サブスタック
アメリカ合衆国のオンラインプラットフォーム
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沿革
サブスタックは2017年、Kik Messenger共同設立者のクリス・ベスト、Kik Messengerのプラットフォーム責任者兼主任開発者のジャイラジ・セティ、ウェブマガジン『パンドデイリー』の元技術記者ハミッシュ・マッケンジーによって設立された[10][11]。ベストとマッケンジーは、アナリストであるベン・トンプソンのサブスクリプションベースの技術メディアニューズレター『ストラテチェリー』が、彼らのプラットフォームの大きなインスピレーションだったと語った[5]。ベストは同社CEOを務めている[12][13]。
2019年、サブスタックはポッドキャストとニューズレター購読者間の対話スレッドの提供を始めた[14][15]。
2021年11月までに、プラットフォームは有料購読者が50万人を超え、全体で100万件以上の登録件数があると発表した[16]。
2022年1月、サブスタックはプラットフォームでビデオ機能のプライベートベータテストを始めると発表した[16]。11月に、コンテンツ・クリエータが購読者とグループチャットを行える「サブスタック・チャット」がリリースされた[6]。同年、同社はiOS用Substack Readerアプリをリリースし、アンドロイド版は半年後にリリースした[17][18]。
2023年4月、イーロン・マスクはプラットフォームの経営陣とサブスタックの買収について協議したが、彼の申し出は拒否された[19]。同月、サブスタックは利用者が短文コンテンツを投稿・再投稿できるノート機能をリリースした。このミニブログ機能はX (旧Twitter)と比較され、多くのメディアはこれがイーロン・マスク傘下に入ったTwitterへの対応だと考えた[20][21]。マスクはサブスタックのノートを批判し、Twitterはサブスタックへのリンクを監視し始めた[22][23][24]。
2023年11月、サブスタックはビデオ制作と編集の新ツールをリリースし、コンテンツクリエーターはプラットフォームでオリジナル動画を配信し始めた[6][25]。
2024年4月、サブスタックはSpotifyと提携し、ポッドキャスターは作品を両方のプラットフォームで配信できるようにし、ポッドキャストに新しい編集機能を追加した[26]。同年6月、サブスタックはTikTokクリエーターのためのクリエーター・スタジオと名付けた年間開発事業を発表し、チャット機能に5分間ビデオの機能を追加した[27]。ビデオはノートにも追加された[28][29]。
2024年11月までに、サブスタックの有料購読者は400万人となった[30]。
サブスタックはクリエーター向けのライブ配信のオプションを2024年9月に追加した[31][25]。これと2025年1月のアメリカ合衆国におけるTikTok禁止措置に対応し、サブスタックは2025年2月、投稿をサブスタックアプリで直接配信し、収益化できるようにした[28]。同年3月、サブスタックは有料購読者が500万人になったと発表した[32]。6月に独立系ジャーナリストのエリック・ニューカマーは、サブスタックの新しい資金調達協議について報じた。『ニューヨーク・タイムズ』は後に、サブスタックが1億ドルを調達し、企業価値は11億ドルになったと報じた[33][34]。
コンテンツ
サブスタックの利用者には、ジャーナリスト、主題専門家、そしてメディアプラットフォームが含まれる[35][36][37]。『ニューヨーク・タイムズ』のコラムニスト、マイク・アイザックは2019年、サブスタックのような企業はニューズレターを、ライターとより直接つなげることで読者を維持する手段とみていると主張した[12]。2020年、『ニュー・リパブリック』は、特に全国レベルの政治ニューズレターと比べて、ここには地域ニュースのニューズレターが不足していると語った[38]。
2020年後半の時点で、多くのジャーナリストと記者がプラットフォームに参加し、これはオールドメディアの長期的衰退が一因だった(2019年には2004年と比べ報道局の求人は半減した)[39]。『ザ・ニューヨーカー』は「サブスタックはジャーナリズムのための親密な場所と宣伝しているが…そのニューズレターがオリジナル記事を載せたのはわずかだった。多くは個人の記事、意見、調査、分析だった」と報じた[40]。同誌はサブストラックのコンテンツ配信ポリシーを「軽量」と表現し、「嫌がらせ、脅迫、スパム、ポルノ、そして暴力の呼びかけ」を禁止するルールが設けられ、それは設立者によって決定されているとした[40]。
2021年までにプラットフォームを利用した著名なジャーナリストと作家は次の通り。作家のグレン・グリーンウォルド、経済学者ポール・クルーグマン、ジャーナリストのシーモア・ハーシュ、文芸批評家アン・ヘレン・ピーターセン、音楽評論家ロバート・クリストガウ、料理作家アリソン・ローマン[41]、歴史家ヘザー・コックス・リチャードソン、技術ジャーナリストのケイシー・ニュートン[42]とエリック・ニューカマー[43]、データジャーナリストのマシュー・イグレシアスとG・エリオット・モリス[44][45]、エコノミストのグレン・ロウリーとエミリー・オスター、言語学者ジョン・マクウォーター、ジャーナリストのマット・タイービとバリ・ワイス[46]、作家のダニエル・M・ラバリー、ジョージ・ソーンダーズ、ニック・ホーンビィ、スーザン・オーリアン、ブレイク・ネルソン、チャック・パラニューク[47]、マリアン・ウィリアムソン[48]、サルマン・ラシュディ[49]、トゥイ・サザーランド[50]、デビッド・ベントレー・ハート[51]、そしてスコッティ・ヤング[52]。
資金調達
ライターは自分のニューズレターの購読を無料にするか有料にするか選ぶことができ、特定のポストを購読者以外に公開することもできる[40]。2020年現在[update]、最低購読料は月5ドルか年30ドルで[40]、サブスタックは通常購読料の10%を徴収する[37][10]。サブスタックはライターの広告スペースに課金していない[39]。2019年2月、プラットフォームはライターに対し有料ポッドキャストを了承した[53]。サブスタックは2018年に11,000人だった有料購読者が、2019年には5万人に増加したと発表した[53]。

サブスタックは2018年に、チャーニン・グループ、ZhenFund、ツイッチCEOエメット・シア、そしてジンガ共同創設者ジャスティン・ウォルドロンを含む投資家から最初のシードラウンド資金を調達した[54]。アンドリーセン・ホロウィッツ社は2019年にシリーズAラウンドで1530万ドルを提供し、その一部は著名なライターをサブスタックのネットワークに迎えるのに使われた[55]。サブスタックは一部のコンテンツクリエーターに、彼らのプラットフォームを使い始める資金を供与した[37]。
2019年、サブスタックは一部のライターに、3千ドルの奨学金とサンフランシスコでの1日ワークショップを含むフェローシップを提供した。『スポーツ・イラストレイテッド』、『デッドスピン』、そして『NBネーション』などのスポーツ誌の出版の衰退とCOVID-19パンデミックの中、スポーツジャーナリストたちは2019年から2020年にかけてサブスタックで執筆するようになった。サブスタックはサブスクリプションサイトの『ジ・アスレチック』と競合しており、マッケンジーによると同社はこのマーケットで積極的な採用活動はしていない[10]。2020年、パンデミックが広がった後、サブスタックは千ドルから3千ドルの助成金を40人以上のライターに提供し、彼らはプラットフォームで執筆を始めた[10]。2021年にはコミックコンテンツにも進出し、サラディン・アフメッド、ジョナサン・ヒックマン、モリー・オスタータグ、スコット・スナイダー、そしてジェームズ・タイニオン4世を含むコミック作家が契約し、彼らにサブスクリプション収入を還元した。サブスタックがサブスクリプションの10%を徴収するのは1年後からである[46]。
サブスタックの創設者たちは、最初のクリエーターを獲得するために、2017年に少数のライターに接近した[11]。そのうちの一人ビル・ビショップはニューズレター『シノシズム』をサブスタックで始め、料金は月11ドルか年118ドルに設定した[5]。2019年にビショップの『シノシズム』はこのサービスでトップの成績をあげた[53]。2020年後半までに保守系ニューズレター『ザ・ディスパッチ』がサブスタックのトップユーザーになり、創設者スティーブン・F・ヘイズによると10万人以上の購読者と初年度200万ドルを得た[39]。2021年5月、サブスタックはブルックリン区に本拠のあるスタートアップ、People & Companyを獲得した[56]。2020年8月、サブスタックは10万人以上のユーザーが少なくとも1つのニューズレターを購読していると報告した[55]。2021年8月には、サブスタックは25万人以上の有料購読者がいて、トップ10のライターは年間700万ドルを得ていると報告した[57]。2022年4月、ニューヨーク・タイムズはサブスタックの評価額が6億5千万ドルと報じた[58]。サブスタックは2022年5月に、資金調達の取り組みを中止した[59]。同社は7千500万ドルから1億ドルの資金調達を目指していた[59]。
プログラム
2021年3月、サブスタックはサブスタック・プロというレベニューシェアプログラムを実験的に採用すると発表し、そこではライターにプラットフォームで発行する作品の前払いを行うとしたが[4]、サブスタック・プロにどのライターが参加しているか公開されないという批判を受けた[60]。このプログラムは2022年に終了した[61]。
サブスタックはライターに法律的アドバイスを行う、サブスタック・ディフェンダーというプログラムを提供している。作品が発行される前に弁護士が法律上のレビューを行い、作品に関連した排除措置に関するアドバイスを行う。サブスタックは弁護士に最大100万ドルの報酬を支払う[57]。2025年にプログラムは個人の権利と表現のための財団との連携に拡張された[62]。
批判
2020年7月28日、サブスタックはカリフォルニア州消費者プライバシー法のプライバシーポリシー更新メールにおいて、利用者の電子メールアドレスを、誤って「bcc」でなく「cc」で発信し、情報が漏洩した。同社はこのミスをTwitterで認めた[63]。
2020年、Twitter、Facebook、YouTubeといった人気プラットフォームは、COVID-19関連誤情報を拡張するアカウントの制限あるいは削除を始め、誤情報拡散をしたといわれる一部の著名な作家は、そうしたプラットフォームからサブスタックへ移ってきた。『ワシントン・ポスト』は、ジョーゼフ・マーコラとスティーブン・バノンがオンライン発信の場をサブスタックに移した陰謀論者だと報じた[64]。
2022年1月、デジタルヘイト対策センターは、サブスタックが公衆衛生に危険を及ぼすコンテンツを許可したとして非難した。センターは、サブスタックの反ワクチン派ライターの上位5人だけで、年間250万ドルの収益をあげたと推定した[64]。3人の創設者はこれに対し、最小限の検閲をするとブログで声明を出した[65]。
サブスタックは2023年11月、プラットフォームを白人ナショナリズム、ナチズム、反ユダヤ主義者が使うのを許可したとして、批判にさらされた[66]。公開書簡によると、100人以上のライターがプラットフォームを離れると批判し[67]、サブスタックのリーダーが偏見プラットフォームを続けるのをやめるよう主張した[68]。これに対し、サブスタックCEOハミッシュ・マッケンジーは、同社が過激派の見方を配信するのは許容する、なぜなら彼らを検閲するのは問題を悪くするだけだ、と表明した[69][70]。ライターのケイシー・ニュートン[71][72][73]、モリー・ホワイト、そしてライアン・ブロデリックは、その結果プラットフォームを離れた[74]。