カザフ語

中央アジアで使用される言語の1つであり、カザフスタンの国家語 From Wikipedia, the free encyclopedia

カザフ語(カザフご、Қазақ тілі, Qazaq tili, : Kazakh language)は、主に中央アジアで使用される言語の1つであり、カザフスタン共和国国家語に制定されている。ISO 639による略語は2字が kk、3字が kaz で表される。カザフスタンのほか、他の中央アジアの国家、中華人民共和国新疆ウイグル自治区モンゴル西部、ロシアでも話されている。カザフスタン国内では2031年までにはラテンアルファベットによる表記に移行するといわれている[1]

カザフ語はテュルク諸語の北西語群(キプチャク語群)に分類され、カラカルパク語ノガイ語キルギス語などと近い関係にある[2]。方言は北東方言、南部方言、西部方言(あるいは北東方言、南部方言、中央北部方言、東部方言)に分類され、語彙や発音に違いが見られるものの、それぞれの差異は大きくない[3]。カザフ語の文語は北東方言に基づいている[4]

音韻論

母音

さらに見る −RTR ("前舌母音"), +RTR ("後舌母音") ...
カザフ語の母音
−RTR
("前舌母音")
+RTR
("後舌母音")
非円唇狭母音 /ɘ/あるいは/ɨ/, «і»/ə/, «ы»
非円唇広母音 /e/, «е»(語頭では[je]となることがある)/æ/, «ә»/a/, «а»
円唇狭母音 /ʉ/, «ү»/u/, «ұ»(基本的に第一音節にしか表記しない。йに先行する場合、中舌化し«ү»に近い発音となる)
円唇広母音 /ɵ/, «ө»(語頭では[wɵ]となることがある)/ɔ/, «о»(基本的に語頭のみで、語頭では[wɔ]となることがある)
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子音

さらに見る 両唇音, 唇歯音 ...
カザフ語の子音
両唇音 唇歯音 歯音/
歯茎音
後部歯茎音 歯茎硬口蓋音 軟口蓋音 口蓋垂音 声門音
鼻音 [m] ‹м› [n] ‹н› [ŋ] ‹ң›
破裂音 [p] ‹п› [b] ‹б› [t] ‹т› [d] ‹д› [k] ‹к› [ɡ] ‹г› [q] ‹қ› [ɢ]あるいは[ʁ] ‹ғ›
摩擦音 [(f)] ‹ф› [(v)] ‹в› [s] ‹с› [z] ‹з› [ʃ] ‹ш› [ʒ] ‹ж› [(ɕ)] ‹щ› [(x)] ‹х› [h] ‹һ›
破擦音 [(ts)] ‹ц› [(tɕ)] ‹ч›
はじき音 [ɾ] ‹р›
接近音 [l] ‹л› [j] ‹й› [w] ‹у›
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なお、カザフ語の‹к›と‹қ›は狭母音/広母音間の相補分布をなしており、これらの二音は音節末においてしばしば対応する有声子音のごとく発音される。この有声音化はпにもみられる。また、хは外国語でしか用いられず、しばしば‹қ›のごとく発音される。

文法

母音調和、接尾辞の膠着性、主語・目的語・述語の語順、人称語尾と言った文法上の特徴は他のテュルク系の言語と共通する[3]。例えば、カザフ語では基本的に動詞が最後に置かれ、SOV型の語順をとるが、一部の方言を除いて他のテュルク系言語で使われる未来形(-ajak/ejek)が存在しない[3]

母音調和と子音同化

母音調和
単語内の母音は、舌の前後によって後舌母音(а, о, ұ, ы)と前舌母音(ә, ө, ү, і, е)に分類される。原則として、一つの単語にはどちらかのグループの母音しか現れない。接尾辞も語幹の母音の種類に応じて形を変える。これに加え、カザフ語には唇音調和も存在する。語幹の最後の音節に円唇母音(о, ө, ұ, ү)が含まれる場合、後続する接尾辞の母音は対応する円唇母音(ұ, ү)となる傾向がある。
子音同化
接尾辞の最初の子音は、語幹の最後の音に影響される。特に、語幹が無声子音で終わる場合、後続する接尾辞の頭の有声子音は無声化する。

名詞

さらに見る 格, 形態素 ...
名詞の格変化[5]
形態素 可能な形態 кеме ""ауа"空気"шелек""сәбіз"人参"бас""тұз""
主格 кемеауашелексәбізбастұз
対格 -nı-ні, -ны, -ді, -ды, -ті, -ты, -нкеменіауанышелектісәбіздібастытұзды
属格 -nıń-нің, -ның, -дің, -дың, -тің, -тыңкеменіңауаныңшелектіңсәбіздіңбастыңтұздың
与格 -ga-ге, -ға, -ке, -қа, -не, -накемегеауағашелеккесәбізгебасқатұзға
処格 -da-де, -да, -те, -такемедеауадашелектесәбіздебастатұзда
奪格 -dan-ден, -дан, -тен, -тан, -нен, -нанкемеденауаданшелектенсәбізденбастантұздан
具格 -men-мен(ен) -бен(ен) -пен(ен)кемеменауаменшелекпенсәбізбенбаспентұзбен
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なお、対格・与格・奪格の異形態に見られる н を含む形(-н, -на/-не, -нан/-нен)は、3人称所有接尾辞(-сы/-сі, -ы/-і)が付いた名詞に格接尾辞が続く場合に現れる。

名詞の複数形は、語幹に後続する子音と母音調和に応じて、接尾辞 -лар/лер, -дар/дер, -тар/тер を付けて表す。

  • 母音および-й, -рで終わる語幹には -лар/лер が付く。(例:кеме → кемелер (船), ауа → ауалар (空気))
  • 有声子音で終わる語幹には -дар/дер が付く。(例:сөз → сөздер (言葉), күн → күндер (日))
  • 無声子音で終わる語幹には -тар/тер が付く。(例:шелек → шелектер (桶), бас → бастар (頭))

複数形の格変化は、複数接尾辞の後に格接尾辞を接続することで行われる。(例:кемелердің (船たちの))

所有接尾辞

名詞の語幹に接尾辞を付加することで、所有者を示すことができる。この接尾辞は母音調和に従って変化する。なお、語末の無声子音は、所有接尾辞が付加されると有声化しうる。

さらに見る 人称, 語幹が子音で終わる場合 ...
所有接尾辞
人称 語幹が子音で終わる場合 語幹が母音で終わる場合 例文 (кітап ) 例文 (ана )
1人称単数 (私の) -ым/-імкітабыманам
2人称単数 (君の) -ың/-іңкітабыңанаң
3人称 (彼の/彼女の/それの) -ы/-і-сы/-сікітабыанасы
1人称複数 (私たちの) -ымыз/-іміз-мыз/-мізкітабымызанамыз
2人称単数(敬称)/複数 (あなたの/あなたたちの) -ыңыз/-іңіз-ңыз/-ңізкітабыңызанаңыз
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所有接尾辞が付いた名詞が格変化する場合、一部の格で通常とは異なる接尾辞が用いられる。特に3人称所有接尾辞の後では、格接尾辞の前に н が挿入される。

  • 彼の母 (анасы) + 対格 → анасын
  • 彼の母 (анасы) + 与格 → анасына
  • 彼の母 (анасы) + 奪格 → анасынан
  • 彼の母 (анасы) + 処格 → анасында

代名詞

カザフ語には6つの人称代名詞がある。

さらに見る 単数, 複数 ...
人称代名詞[5]
単数 複数
Kazakh (transliteration)日本語Kazakh (transliteration)日本語
Мен (Men)Біз (Biz)私たち
Сен (Sen)君(親称)Сіз (Siz)あなた(敬称)、あなたたち
Ол (Ol)彼、彼女、それОлар (Olar)彼ら、彼女ら、それら
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代名詞の屈折は、次の表で説明されている。 単数の代名詞のみが不規則性を示す。不規則なものは太字で強調されている。[5]

さらに見る 主格, 対格 ...
代名詞の格変化[5]
主格 менсенолбізсізолар
対格 менісеніоныбіздісіздіоларды
属格 меніңсеніңоныңбіздіңсіздіңолардың
与格 мағансағаноғанбізгесізгеоларға
処格 мендесендеондабіздесіздеоларда
奪格 мененсененоданбізденсізденолардан
具格 меніменсеніменоныменбізбенсізбенолармен
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代名詞に加えて、人を扱う接尾辞がいくつか存在する。

さらに見る 代名詞, コピュラ ...
人称語尾
代名詞コピュラ過去/条件
1人称単数 мен-мын, -мін-(ы)м, -(і)м
2人称単数 сен-сың, -сің-(ы)ң, -(і)ң
3人称単数 ол-дыр, -дір (しばしば省略される)
1人称複数 біз-мыз, -міз-(ы)к, -(і)к
2人称単数(敬称)、2人称複数 сіз-сыз, -сіз-(ı)ńız/-(ы)ңыз, -(і)ңіз
3人称複数 олар-дыр, -дір (しばしば省略される)
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3人称のコピュラ -дыр/-дір は、客観的な事実を断定的に述べたり、話者の確信を強調したりする際に用いられる。通常の平叙文では人称語尾は付かない(ゼロ語尾)。

  • Ол – студент. (彼は学生だ。)
  • Жер дөңгелектір. (地球は丸いものである。)

人称代名詞の他に、以下のような代名詞がある。これらも名詞と同様に格変化する。

指示代名詞
бұл (これ), сол (それ), ол (あれ)
疑問代名詞
кім (誰), не (何), қандай (どのような), қанша (いくつ)
再帰代名詞
өз (自分)

形容詞

カザフ語の形容詞は名詞を修飾する際、性・数・格による変化はしない。

  • қызыл алма (赤いリンゴ)
  • қызыл алмалар (赤いリンゴたち)
  • қызыл алманың (赤いリンゴの)

形容詞は述語としても用いられ、その場合は人称語尾が付く。

  • Бұл алма қызыл. (このリンゴは赤い。)
  • Мен студентпін. (私は学生です。) ※名詞述語の場合も同様

比較は、形容詞に接尾辞-рақ/-рекを付けて表し、比較対象は奪格で示す。最上級は、形容詞の前にеңを置く。

  • 比較級: Бұл алма содан қызылырақ. (このリンゴはあれより赤い。)
  • 最上級: Бұл ең қызыл алма. (これが一番赤いリンゴだ。)

形容詞の最初の音節に接頭辞を付加して、意味を強調することができる。

  • қып-қызыл (真っ赤な)

数詞

カザフ語の基数詞は以下の通り。

  • 1–10: бір, екі, үш, төрт, бес, алты, жеті, сегіз, тоғыз, он
  • 11–19: он бір, он екі... (10 + 数字)
  • 20, 30...: жиырма, отыз, қырық, елу, алпыс, жетпіс, сексен, тоқсан
  • 100: жүз, 1000: мың, 10000: он мың, 1000000: миллион

序数詞は、基数詞に接尾辞 -ыншы/-інші を付けて作る(母音調和と子音同化に従う)。

  • екі → екінші (第二の)
  • он → оныншы (第十の)

後置詞

日本語の助詞の一部に相当する働きを後置詞が担う。後置詞は名詞の特定の格形を要求(格支配)し、その後に置かれて様々な意味を補う。

  • 与格 + қарай (~の方へ): мектепке қарай (学校の方へ)
  • 奪格 + кейін (~の後で): сабақтан кейін (授業の後で)
  • 具格 + бірге (~と一緒に): доспен бірге (友達と一緒に)
  • 主格 + үшін (~のために): сен үшін (君のために)
  • 主格 + туралы (~について): Қазақстан туралы (カザフスタンについて)

動詞

カザフ語の接尾辞は母音調和と子音同化の影響を受けるため、複数の異形態を持つものが多くあり、代表的な形を記載する。

さらに見る 接尾辞, 意味 ...
接尾辞 意味 日本語訳
動名詞・不定詞 (基本形)
不定詞、動名詞 〜すること
陳述(終止形)
-а/-е/-й + 人称接尾辞 現在未来形 〜する、〜だろう
-ды/-ді, -ты/-ті + 人称接尾辞 確定過去形(直接経験) 〜した
-ған/-ген, -қан/-кен + 人称接尾辞 結果・経験過去形 〜した(ことがある)、〜したのだった
(ゼロ語尾) 命令形(対等・目下) 〜しろ
-ыңыз/-іңіз, -ңыз/-ңіз 丁寧な命令形 〜してください
-сын/-сін 第三者への命令・許可 〜させろ、〜させよ
-айық/-ейік, -йық/-йік 勧誘形(一人称複数) 〜しよう
-ғай/-гей, -қай/-кей (古語・文語) 祈願形 〜でありますように
形動詞(連体形)
-атын/-етін, -йтын/-йтін 未来・習慣連体形 〜する(ための)、〜する(習慣の)
-ған/-ген, -қан/-кен 過去連体形 〜した
-ар/-ер/-р 不確定未来連体形 〜するであろう
-мақ/-мек, -пақ/-пек, -бақ/-бек 意図・目的連体形 〜するつもりの
副動詞(連用形)
-ып/-іп/-п 順接・完了 〜して
-а/-е/-й 同時・継続 〜しながら、〜して
-ғалы/-гелі, -қалы/-келі 目的・以来 〜するために、〜してから
-ғанда/-генде, -қанда/-кенде 〜するとき
-ғанша/-генше, -қанша/-кенше 限界 〜するまで
-(ы)сымен/-(і)сімен 即時 〜するやいなや
-са/-се + 人称接尾辞 条件 〜すれば
-са да/-се де 逆接 〜だけれども、〜しても
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動詞の否定は、動詞の語幹と時制・法・形動詞などの接尾辞の間に、母音調和と子音同化に従い否定接尾辞 -ма/-ме, -па/-пе, -ба/-бе を挿入して作る。

例: бару (行く) → бармау (行かない)

疑問文は、文末に疑問の助詞 ма/ме, ба/бе, па/пе を付けて作る(無声子音の後では па/пе、有声子音の後では ба/бе、母音の後では ма/ме)。ただし、кім (誰), не (何), қайда (どこ) などの疑問詞が文中にある場合は、この助詞は用いない。

  • Бұл кітап па? (これは本ですか?)
  • Сіз қайдан келдіңіз? (あなたはどこから来ましたか?)

カザフ語では、動詞の語幹に接尾辞を付加することで、受動、使役、再帰、協同を表すことができる。

  • 受動 (-ыл/-іл, -л): жазу (書く) → жазылу (書かれる)
  • 使役 (-дыр/-дір, -т, -ғыз/-гіз など): оқу (読む) → оқыту (読ませる、教える)
  • 再帰 (-ын/-ін, -н): жуу (洗う) → жуыну (自分を洗う、体を洗う)
  • 協同 (-ыс/-іс, -с): сөйлеу (話す) → сөйлесу (話し合う)

これらの態接尾辞は複数組み合わせることができる。

  • оқу (読む) → оқыту (教える、読ませる) → оқытылу (教えられる)

補助動詞

カザフ語では、主動詞の副動詞形(-ып/-іп/-п, -а/-е/-й)に補助動詞が後続することで、進行、継続、完了といった複雑なアスペクト(相)を表現する。

アスペクトを表す補助動詞
主に отыр (座っている), тұр (立っている), жүр (歩いている・移動している), жат (横になっている) が用いられる。
  • Мысалы (例): Мен хат жазып отырмын.(私は手紙を書いている。)
  • Ол теледидар көріп жатыр.(彼はテレビを見ている。)
時制や法などを表す補助動詞
コピュラ(繋辞)の е- から派生した補助動詞が、形動詞や名詞述語に後続し、時制・法・証拠性などを表す。
еді (過去)
動詞の形動詞形に付き、過去のある時点での行為や状態を表す。
例: Мен студент болған едім. (私は学生だったのでした。)
екен (伝聞・発見)
話し手が直接経験していない情報であることを示す。
例: Ол келген екен. (彼が来たようだ。)
емес (否定)
名詞や形容詞、動詞の述語を否定する。
例: Бұл кітап емес. (これは本ではない。)
能力・可能性

動詞の副動詞形 -а/-е/-й に補助動詞 алу (取る、得る) を後続させることで、「~できる」という能力・可能性を表現する。否定の場合は、алу を否定形にして「~できない」を表す。

  • Мен қазақша сөйлей аламын. (私はカザフ語を話すことができる。)
  • Ол келе алмайды. (彼は来ることができない。)

語彙

歴史的にカザフ語にはアラビア語ペルシア語モンゴル語の語彙がしばしば借用されていたが、アラビア語、ペルシア語はタタール語、ウズベク語、ペルシア語の一方言であるタジク語などの言語を経由して導入された[6]。他のテュルク系の言語に比べてアラビア語、ペルシア語からの借用語は少なく、ロシア語からの借用語が多い[3]。カザフスタンの独立後はロシア語からの借用語をカザフ語に置き換える(例えばロシア語に由来する「飛行機(Самолёт)」をカザフ語の「飛ぶもの(Ұшақ)」に代える)運動が行われているが、こうした新語は一般に普及していない[7]

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アラビア語からの借用語
カザフ語 日本語 アラビア語
tájrıbe / тәжірибе 経験 تجربة
áýel / әуел 最初 أول
kitap / кітап كتاب
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ペルシア語からの借用語
カザフ語 日本語 ペルシア語
qaǵaz / қағаз کاغذ
ádebıet / әдебиет 文学 ادبیات
áýen / әуен メロディー اهنگ
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ロシア語からの借用語
カザフ語 日本語 ロシア語
zaýyt / зауыт) 工場 завод
oblys / облыс) область
Japonıa / Жапония) 日本 Япония
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歴史

近代までカザフ人の間で文字はほとんど使用されておらず、知識と情報の伝達・共有の手段として口承文芸が発達する[3]。中央アジアのテュルク系言語の共通語であるチャガタイ語がカザフ語の文語として使用されていたが、19世紀後半からチャガタイ語の口語化が始まり、カザフ文語と呼ばれるものが形作られていく[6]。19世紀後半に刊行された「トルキスタン地方新聞」「ステップ地方新聞」などの媒体でカザフ語が使用されるにつれて、文章語としてのカザフ語も発達していく[3]。また、アルトゥンサリン、アバイらの文学作品も文章語の確立に貢献した[3]

20世紀前半に改良アラビア文字での表記、ラテン文字の採用を経て、1940年から改良キリル文字によるカザフ語の表記法が採用される。ソ連時代末期の1989年にカザフ語はカザフ・ソビエト社会主義共和国の国家語に制定される。

ソ連から独立した後もカザフスタンは他の中央アジア諸国に比べてロシア語が使用されることが多く、カザフ語は国家語、ロシア語は実質的な共通語としての地位を確立し、都市部ではカザフ語よりもロシア語を得意とするカザフ人は少なくない[7]。こうした状況下で、カザフスタン政府はカザフ語の振興を掲げていて[8]、カザフ語の急速な台頭とロシア語の重要性の低下に対して抵抗を感じる人間がいる一方で、マスメディアにおけるロシア語の支配的な地位を疑問視する意見も投げかけられている[7]

2016年にはカザフスタンの大統領であるヌルスルタン・ナザルバエフによってラテン文字表記への移行が宣言された。2017年9月11日にはその草案が提出された[9]。その後数回草案を改定した[10][11]

表記

1910年代にアフメド・バイトゥルスノフらによって改良アラビア文字による正書法が提起され、1917年と1924年に正書法は改正される。ソビエト連邦時代の1929年にラテン文字による表記法が採用され、1940年から改良キリル文字による表記に切り替えられる。2012年にカザフスタン政府はキリル文字からラテン文字への切り替えが発表され、その背景にはカザフスタンの経済力の成長、トルコアゼルバイジャントルクメニスタンウズベキスタンといったラテン文字表記を推進する他のテュルク系国家との関係の強化、これまでのロシアとの密接な関係の見直し、国内のカザフ人の比率の増加などが挙げられている[7]

モンゴル国ではカザフ語は改良キリル文字によって表記されている。中華人民共和国では1965年から1982年までの間はラテン文字での表記も使用されていたが、改良アラビア文字で表記されることが多くなっている[3]

2006年カザフスタンの大統領であるヌルスルタン・ナザルバエフはカザフ語を12年から15年のうちにラテン文字表記に変える案を発表した[12]2012年12月には2025年までにキリル文字からラテン文字表記への切り替えを行うことが発表された[7]2017年4月にはあらためて2025年までにカザフ語の表記をラテン文字に転換すると表明した[13]2021年1月にはラテン文字正書法の新しい版が発表され、移行は2023年から2031年までかけて段階的に行うと改められた[14]

カザフ語で使用されるキリル文字

さらに見る カザフ語のキリル文字と対応するラテン文字(2021年版) ...
カザフ語のキリル文字と対応するラテン文字(2021年版)
А Ә Б Г Ғ Д Е Ж З И Й К Қ Л М Н Ң О Ө П Р С Т У Ү Ұ Ф Х Һ Ш Ы І Ю Я
а ә б г ғ д е ж з и й к қ л м н ң о ө п р с т у ү ұ ф х һ ш ы і ю я
A Ä B G Ğ D E J Z İ K Q L M N Ŋ O Ö P R S T U Ü Ū F H Ş Y I İU İA
a ä b g ğ d e j z i k q l m n ŋ o ö p r s t u ü ū f h ş y ı iu ia
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関連項目

脚注

参考文献

外部リンク

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