ドネペジル

アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症進行抑制剤 From Wikipedia, the free encyclopedia

ドネペジルdonepezil)は、コリンエステラーゼ阻害剤の一種であり、アルツハイマー型認知症(痴呆)[1]レビー小体型認知症進行抑制剤として利用される[2]エーザイ杉本八郎[3]らにより開発された。機能性胃腸症に使用されるアコチアミドアコファイド)に機序が似ているため、併用すると効果が強く現れる場合がある[4]。2022年12月23日、ドネペジルの貼付剤(商品名アリドネパッチ)の製造販売が承認された[5]

投与経路 Oral tablet, 5 & 10 mg
ATCコード
法的地位
  • 一般: ℞ (処方箋のみ)
概要 臨床データ, 投与経路 ...
ドネペジル
臨床データ
投与経路 Oral tablet, 5 & 10 mg
ATCコード
法的地位
  • 一般: ℞ (処方箋のみ)
薬物動態データ
生体利用率 100 (%)
タンパク結合 96%
消失半減期 70 hours
排泄 0,11-0,13 (l/h/kg)
識別子
CAS登録番号
PubChem
CID
DrugBank
ChemSpider
KEGG
CompTox
Dashboard

(EPA)
ECHA InfoCard 100.125.198 ウィキデータを編集
化学的および物理的データ
化学式 C24H29NO3
分子量 379.492 g/mol g·mol−1
3D model
(JSmol)
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ドネペジル塩酸塩 (donepezil Hydrochloride) は、アリセプトという商品名エーザイから発売され、かつては海外市場おいてはファイザーとの提携により、同名(Aricept)で販売されている。「新薬開発におき、欧米企業に後れをとる」と批判されがちな日本の製薬業界であるが、アリセプトは日本国外市場でも市場占有率8割以上を誇る[要出典]

適用・効能

  • アルツハイマー型認知症 (AD) の認知症症状の進行抑制に用いられる[1]。ADの早期に使用することによって認知機能の一時的な改善をもたらす。ADの病態を治療したり、最終的に認知症が悪化することを防ぐ薬剤ではない。
    • 投与は最小用量から開始しなければならない[1]。投与12週以降、臨床認知機能評価尺度の点数を改善する。
    • 数年以上の長期にわたる投与試験は行われておらず、現時点で長期投与の有効性についてのデータはない。これは、投薬対象人口が高齢であり、ランダムサンプルを用いた縦断的研究データ収集が難航しているからである。
  • レビー小体型認知症 (DLB)に対しても進行抑制に用いられ、 2014年に世界初のDLB治療薬として認可を受けた[2]

2018年のシステマティックレビューでは、中等度の証拠の質で、30研究計8257人から、軽症、中等症、重症のADで12-24週のドネペジルの治療によって認知機能や日常の活動に、小さな恩恵があった[6]

作用機序

アルツハイマー型認知症では、脳内コリン作動性神経系の障害が認められる。本薬は、アセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼを可逆的に阻害することにより脳内アセチルコリン量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する[7]

禁忌・副作用

ピペリジン誘導体に過敏反応のある者は使用できない。重大な副作用として高度徐脈、心筋梗塞、消化性腸潰瘍、肝障害、錐体外路症状などが現れた場合は医師に相談し服用を中止する。なお、ドネペジルの開始用量とされる1日 3 mg というのは有効用量ではなく[8]、副作用の発生を抑えるべく身体を慣れされるために設定されている。また、誤飲などによってドネペジルが過量投与となった場合は、アセチルコリンが適切に分解できずに問題が起こるわけだが、この際に、アトロピンのような3級アミンの構造を持った抗コリン剤は解毒薬として使用できる。これに対して、4級アンモニウムの構造を持った抗コリン剤を使用すると、心拍や血圧が不安定になるとった問題が発生するとの報告が存在する[9]

用量・用法

ADに対しては1日1回 3 mg から開始し、1 -2週間程度で 5 mg に増量する。高度ADに対しては、5 mg を4週間投与後に 10 mg まで増量することも認められている。
DLBに対しては同様に3mgから開始し、5mgを経て10mgまで増量する。
10mgは5 mg 投与時より副作用が出現し易いので増量には充分な注意を要する。

エピソード

アリセプトの開発者の1人、杉本八郎が認知症になった母親に誰かと尋ねられ「息子の八郎ですよ」と声をかけたところ、「そうですか、私にも八郎という子どもがいるんですよ」との返事を受けた[7][10]。これをきっかけに、杉本は、会社から2度も認知症薬の開発を中止するよう厳命を受けたにもかかわらず、拒否し、5年以上の歳月をかけて、認知症薬アリセプトの創製に結びつけた[11]

1998年、杉本はドネペジル開発の功労が認められ、イギリスのガリアン賞を受賞している[12]

特許切れによりジェネリック医薬品にシェアを奪われたエーザイは、会社を支える新商品の開発を目指し新興企業のバイオジェンに協力してアデュカヌマブレカネマブの開発に成功している[13]

立体化学

ドネペジルはラセミ体、すなわち、以下の2つのエナンチオマーの 1:1 混合物である[14]

さらに見る ドネペジルのエナンチオマー ...
ドネペジルのエナンチオマー

(R)-エナンチオマー

(S)-エナンチオマー
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関連項目

脚注

参考文献

外部リンク

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