エックスハイト
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エックスハイト(x-height、別名コーパスサイズ (corpus size))とは、タイポグラフィにおいて書体のベースラインから小文字のミーンラインまでの距離を指す。一般に文字「x」の高さで示され、他にv、w、zが同じ高さを持つ。曲線を持つa、c、e、m、n、o、r、s、uといった文字は、オーバーシュートによってわずかにエックスハイトを超える傾向がある。また、小文字のiはエックスハイトより上に突き出ている。エックスハイトは書体設計における最も重要な寸法の一つであり、アセンダーのない小文字が大文字の高さ(キャップハイト)と比べてどの程度の高さを持つかを決定する。



看板やポスターなど大きなサイズで用いることを前提としたディスプレイ書体では、エックスハイトの大きさは一定しない。多くの書体は遠距離での判読性を高めるためエックスハイトを高めているが、CochinやKoch-Antiquaのように、エレガントで繊細な外観を与える目的でエックスハイトを低く設計したものもある。これは20世紀初頭に広く見られたスタイルである[2][3]。HelveticaやImpactなど、ディスプレイ用に設計された多くのサンセリフ体は、エックスハイトを高くとっている。

書体デザインにおける特徴
本文用の書体では、中程度のエックスハイトが一般的である。これにより大文字と小文字のバランスが整い、紙面が明るく見えるとされる。小さなサイズで印刷されるキャプション用書体など、光学サイズに応じて設計されたフォントでは、文字が潰れないようエックスハイトを大きくとる傾向がある[4][5]。

1960年代から1970年代にかけては、エックスハイトを高めたディスプレイ書体が特に一般的となった。この時代、インターナショナル・タイプフェース・コーポレーション (ITC) は、既存デザインを基にエックスハイトを拡大したバリエーションを多数発表した。代表例としてAvant Garde GothicやITC Garamondがある[6][7]。1990年代以降は、エレガントな印象を重視し、Mrs Eaves、Neutraface、Brandon Grotesqueなど、意図的に低いエックスハイトを採用した書体も登場している。コンピュータの普及によって任意のサイズで印字可能となったが、アドビなどのフォントメーカーは依然として光学サイズを考慮した書体を提供している[8]。例えばMrs Eavesには、オリジナルのデザインに加えて、本文用に調整された「XL」バージョンが存在する[9]。
研究によれば、高いエックスハイトは小さな文字の可読性を高める一方、過度に高い場合は逆効果となる可能性があると指摘されている。これは文字の高さが均一に近くなると、単語の形状を識別しにくくなるためと推測される。同様の理由から、一部の標識作成マニュアルでは全文大文字表記を避けるよう勧告している[10][11][12]。
ウェブデザインでの使用
コンピューティングにおいてエックスハイトは、ウェブページでの測定単位としても利用される。CSSやLaTeXでは、エックスハイトを基準とする単位「ex」が存在する。ただし、exの扱いはブラウザによって異なるため、オブジェクトの寸法指定としてはemに比べ安定性に欠ける。Internet Explorerはexをemのちょうど半分とみなし、Mozilla Firefoxはフォントの実際のエックスハイトに近い値として現在のフォントのピクセルハイトを基準に丸めて寸法を決める。そのため、算出値がピクセル単位で丸め処理される際、exとemの正確な比率はブラウザ内でフォントサイズによって変化する可能性がある。例えば高さ10ピクセルのフォントでエックスハイトが45%と計算される場合、exの値は4ピクセルか5ピクセルに丸められるか、または4.5ピクセルのままで解釈されることがある。