シソ類
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シソ類[6][7][8][9](シソるい、lamiids)は、APG植物分類体系のもとで認識される被子植物のクレードである。シソ類の名称は Bremer et al. (2002) で初めて用いられたものであり、APG植物分類体系の中では APG III において初めて使われたものである[1][10]。また、シソ類は Chase et al. (1993) でキク目群 I (asterids I) と呼ばれた群であり[1][5]、APG I (1998) および APG II (2003) では真正キク類 I(しんせいキクるい いち、euasterids I)と呼ばれていた[11][12]。APG IV (2016) では8目で構成される[13][14]。被子植物の中でも大きなクレードで、約40,000–50,000種、被子植物の種の約15%を含む[1][14][2]。
シソ群[15]とも訳される。
概要
特徴
キク類に共通の特徴として、1枚の珠皮やイリドイドを含む内乳が挙げられる[16][14]。
シソ類の植物は、一般的に葉が対生する[3][14]。また、花は子房下生 (hypogynous) し[3][14]、"late sympetaly"「遅い合弁」と呼ばれる明瞭な花弁原基ができてから、合弁花冠が形成される[1][3][14][注 1]。ほかの特徴として、生活形は木本で、三隙型の節(3つの葉隙から分岐した維管束が葉に入る)、階紋穿孔の穿孔板 (scalariform perforation plate) などがある[14]。
これらの性質がシソ類の祖先形質だと考えられているが、クレード内で形態学的にかなりの違いがあり、共有派生形質は不明である[14]。
学名と定義

シソ類に関連するクレードとして、Cantino et al. (2007) によって PhyloCode に基づく2つのクレードが定義されている[5]。 Garryidae R.G. Olmstead, W.S. Judd & P.D. Cantino (2007) は内部修飾子 (internal qualifiers) を持つ、枝により修正したノードによるクレード (branch-modified node-based clade) として定義される[5]。Garrya elliptica Douglas ex Lindl. (1834)(ガリア目)とヒメオドリコソウ Lamium purpureum L. (1753)(シソ目)を含むが、Campanula elatines L. (1759)(キキョウ類)やセイヨウサンシュユ Cornus mas L. (1753)(ミズキ目)、Erica carnea L. (1753)(ツツジ目)を含まない最大クレードである[5]。ガリア目、クロタキカズラ科、オンコテカ科および Lamiidae のトータルクレードを含む[5]。
もう一方の Lamiidae Takht. (1987) [R.G. Olmstead & W.S. Judd] は、ヒメオドリコソウ Lamium purpureum L. (1753)(シソ目)、タバコ Nicotiana tabacum L. (1753)(ナス目)、Gentiana procera T. Holm (1901)(リンドウ目)、ルリジサ Borago officinalis L. (1753)(ムラサキ目)、そして Vahlia capensis (L. f.) Thunb. (1782)(ヴァーリア科)を含む最小クレードとして定義された[5]。リンドウ目、ナス目、シソ目、ムラサキ目およびヴァーリア科を含む[5](="core lamiids")。
前者 Garryidae は Chase et al. (1993) のキク目群 I (asterids I) やAPG II (2003) の真正キク類 I (euasterids I)、Bremer et al. (2002) のシソ類 (lamiids) に相当する、より包括的なクレードを意図して作られたもので、後者 Lamiidae は Olmstead et al. (1992) により タハタジャン (1987) によるリンドウ目、シソ目、ゴマノハグサ目 Scrophulariales、ナス目、ムラサキ目を含む Lamiidae に相当するとされたクレードである[5]。
しかし、Refulio-Rodriguez & Olmstead (2014)、Stull et al. (2015)、Judd et al. (2015)、Brands (2004–2023)など近年の文献ではシソ類を指して Lamiidae を用いることが多い。Stull et al. (2015) では、上記の Lamiidae ("core lamiids")に当たる学名を Lamianae とし、Lamianae + ガリア目を Garryidae、そしてシソ類を Lamiidae としている[1]。
下位分類
8目のうち、クロタキカズラ目 Icacinales、メッテニウサ目 Metteniusales、ガリア目 Garryalesの3目は "basal lamiids"[注 2]、残りの5目は "core lamiids"[注 3]と(非公式に)呼ばれる[14]。core lamiids が単系統であることは確かであるが、core lamiids 内の系統関係も basal lamiids の分岐順序も不安定で、どちらも解析によって様々に異なるトポロジーが示されている [14]。
以下に APG IV (2016) におけるシソ類の内部系統関係を示す。ただし、クロタキカズラ目、メッテニウサ目、ガリア目の分岐順序は異なる解析結果もある(#basal lamiids の系統関係を参照)。
| シソ類 |
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| lamiids |
core lamiids の系統関係
各解析における core lamiids の内部の系統関係は以下のようになる。各系統樹の上には太字でその解析の出典となる文献、そしてその下にそこで用いられた遺伝子を示す。
| Albach et al. (2001) | Bremer et al. (2002) | Qiu et al. (2010) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 4個のプラスチド遺伝子[注 4] | 6個のプラスチド遺伝子[注 5] | 4個のミトコンドリア遺伝子[注 6] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| Soltis et al. (2011) | Refulio-Rodriguez & Olmstead (2014) | Stull et al. (2015) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ミトコンドリア・核・プラスチドゲノムから17遺伝子[注 7] | 1個のミトコンドリア遺伝子と9個のプラスチド遺伝子[注 8] | 73個のプラスチド遺伝子 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| Zhang et al. (2020) | Alawfi & Alzahrani (2023) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 213個のトランスクリプトームと遺伝子 | 葉緑体ゲノム[注 9] | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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basal lamiids の系統関係
各解析における basal lamiids と core lamiids の系統関係は以下の通りである。各系統樹の上には太字でその解析の出典となる文献、そしてその下にそこで用いられた遺伝子を示す。
| Soltis et al. (2011) | Refulio-Rodriguez & Olmstead (2014)[注 10] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ミトコンドリア・核・プラスチドゲノムから17遺伝子 | 1個のミトコンドリア遺伝子と9個のプラスチド遺伝子 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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| Stull et al. (2015)[注 11] | Alawfi & Alzahrani (2023) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 73個のプラスチド遺伝子 | 葉緑体ゲノム | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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