェーン店に導入されるPOS端末では液晶ディスプレイが主流である。
タッチパネル
画面に触れることでレジ入力を行う装置。近年ではディスプレイと一体となった機種が多い。入力方法によりいくつもの方式が実用化されている。野菜や果物などJANコードを印刷出来ないものや値段の変動がある商品を登録しておき、対応するボタンを押すことで登録できることがほとんど。
カードリーダ
クレジットカード電子マネーによる支払い、およびポイントカードなどによる割引に対応するための機器。FeliCaに代表される近距離無線通信式や、スラッシュで読み取る磁気ストライプカード式などがある。

ポータブルデータターミナル

ポータブルデータターミナルは商品の在庫管理に使用する装置である。棚卸しを簡易的に行う際に欠かせない。また、レストランなどでは注文時のデータ入力にも活用される簡単な無線ターミナルとなっている機種が多い。

一般的な構成

本体
液晶ディスプレイに抵抗膜式タッチセンサなどを張ったペンタッチキーボード、専用リアルタイムOSやモバイル用OSを組み込んだハンドヘルドコンピュータなどがある。
バーコードスキャナ
レーザタイプまたはCCDタイプの機種があり、近年では二次元コードに対応した機種もある。

レストランなどでの構成

上記に加え、無線タイプの簡易的なポータブルデータターミナルを含むオーダーエントリーシステムを使用する。

ストアコンピュータ(ストアコントローラ)

バックヤードと呼ばれる店舗内の事務所に設置され、複数のPOSレジスタからの情報を統合したデータを作成する。また、ポータブルデータターミナルからの棚卸しデータも集計するとともに、 EOSを用いた仕入れ作業にも活用されている。チェーンストアでは商品発注機能も内包していることが多い。

商品単品の仕入れ先毎のデータ集計などを容易に行うことができるほか、仕入時の過不足を極力低減して商品仕入れの精度を向上することができる。大手チェーンなどではさらに通信回線を使用して本社サーバーに接続、そこで全店の在庫や販売の管理を行っている。

大規模なシステムでは雇用や勤怠管理など、売上で在庫以外の店舗全体の店舗管理機能を内包する場合もある。

今日大手コンビニなどではWindowsやUNIXを使ったストアコンピュータ(ストアコントローラ、PCやワークステーション)を使用している。一般商店でもこれに追随して置き換えをおこなう傾向にある。

また近年の光回線の普及をうけて、インターネットを通じてデータセンタにシステムを集約させることにより店舗に配置する機器の縮小を図る「インターネットPOS」の導入例も増えつつある。

用途、活用

チェーン店の場合

各店舗での売上データを本部がリアルタイムに把握でき、これにより本部の経営陣は迅速な意思決定ができ、需要や売れ行きに迅速に反応して商品補充や価格変更や販売推進手法の変更に活かすことができる。各店舗の在庫量もリアルタイムに把握でき、ある店舗で他店舗の在庫量を調べ "取り寄せ"ることも容易になる。季節ごとのトレンドの変化も日々データで把握でき、さらにリアルタイムなので新商品発売直後から "売れ筋" と "死に筋" のデータを得られるので、本部では商品開発から売れ行き分析までの一連の日数、開発サイクルを短縮化することができる。

単店舗の場合
  • 売上集計の自動化 ─ 売上集計を手で行う手間や帳簿をつける手間が省ける
  • 在庫管理 ─ 在庫管理をサポートし、過剰在庫や欠品を防ぐために使える
  • レポート機能の活用 ─ 売上、在庫、利益率などをまとめる簡単なレポート機能を備えているものが多いので、それを店舗経営に活かすことができる。

POSで言う "ジャーナル"は、レシートと同じ内容のデータを記録したものである。それがそのまま売上データとして活用できる。伝統的には紙面にプリントしたものだったが、近年ではデータ化した電子ジャーナルが一般的となった。POSシステムに搭載されているソフトウェアが、電子ジャーナルのデータを使い、"売上動向分析"や、商品別や商品カテゴリ別に消費者の購入動向を表示できるものが一般的で、各商品の仕入れ(発注)数量の決定や在庫管理に活かすことが可能である。

(なおジャーナルは店舗や企業では7年間の保存義務がある。)

客層情報収集

以前は、コンビニエンスストアのPOS端末に「客層ボタン」というものがあり、ここで購入顧客の年齢や性別を入力され、それで「どの年代の人が何を買ったか」というところまで分析していたが、ファミリーマートローソンでは廃止されている[注釈 3]。これは、顧客の見た目で年齢を判別するのが困難、オペレーションが複雑になる、ポイントカードの利用が進み客層ボタンを使用しなくても顧客の情報が収集できるようになった、ということが理由である[15]

POSセキュリティ

出典:[16]

POS端末のカード情報非保持化

クレジット取引セキュリティ対策協議会が発表した「クレジット取引におけるセキュリティ対策強化に向けた実行計画」にてPOS加盟店に以下の対応を2020年3月31日までに完了する指針が明記されている。

  1. POS加盟店のカード情報の非保持化、またはカード情報を保持する場合はPCI DSS準拠
  2. POS加盟店の決済端末のIC(EMV)対応100%実現

1番目の指針に明記されている「カード情報の非保持化」とは、「自社で保有する機器・ネットワークにおいてクレジットカード情報を『保存』・『処理』・『通過』しないこと」を意味する。

クレジット取引セキュリティ対策協議会の実行計画では、サーバを通過せずにカードの承認や売上処理が行われる「決済専用端末連動型」や「ASP/クラウド接続型」などのPOSシステムを導入し、POS端末にカード情報の非保持化を実現することを推奨している。

しかしこの指針にあたってPOS加盟店にはECなど非対面加盟店と比べ、様々な問題を抱えている。それはICカード対応をためのPOSシステムの改修費用とPCI-DSS準拠のための費用負担が荷重であること、EC加盟店と比べると非保持の方法が少ないが、対応せずクレジットカード不正使用された場合は、加盟店の自責扱いになった。

POSシステム暗号化

クレジットカード決済の増加とともにカード情報漏えいや不正利用の被害が拡大しつつあるため、POS加盟店にはセキュリティ強化対策として情報の非保持化やPCI DSSを準拠することが求められる。これらのセキュリティ指針に準拠するためにはPOSシステムの「データ暗号化」が要る。

POSシステムはPOS端末とアプリケーションサーバ、データベース(DB)サーバ等それぞれのシステムが連携されているため、データの送・受信が行われるシステムの区間別に暗号化を適用する必要がある。

データ暗号化ソリューションを導入することで、

  1. POS端末とアプリケーションサーバの間に、データが伝送される区間を暗号化する。
  2. POS端末で処理される個人情報を暗号化する。
  3. DBサーバのに保存されている個人情報や信用情報を暗号化する4)暗号化鍵を徹底に管理し、安全なPOSシステム環境を構築できる。

歴史

アメリカ合衆国スーパーマーケット1960年代終盤にはアメリカの食品雑貨店ビジネスの4分の3を占めるようになったが、市場の成熟とは裏腹に幅が減少した(ちなみに1970年には売上高利益率(売上高に対する利益額)が1%という異常な状態となった)ので、登場したのがPOSシステムである[要出典]しかし当時はバーコードの共通規格がなかったため、POSを導入しても品目が膨大なスーパーマーケットでは、商品コードを設定するだけでも大変な手間となり、大きな効果は得られなかった。[要出典]


1973年にIBMがコンピュータを使うレジを開発。ネットワーク化されたPOSで、128台のレジの売上データが1台の中央装置に集約されるものだった[17]


近年では自動販売機のように顧客が操作できるPOSシステムも一部の大型量販店で導入されている。これはひとつのPOS端末に従業員1名を配置する従来の方式を、複数の客が操作するそれぞれのPOS端末をひとりの従業員が監督する方式に転換することを可能とすることから、人件費を抑制することにもつながっている。

脚注

関連項目

外部リンク

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