コン語

コイサン語族の言語 From Wikipedia, the free encyclopedia

コン語[2](コンご、ǃXóõ)、またはター語(Taa[3])は、ボツワナおよびナミビアの約3000人の人々によって話される言語である[4][5]ツウ語族(南部コイサン語族とも呼ばれる)に属する。

話される国 ボツワナナミビア
民族 サン人
話者数 約3000
概要 コン語, 話される国 ...
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吸着音(クリック)との二重調音によって、膨大な数の子音を持つことで有名である。かつて最も多くの子音を持つ言語は北西コーカサス語族ウビフ語とされていたが、ウビフ語が83の子音を持つのに対して、コン語は122の子音を持つとされる[4]。ただし音韻的解釈によって子音の数は異なる。

南部コイサン語族は5つの吸着音を持ち、ほかの言語よりも吸着音の種類が多い。コン語は南部コイサン語族のうち現在も言語社会が残っている事実上唯一の言語である[6][4]

コン語の話者はサン人とも呼ばれる南部アフリカの人々に属する。かつては狩猟採集民だったが、現在の生活は多様である[7]

コン語の話者は、自分の言語を「Taa-ǂaan」と呼ぶ。「taa」は人間を意味し、「ǂaan」は言葉を意味する[7]

ユネスコ危機に瀕する言語のうち「危険な言語」(definitely endangered)に分類している[3]

音声

コン語は吸着音の多用によってよく知られる。吸着音を含む語彙の割合は70%を越える[8][9]

コン語は非常に多くの子音を持つが、いくつ子音があるかは学者によって見解が異なる。子音の数が多くなるのは吸着音とそれに伴う軟口蓋音または口蓋垂音クリック伴音と呼ばれる)との二重調音によるためだが、1938年のビーチによる古典的な研究[10]以来、二重調音全体をひとつの音素と見なしていたのに対し、トレイル (Anthony Traill (linguist)) はこれらを子音連続と解釈すべきだと主張した。この考えでは、たとえば[kǃxʼ][11]という子音は、/kǃ/歯茎吸着音)と/kxʼ/(破擦的軟口蓋放出音)の子音連続と解釈される[12]。ギュルデマンや中川裕らは子音連続説を支持している[13]。全体をひとつの音素とする解釈によれば122の子音があるが、この解釈によれば、子音の数は88ほどに減少する[4]

コン語は吸着音種を5種類(ʘ, ǀ, ǃ, ǂ, ǁ)とクリック伴音を17種類持つ。この組み合わせによって全部で83種類のクリック子音が存在する(理論的には85種類になるが、ɢʘʼ, ɢǂʼが存在しないため)[14][15]。このうち11、12、13、14、17番の伴音は子音連続と見なした方がよい[16]

さらに見る 両唇吸着音, 歯吸着音 ...
両唇吸着音歯吸着音歯茎吸着音硬口蓋歯茎吸着音歯茎側面吸着音
1 ɡʘɡǀɡǃɡǂɡǁ
2
3 kʘʰkǀʰkǃʰkǂʰkǁʰ
4 ɢʘɢǀɢǃɢǂɢǁ
5
6 ŋʘŋǀŋǃŋǂŋǁ
7 ŋ̥ʘŋ̥ǀŋ̥ǃŋ̥ǂŋ̥ǁ
8 ʔŋʘʔŋǀʔŋǃʔŋǂʔŋǁ
9 ŋ̥ʘʰŋ̥ǀʰŋ̥ǃʰŋ̥ǂʰŋ̥ǁʰ
10 kʘˣkǀˣkǃˣkǂˣkǁˣ
11 ɡʘkxɡǀkxɡǃkxɡǂkxɡǁkx
12 kʘʼqʼkǀʼqʼkǃʼqʼkǂʼqʼkǁʼqʼ
13 ɡʘqʼɡǀqʼɡǃqʼɡǂqʼɡǁqʼ
14 ɡʘhɡǀhɡǃhɡǂhɡǁh
15 kʘʔkǀʔkǃʔkǂʔkǁʔ
16 qʘʼqǀʼqǃʼqǂʼqǁʼ
17 ɢǀhɢǃhɢǂh
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吸着音以外の西部コン語の子音体系は以下のようになる[4]

さらに見る 唇音, 歯茎音 ...
非吸着音
唇音歯茎音歯茎破擦音軟口蓋音口蓋垂音口蓋垂破擦音声門音
破裂音 p ph b bht th d dhts tsh dz dzhk ɡ kh ɡhq ɢ qh ɢh(ʔ)
放出音 tsʼ dzʼkʼ ɡʼqʼ ɢʼqχʼ ɢχʼ
鼻音 mnɲŋ
声門化鼻音 ʔmʔn
摩擦音 fsχh
接近音 wj
側面音 l
はじき音 ɾ
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母音も複雑であり、通常の母音(aなど)のほかに咽頭化母音()、strident vowel)、息もれ声母音()の区別がある[17]。このうちstrident vowelは咽頭化の程度をさらに甚だしくした母音で、喉頭蓋の速い振動(ふるえ音)をともなう[18]

文法

名詞がいくつかのクラスに分かれ、動詞や前置詞とその目的語の間などでクラスを一致させる[4]

方言

コン語はボツワナで話される東部コン語と、ナミビアで話される西部コン語に分けられる[3][13]

脚注

参考文献

外部リンク

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