エニシダ属
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名前について
分布および形態
アジア西部からヨーロッパ、アフリカの温暖な地方に30種あまりが分布している。落葉または常緑の低木で、樹高は2 - 4メートルくらい、良く分枝し、葉は単葉または3裂し、非常に細いものが多い。花は良く分枝した枝の葉腋に咲くか、総状花序を作り、一つの花は小さいが、非常に多数の花が開花する。原則として黄花だが、白花もあり、交配種には、赤・牡丹色・ピンク・オレンジ色や、それらと黄色の複色花になるものもある。果実はさやえんどうそっくりだが、熟すと真っ黒になる。
主な種
- 原産地がイベリア半島[3]。常緑または半常緑の低木で、高さは1メートルほど[3]。枝は細く、多数がほうき状に枝分かれして先は垂れる[4]。樹皮は淡褐色で緑色を帯び、縦に筋が入る[4]。枝には稜があり、冬でも緑色をしており、はじめのうち毛がある[4]。冬芽は鱗芽で互生し、小さな半球形や卵形で赤みを帯び、2枚の芽鱗に包まれている[4]。葉痕は三日月形よりもV字形で維管束痕は不明瞭である[4]。寒い地方では、冬に葉を落とす[3]。
- 細かい葉と、黄色も細かい花をつける[7]。開花期は春(4 - 5月)[4]。日本へは明治期に導入され、湘南地方など海岸沿いの温暖な砂地の庭木や公園用樹として植えられている。道路法面などの緑化や砂防用に植えられることも多く、花の時期は目立つ[4]。果実(豆果)は熟すと黒くなる[4]。また、この種は成熟すると殻が激しく爆発することで遠くへ飛んでいくことが知られている。時には15メートルほど飛んでいくこともある。全草にスパルテイン、サロタムニン、ゲニステイン、スコバリンなどのアルカロイドを含み、有毒。
- 束ねて箒にすることから、スコッチ・ブルームとよばれる[7]。
- ヒメエニシダ (C. x spachianus[8], syn. Genista x spachiana)
- 原産地が地中海沿岸の低木。開花期は春。「エニシダ」として鉢植で売られているものは、実は本種であることが多い。
人間との関係
栽培
挿し木などの栄養繁殖はしにくいが、交配種はタネをまいた翌年から開花するため、原則として実生でふやす。10月に黒く熟したさやから種を採取して保存し、翌年3月中旬から下旬にまいて2 - 3ミリメートル覆土する。種は硬実種子なので、80 °Cのお湯に約30分浸してからまくと、発芽しやすくなる[9]。種まき後、10 - 20日で発芽する。一度移植用のポットに取り、庭に1メートルの株間で定植する。大きい苗の移植はできない。
春から秋まで日がよく当たり、排水のよいやや乾燥気味の、弱アルカリ性の土壌でよくできる。
盛った土が崩れないように土手や堤に植えられるほか、狩猟鳥を保護するために猟場にも植えられる[10]。
用途
西洋ではエニシダの枝から箒(ほうき)を作った[7]。魔女がまたがって空を飛ぶという箒もエニシダの枝でできているという。エニシダに含まれるスパルテインには麻酔性があり[10]、サラー・ガーランドはスパルテインによるふわふわ感が魔女が箒の柄に乗って飛ぶ話を生んだのではないかと推測している[11]。
枝先の帯化したものをセッカエニシダ(石化エニシダ)といい、生け花などに利用される[12]。
枝は籠作りにも使われ、イングランド北部やスコットランドではその丈夫さから屋根を覆うのにも使われた[10]。
テューダー朝やステュアート朝の時代には、つぼみや豆果を塩に漬け、サラダに入れて食べた[10]。芽は苦く[11]、ホップが入ってくる前はビールを苦くするのに若芽が使われていた[10]。芽は生のままかピクルスにして食べられてもおり、ジョン・ジェラードは芽について「肉を食したき気を惹起す」と著している[11]。
花を蒸留して作った薬湯には利尿・下剤作用があって消化不良や過食、肝臓・脾臓・腎臓の病に効果があるといい、ジェラードによれば、ヘンリー8世が食べすぎの害を防ぐために薬湯を服用したという[10][11]。花付きの枝で作ったハーブティが水腫やマラリアの治療に有用であるとする薬学書もあった[11]。種子は代用コーヒーの材料になる[10]。
ガイウス・プリニウス・セクンドゥスによれば、樹皮を水に浸すと強い繊維が取れるという[10]。樹皮をほぐして水でふやかすことによって取られた質のよい繊維は、プリニウスの時代から漁網や船具などに使われていた[10]。