TRAIL

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TRAIL(TNF-related apoptosis-inducing ligand)もしくはTNFSF10(TNF superfamily member 10)、CD253(cluster of differentiation 253) は、アポトーシスと呼ばれる細胞死過程を誘導するリガンドとして機能するタンパク質である[5][6][7]

PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
記号TNFSF10, APO2L, Apo-2L, CD253, TL2, TRAIL, TNLG6A, tumor necrosis factor superfamily member 10, TNF superfamily member 10
染色体3番染色体 (ヒト)[1]
概要 TNFSF10, PDBに登録されている構造 ...
TNFSF10
PDBに登録されている構造
PDBオルソログ検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1D0G, 1D2Q, 1D4V, 1DG6, 1DU3, 4N90

識別子
記号TNFSF10, APO2L, Apo-2L, CD253, TL2, TRAIL, TNLG6A, tumor necrosis factor superfamily member 10, TNF superfamily member 10
外部IDOMIM: 603598 MGI: 107414 HomoloGene: 2824 GeneCards: TNFSF10
遺伝子の位置 (ヒト)
3番染色体 (ヒト)
染色体3番染色体 (ヒト)[1]
3番染色体 (ヒト)
TNFSF10遺伝子の位置
TNFSF10遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点172,505,508 bp[1]
終点172,523,475 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
3番染色体 (マウス)
染色体3番染色体 (マウス)[2]
3番染色体 (マウス)
TNFSF10遺伝子の位置
TNFSF10遺伝子の位置
バンドデータ無し開始点27,371,177 bp[2]
終点27,396,576 bp[2]
RNA発現パターン




さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 cytokine activity
金属イオン結合
血漿タンパク結合
tumor necrosis factor receptor superfamily binding
tumor necrosis factor receptor binding
受容体結合
zinc ion binding
identical protein binding
TRAIL binding
細胞の構成要素 integral component of membrane

integral component of plasma membrane
細胞外領域
エキソソーム
細胞外空間
細胞膜
生物学的プロセス activation of cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic signaling pathway
細胞間シグナル伝達
細胞表面受容体シグナル伝達経路
positive regulation of cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic process
免疫応答
positive regulation of I-kappaB kinase/NF-kappaB signaling
positive regulation of release of cytochrome c from mitochondria
positive regulation of extrinsic apoptotic signaling pathway
regulation of extrinsic apoptotic signaling pathway via death domain receptors
activation of cysteine-type endopeptidase activity involved in apoptotic process
シグナル伝達
アポトーシス
negative regulation of extrinsic apoptotic signaling pathway via death domain receptors
positive regulation of apoptotic process
男性生殖腺発生
response to insulin
regulation of signaling receptor activity
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
ヒトマウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_001190942
NM_001190943
NM_003810

NM_009425

RefSeq
(タンパク質)

NP_001177871
NP_001177872
NP_003801

NP_033451

場所
(UCSC)
Chr 3: 172.51 – 172.52 MbChr 3: 27.37 – 27.4 Mb
PubMed検索[3][4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト閲覧/編集 マウス
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TRAILは、大部分の正常組織において産生・分泌されている一方で、腫瘍細胞に対して選択的にアポトーシスを引き起こすサイトカインである[7]。TRAILとその受容体は1990年代半ばから抗がん剤開発の標的となっている(マパツムマブ 英語版など)一方で、2013年時点で有意な延命効果が示されたものはまだない[8]。TRAILはさまざまな肺疾患において発症因子もしくは保護因子として示唆されており、特に肺動脈性肺高血圧症の病理において重要である[9]

遺伝子

ヒトにおいてTRAILをコードしているTNFSF10遺伝子は3番染色体英語版3q26領域に位置し、他のTNFファミリーのメンバーの遺伝子とは近接していない[5]TNFSF10遺伝子の長さは約20 kbで、5個のエクソンと4個のイントロンから構成される。FasLTNF-αといった他のTNFファミリーの遺伝子とは対照的に、プロモーター領域はTATAボックスCAATボックス英語版を欠いており、GATA英語版AP-1C/EBP英語版Sp1といった転写因子の結合が推定されるエレメントが存在している[10][11]。TIC10やONC201といった低分子によってTNFSF10遺伝子の発現をアップレギュレーションすることで、一部のがん細胞の死が誘導されることが報告されている[8][12]

構造

TRAILは281アミノ酸から構成され、II型膜貫通タンパク質の特徴を有する。N末端側の細胞質ドメインは他のTNFファミリーとの保存性はみられないが、C末端側の細胞外ドメインは保存されており、タンパク質分解によって細胞表面から切断遊離する。TRAILはホモ三量体を形成し、3個の受容体分子に結合する[10]

機能

TRAILはデスレセプター英語版DR4英語版(TRAIL-RI)およびDR5英語版(TRAIL-RII)に結合し、アポトーシスを誘導する[13][14]。アポトーシス過程はカスパーゼ-8依存的である。カスパーゼ-8は、プロカスパーゼ-3-6-7英語版などの下流のエフェクターカスパーゼを活性化し、特定のキナーゼの活性化をもたらす[15]。TRAILはDcR1英語版DcR2英語版にも結合する。DcR1は細胞質ドメインを持たず、DcR2はデスドメイン英語版が切り詰められている。DcR1はTRAILを中和するデコイ受容体英語版として機能する。DcR2の細胞質ドメインは機能的であり、NF-κBを活性化する。DcR2を発現している細胞では、TRAILのDcR2への結合によってNF-κBが活性化され、細胞死シグナル伝達経路に拮抗したり、炎症を促進したりすることが知られている遺伝子の転写が引き起こされる。これらデスレセプター(DR4、DR5)やデコイ受容体(DcR1、DcR2)に対してさまざまな親和性を有するよう改変したリガンドを投与することで、細胞死の1型/2型経路の活性化や一細胞レベルでの変動を制御した、がん細胞の選択的標的化の実現の可能性がある。こうしたアプローチのために、TRAILを模倣した発光性イリジウム錯体ペプチドハイブリッドが合成されている。この人工的TRAIL模倣体はがん細胞上のDR4/DR5に結合し、アポトーシスとネクローシスの双方を介して細胞死を誘導することが示されており、抗がん剤開発の候補分子となっている[16][17]

創薬標的としてのTRAILとその受容体

TRAILを結合するデスレセプターを標的としたさまざまな薬剤の開発が行われているが、臨床試験においてこうした薬剤に応答するのはがん患者はわずかである。多くのがん細胞ではTRAILに対する抵抗性が獲得されており、TRAILを標的とした治療の効果は限定的なものとなっている[18]

出典

関連文献

外部リンク

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