きく8号
From Wikipedia, the free encyclopedia
きく8号(きく8ごう)は宇宙航空研究開発機構(JAXA)、 情報通信研究機構(NICT)、日本電信電話株式会社(NTT)が共同で開発した技術試験衛星である。開発時の名称は技術試験衛星VIII型 (ETS-VIII) であり、これまでの慣習に従い、きく8号という愛称がつけられた。JAXAの衛星は打ち上げが成功した後で公式な愛称が発表されるのが一般的であるが、当機は打ち上げ前に愛称が公表された。これは「だいち」と同様であった。
| 技術試験衛星VIII型 「きく8号(ETS-VIII)」 | |
|---|---|
|
| |
| 所属 | JAXA, NICT, NTT |
| 主製造業者 | 三菱電機 |
| 公式ページ | 技術試験衛星VIII型「きく8号(ETS-VIII) |
| 国際標識番号 | 2006-059A |
| カタログ番号 | 29656 |
| 状態 | 運用終了 |
| 目的 | 3t級静止衛星バスシステム及び移動体通信の実証 |
| 設計寿命 |
3年(ミッション機器) 10年(バス機器) |
| 打上げ機 | H-IIAロケット 11号機 |
| 打上げ日時 | 2006年12月18日15:32 (JST) |
| 軌道投入日 | 2007年1月8日19:59 (JST) |
| 運用終了日 | 2017年1月10日 |
| 停波日 | 2017年1月10日15:25 (JST) |
| 物理的特長 | |
| 衛星バス | DS2000 |
| 本体寸法 | 2.45 m × 2.35 m × 7.3 m |
| 最大寸法 |
40 m (太陽電池パドル端間) 37 m (展開アンテナ端間) |
| 質量 |
5.8 t (打ち上げ時) 2.8 t (静止軌道投入時) 1.1 t (ペイロード) |
| 発生電力 | 7.5 kW(3年後夏至) |
| 主な推進器 |
500N級2液式化学スラスタR-4D-11 25mN級キセノンイオンエンジン XIES |
| 姿勢制御方式 | 3軸姿勢制御 |
| 軌道要素 | |
| 周回対象 | 地球 |
| 軌道 | 静止軌道 |
| 静止経度 | 東経146度 |
| 高度 (h) | 約 36,000 km |
| 軌道傾斜角 (i) | 0度 |
| 軌道周期 (P) | 1日 |
| 搭載機器 | |
| LDR | 大型展開アンテナ反射鏡部 |
| LDAF | 大型展開アンテナ給電部 |
| SCNE | S帯コンバータ部 |
| OBP | 音声通信用搭載交換機 |
| PKT | 高速データ通信用衛星搭載パケット交換機 |
| FLCE | Ka帯フィーダリンク装置 |
| HAC | 高精度時刻基準装置 |
| TCE | 高精度時刻比較装置 |
| SLR | レーザー反射鏡 |
| DPR | 展開ラジエータ |
| TEDA | 技術データ取得装置 |

目的
機体
大型展開アンテナ小型・部分モデル(LDREX-1/2)
計画の推移
- 2006年
- 2007年
- 1月8日:所定の位置である東経146度にて、衛星の静止化完了。
- 1月30日:低雑音増幅器(LNA)の電源投入試験中、異常が発生[1]。新聞報道によると、異常が発生したのは受信側アンテナの増幅器であり、電源を投入する命令を送ったところ、断続的にオン・オフを繰り返す現象が発生した。予備電源系統も同様の状態だという。送信側アンテナは正常であるが、復旧しない場合は今後の地上との通信試験が大きく制約される可能性がある。2月21日現在、8系統ある増幅器のうち1系統でショートしている可能性が高いとされている。
- 4月25日:定常運用へ移行した。故障している受信側アンテナの低雑音増幅器電源(LNA-PS)については、引き続き原因の調査および対策方法の検討が行われている。LNA-PS以外の装置については、問題は起きていない。
- 9月5日:きく8号の実験成果の中間報告が行われた。大型展開アンテナ(LDR)の鏡面精度や利得、測位システムの精度は設計どおり。磁場や帯電などの宇宙環境をモニタするための技術データ取得装置(TEDA)も正常に稼動している。きく8号の通信機能を使用した防災訓練も行われた[2]。
- 2008年
- 2010年1月8日:定常運用を終了し、後期利用段階へ移行[4]。
- 2011年
- 3月24日:東北地方太平洋沖地震の災害対策支援として情報通信研究機構と協力の上、岩手県大船渡市市役所に地上アンテナと可搬型通信実験端末を設置。筑波宇宙センター経由で768kbpsの衛星通信回線を接続し、市職員にインターネット接続環境を提供[5][6]。
- 4月4日:同様に災害対策支援として岩手県上閉伊郡大槌町中央公民館に地上アンテナと可搬型通信実験端末を設置。一般の被災者向けにインターネット接続環境を提供[6]。
- 4月10日:大船渡市役所への衛星通信回線の接続提供を終了[6]。
- 4月21日:大槌町中央公民館への衛星通信回線の接続提供を終了[6]。
- 4月26日:宮城県女川町嵩白浜の避難所へ地上アンテナと可搬型通信実験端末を設置。一般の被災者向けにインターネット接続環境を提供[6]。
- 5月12日:地上通信系インフラの復旧にともない、女川町嵩白浜の避難所への衛星通信回線の接続提供を終了。東北地方太平洋沖地震におけるきく8号による災害対策支援が終了[6]。
- 2017年1月10日15時25分 (JST):停波作業を実施し、運用を終了[7]。
その他
きく8号に関連する作品
- 妄想科学シリーズ ワンダバスタイル 本編中に「キク8号」(声:清水愛)というキャラクターが登場する。名前の由来は日本の技術試験衛星「きく」シリーズからと見られている。なお、この作品の制作当時には人工衛星のきく8号は打ち上げられていなかった。