寄合酒

古典落語の演目の一つ From Wikipedia, the free encyclopedia

寄合酒』(よりあいざけ)は古典落語の演目。別題は『ん廻し』(んまわし)、『田楽食い』(でんがくくい)[1]。 これらの別題について、東大落語会編『落語事典 増補』は、本来の落ち(サゲ)を含むパートを『ん廻し』として、それに対する上方落語での演題を『田楽食い』とする[1]。これに対して、宇井無愁は上方での演題を『寄合酒』、江戸落語(東京)での演題を『田楽食い』とする[2]。ただし6代目三遊亭圓生は『寄合酒』の演題で演じていた[3]。前田勇は上方落語において、『田楽食い』を「『寄合酒』の奥」とし[4]、『寄合酒』を「『田楽食い』で落す(原文ママ)」としている[5]

上方から東京に移入された[5]

集まった若い衆が持ち寄った食材で宴会を開くことにし、味噌田楽が焼けてきたところで「ん」のつく言葉を言ったものが田楽を1串食べられるという遊びをするという内容。ただし、1960年代 - 1970年代ごろにはすでに「ん」のつく言葉を言い合う最後まで演じないことが多くなったと指摘されている[1][6]

宇井無愁は、言葉遊びで田楽を取り合うという趣向は「古くから諸書に出ている」として、以下の6つを挙げている[2]

  1. 『戯言養気集』上巻「うたの事件」
  2. 『きのふはけふの物語』上巻 第43
  3. 醒睡笑』第6巻「児(ちご)の噂」17
  4. 『醒睡笑』第6巻「児(ちご)の噂」43
  5. 万治2年(1659年)『百物語』上巻48
  6. 元禄16年(1703年)『軽口露がはなし』第1巻19「親父がはたらき三国一」

このうち1 - 5 はいずれも「ちゃうすん」といって3串を取るという落ち、6は若干趣向が異なり判じ言葉(たとえば「御髪(みぐし)」で3串)で競っていたところ一人が髪振り乱しこわい形相をして「私は鬼だから全部取る」と言うと別の一人が「自分は乞食だから1つ恵んでくれ」と返すという内容である[2]

あらすじ

※以下、東大落語会編『落語事典 増補』掲載の内容に準拠する[1]

町内の若い衆が食材を持ち寄って飲むことにする。みな金は乏しいためかなりあやしい方法で材料を集め、調理を始めると今度は粗相ばかりする。やがて味噌田楽が焼け始めたので、言った言葉の「ん」の数だけ串をとると決める。すると半鐘の音を口真似してたくさん「ん」の数を稼ごうとする者が出てきたりする。ついには誰かが「矢を射ると太鼓がドンと鳴る」という様子を何度も繰り返したため、「そんなにたくさん言うと焼くのが間に合わない」と文句を言うと「矢数(=焼かず)で食うからいい」。

バリエーション

落ち(サゲ)として、5代目古今亭志ん生や6代目三遊亭圓生は「消防の真似だから焼かずに食わせるんだ」としていた[1][3]。上方でも、消防車の口真似の後「あかんあかん、まだやけてへんのや」という形が見られると、宇井無愁は記している[2]

6代目三遊亭圓生の口演では、食材を持ち寄った若い衆が酒が手に入らないため、知り合いの「兄貴」の家に酒があるからと、その部屋を借りる際に酒の容器を来る途中で割ったと芝居を打つ下り(失敗するが入れてはもらえる)がある[3]。6代目圓生は『円生全集』の作品解説で、最近他の落語家が演じるものは自分のものとかなり違い、食材を集める部分が非常に多くなって、兄貴の家を借りる部分も「ん廻し」もやらず、「これから呑むというところでお終いになってしまう」と述べている[6]

脚注

参考文献

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