ポビドンヨード
ヨウ素を含む複合体、医薬品のひとつ
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ポビドンヨード (povidone iodine, PVPI) は、1-ビニル-2-ピロリドンの重合物(ポリビニルピロリドン)とヨウ素の複合体で、日本薬局方と WHO必須医薬品モデル・リスト殺菌剤、それぞれが収載する医薬品のヨウ素剤である。暗赤褐色粉末で、わずかな臭気がある[1]。10パーセント (%) 程度の水溶液を外用消毒薬として多用する。液剤は黒褐色でヨウ素特有の臭気と味を有す[2]。
歴史
アメリカのShelanski H.A.らによって1956年に開発され、日本では明治製菓(現:Meiji Seika ファルマ(製造元)、販売元は明治)が1961年に殺菌消毒剤及びうがい薬として医薬品承認を得た[3]。ムンディファーマがライセンスを有する商品名「イソジン」(Isodine) が知られ、2016年4月以降は塩野義製薬やシオノギヘルスケアが販売を受託している。ムンディファーマは、30か国以上[要出典]でポビドンヨードを含む製品を「BETADINE(ベタダイン)」ブランドで販売している[4]。「ベタダイン」はうがい薬、きず薬、殺菌・消毒剤のほか「イソジン」にはないボディソープ、フェミニンケア製品がある。
薬効
遊離ヨウ素による殺菌効果を有する。ヨウ素などハロゲンは細菌の蛋白質合成を阻害して殺菌力を発揮するが、旧来のアルコール溶液ヨードチンキは人体刺激が強く粘膜消毒に不適で、本品がポリビニルピロリドンの錯化合物として新たに合成された。うがい、外科手術、粘膜創傷、熱傷皮膚、感染皮膚など広範囲に用いる[5]。
塗布後30 - 60秒後に殺菌力が最も強くなる。
日本では消毒剤として持続効果の評価が高く、手術前の皮膚消毒や術野の消毒などで多用される。
芽胞菌に有効な消毒剤は人体毒性も高いが、本品は人体毒性が低く一部の芽胞菌に有効性で、院内感染に有効な消毒剤として注目されている。衣服に着色時は、チオ硫酸ナトリウムのエタノール溶液であるハイポアルコールを脱色に用いる。
うがい用イソジンガーグル、手指消毒スクラブ剤、ゲル化塗布剤、チューブ剤、水溶液剤、アルコール製剤、ポビドンヨード含浸綿品、ソフトコンタクト洗浄剤など商品は多種多様である。
副作用
化合物としてのポビドンヨードと製品は、副作用評価が同一ではない。ポビドンヨードの製品であるイソジンガーグル液7%(1ml中70mg含有、有効ヨウ素として7mg含有)の添付文書を下記。
総症例1,166例中副作用発現は11例0.94%で、嘔気4例、口内刺激3例、その他不快感、口内のあれ、口腔粘膜びらん、口腔内灼熱感各1例。(再評価結果)
- 重大な副作用 - ショック、アナフィラキシー様症状として、呼吸困難、不快感、浮腫、潮紅、蕁麻疹などが0.1%未満、発現時は観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに使用を中止して適切な処置を行う。
- その他の副作用
- 0.1 - 5%の場合、口腔:口腔、咽頭の刺激感、消化器:悪心等
- 0.1%未満の場合 - 過敏症:発疹等、口腔:口腔粘膜びらん、口中の荒れ等
- その他:不快感(過敏症の場合)症状があらわれた場合は使用中止。
禁忌、一般的注意
イソジン
1950年代に開発されたポビドンヨード (PVPI) を有効成分とした殺菌・消毒剤の世界的ブランドで、ベタダインとして各国で使用される[8]。
1961年に明治製菓(2011年からMeiji Seika ファルマ)は、ムンディファーマと連係して医療用医薬品の外用消毒剤を発売した。1983年に一般用医薬品としてうがい薬を発売し、1985年からキャラクター「カバくん」のイラストをパッケージに用いて販売した[9]。
2015年12月9日にムンディファーマと塩野義製薬は、一般用医薬品のイソジンブランド品である、イソジンうがい薬/―うがい薬P/―うがい薬C/―のどフレッシュF/―ウォッシュ/―きず薬/―軟膏について、Meiji Seikaファルマから承継して新たにムンディファーマが日本国内の独占的な販売提携契約を締結し、2016年3月31日からシオノギヘルスケアが国内で販売と流通を担うと発表した[10]。
明治はイソジンブランドを外して内容と外装デザインを変更せず、「うがい薬」などの販売を継続する[9]。「明治うがい薬」は2022年11月に製造販売承認を健栄製薬が承継し、「健栄うがい薬」へ製品名を変更した。
ムンディファーマは、2016年8月1日にMeiji Seika ファルマからイソジンブランド医療用医薬品の製造販売承認を承継し、2016年8月10日からイソジンガーグル液 7%、―液 10%、―スクラブ液 7.5%、―フィールド液 10%、―パーム液 0.5%、―産婦人科用クリーム5%、―ゲル10%を、3月3日から発売しているシュガーパスタ軟膏(後発品)に併せて発売した[11]。2017年9月1日にムンディファーマが開発した「イソジン除菌ウェットシートシリーズ」を、シオノギヘルスケアが発売した[12]。弱酸性アルコールを使用し、イソジンブランドでポビドンヨードを含まない初めての製品でもある[12]。2018年8月1日にムンディファーマとシオノギヘルスケアは、指定医薬部外品のイソジンクリアうがい薬A、Mを発売した[13]。有効成分はセチルピリジニウム塩化物水和物 (CPC) で、ポビドンヨードは含まない[13]。2018年9月25日にムンディファーマは、イソジンのど飴「フレッシュレモン」「はちみつ金柑」「ペパーミント」を発売した[14]。2020年現在は前者2点と「ペパーミント」に代わり「PREMIUMオリジナルハーブ」を販売する[15]。亜鉛やヘスペリジンを含み、ポビドンヨードは含まない[14]。
2024年1月、ムンディファーマ・インターナショナルはヘルスケア事業をシンガポールのiNova Pharmaceuticalsに譲渡した。これに伴い同年5月より日本国内のイソジンブランド(医療用医薬品、動物用医薬品および一般用医薬品、指定医薬部外品)の製造販売元がiNova Pharmaceuticalsの日本法人として設立されたiNova Pharmaceuticals Japan株式会社に変更となった[16]。