STK3

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STK3(serine/threonine kinase 3)またはMST2(mammalian STE20-like kinase 2)は、ヒトではSTK3遺伝子によってコードされている酵素プロテインキナーゼ)である[5][6]

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号STK3, KRS1, MST2, serine/threonine kinase 3
染色体8番染色体 (ヒト)[1]
概要 PDBに登録されている構造, PDB ...
STK3
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

3WWS, 4HKD, 4L0N, 4LG4, 4LGD, 4OH9, 5BRM

識別子
記号STK3, KRS1, MST2, serine/threonine kinase 3
外部IDOMIM: 605030 MGI: 1928487 HomoloGene: 48420 GeneCards: STK3
遺伝子の位置 (ヒト)
8番染色体 (ヒト)
染色体8番染色体 (ヒト)[1]
8番染色体 (ヒト)
STK3遺伝子の位置
STK3遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点98,371,228 bp[1]
終点98,942,827 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
15番染色体 (マウス)
染色体15番染色体 (マウス)[2]
15番染色体 (マウス)
STK3遺伝子の位置
STK3遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点34,875,642 bp[2]
終点35,179,067 bp[2]
RNA発現パターン


さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 トランスフェラーゼ活性
ヌクレオチド結合
protein dimerization activity
protein serine/threonine kinase activator activity
金属イオン結合
キナーゼ活性
protein serine/threonine kinase activity
血漿タンパク結合
ATP binding
magnesium ion binding
protein kinase activity
identical protein binding
細胞の構成要素 細胞質
細胞質基質
細胞核
高分子複合体
生物学的プロセス regulation of cell differentiation involved in embryonic placenta development
positive regulation of extrinsic apoptotic signaling pathway via death domain receptors
positive regulation of protein kinase B signaling
intracellular signal transduction
リン酸化
タンパク質の安定化
positive regulation of DNA-binding transcription factor activity
positive regulation of JNK cascade
Hippo経路
endocardium development
タンパク質リン酸化
primitive hemopoiesis
中枢神経系発生
positive regulation of apoptotic process
positive regulation of protein binding
cell differentiation involved in embryonic placenta development
positive regulation of fat cell differentiation
negative regulation of organ growth
neural tube formation
negative regulation of canonical Wnt signaling pathway
シグナル伝達
negative regulation of cell population proliferation
hepatocyte apoptotic process
アポトーシス
positive regulation of protein serine/threonine kinase activity
regulation of mitotic cell cycle
stress-activated protein kinase signaling cascade
regulation of apoptotic process
activation of protein kinase activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001256312
NM_001256313
NM_006281

NM_019635
NM_001357821

RefSeq
(タンパク質)

NP_001243241
NP_001243242
NP_006272

NP_062609
NP_001344750

場所
(UCSC)
Chr 8: 98.37 – 98.94 MbChr 8: 34.88 – 35.18 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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背景

プロテインキナーゼは、成長因子、化学物質、熱ショック、アポトーシス誘導因子による処理への応答として活性化されることが多い。STK3の活性化も、好ましくない環境条件への対処を可能にしていると考えられている。酵母の'sterile 20'(Ste20)キナーゼは、さまざまなストレス条件下で活性化されるMAPKカスケードの上流で作用する。 STK3は出芽酵母のSte20に類似したキナーゼとして同定され[7]、その後スタウロスポリンFasリガンドといったアポトーシス促進性因子によって活性化されるキナーゼであることが明らかにされた[8][9]

構造

二量体化したSTK3 SARAHドメイン。相互作用に関与している疎水性残基が示されている。

ヒトのSTK3の単量体は56,301 Daで[10]、N末端のキナーゼドメイン、阻害ドメイン、そしてSARAHドメインの3つのドメインから構成される。C末端のSARAHドメインは長いαヘリックスから構成され、二量体化した際には逆平行型コイルドコイルを形成する[11]。SARAHドメインはSTK3とRASSF(Ras association domain family)タンパク質やSAV1英語版との相互作用を媒介することが示されている。RASSFはアポトーシスの活性化に重要な役割を果たしているがん抑制因子であり、SAV1はSTK3をアポトーシス経路と関連づけている[12][13]。STK3が活性化状態となった際には、180番のスレオニン残基が自己リン酸化される[14]

機構

活性化

STK3は、ホモ二量体化、もしくはホモログであるSTK4英語版(MST1)とのヘテロ二量体化に伴う自己リン酸化を介して活性化される[15]。STK4とのヘテロ二量体化の結合親和性はSTK3ホモ二量体と比較して約1/6と弱く、またSTK3/STK3やSTK4/STK4ホモ二量体と比較してキナーゼ活性も低い[13]。スタウロスポリンやFasリガンドによる活性化以外にも、STK3は酸化ストレス条件下でGLRX英語版チオレドキシンが解離することでも活性化されることが明らかにされている[15]。また、アポトーシス時にはカスパーゼ-3が活性化され、STK3はSARAHドメインや阻害ドメインが切断除去されることでキナーゼ活性が活性化される。カスパーゼ-3はSTK3の核外搬出シグナルも切除するため、STK3のキナーゼ断片は核内へ拡散してヒストンH2Bのセリン14番をリン酸化することでアポトーシスを促進する[13]

不活性化

STK3の不活性化は、SARAHドメインに結合するc-Rafによってホモ二量体化と自己リン酸化が阻害されることで行われている[13]

基質

哺乳類のHippoシグナル伝達経路において、STK3はそのホモログであるSTK4とともに上流のキナーゼとして機能しており、その触媒活性によって増殖関連遺伝子のダウンレギュレーションやアポトーシス促進遺伝子の転写の増大といった下流のイベントがもたらされている[15]。STK3がSARAHドメインを介してSAV1を結合すると、STK3はSAV1の助けのもとLATS1英語版/LATS2英語版を、そしてMOB1A英語版/MOB1B英語版Merlinをリン酸化する。LATS1/LATS2はYAP1をリン酸化することで、YAP1の核内移行、そして増殖促進、抗アポトーシス、遊走に関連した遺伝子の転写活性化を阻害する。細胞質では、YAP1はSCF複合体によって分解のための標識が付加される[16]。さらに、STK3はFOXOファミリーの転写因子をリン酸化し、これらは核内に拡散してアポトーシス促進遺伝子の転写を活性化する[15]

疾患との関係

多くの種類のがんにおいて、がん原因子であるc-RafはSTK3のSARAHドメインに結合し、RASSF1英語版を介したSTK3の二量体化、そしてその下流のアポトーシス促進シグナルの伝達を妨げている[17]。また、がんにおいて高頻度で変異がみられるがん抑制遺伝子であるPTENを喪失している細胞ではAktの活性がアップレギュレーションされており、MST2の不活性化の増大と細胞増殖が引き起こされる[18]

出典

関連文献

外部リンク

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