シャロン・シャノン
From Wikipedia, the free encyclopedia
シャロン・シャノン(Sharon Shannon、1968年6月8日生まれ)はアイルランドの音楽家であり[1]、とりわけボタン・アコーディオンでの演奏作品やフィドルの演奏技術で有名である。また、アイルランド式のメロディオンやティン・ホイッスルの演奏もこなす。デビューアルバム『シャロン・シャノン (Sharon Shannon) 』(1991年)は、これまでアイルランドでリリースされたアイルランド伝統音楽のアルバムのなかで最も多く売れている[2]。 彼女の作品は、アイルランドの民謡をはじめ、幅広いジャンルの音楽から影響を受けている[1]。2009年には、メテオ音楽賞において功労賞を受賞している。
生い立ち
シャノンはクレア県ルアンに生まれ、8歳で地元のバンドDisirt Tolaに演奏者として加入した。14歳のときには、同バンドのメンバーとしてアメリカでのツアーに帯同した[3]。シャロンは馬術の障害飛越競技にも秀でていたが、 16歳のときに音楽に専念するため断念した[3]。同様に、フィドル演奏の独学を優先して、ユニバーシティ・カレッジ・コーク(現アイルランド国立大学コーク校)での勉学も早々に切り上げている[3]。
1980年代半ば、シャノンはアコーディオン演奏をカレン・ツイードに、フィドル演奏をフランク・カスティ (Frank Custy) に師事し[4]、アルカディア (Arcady) というバンドを結成して演奏活動を行なっていた[3]。
ザ・ウォーターボーイズ

シャノンがレコーディング作品に携わり始めたのは1989年で、ジョン・ダンフォードをプロデューサーとし、アダム・クレイトンやマイク・スコット、スティーヴ・ウィッカムといった音楽家たちと活動してきた[1]。1989年のグラストンベリー・フェスティバルにおいてスコットとウィッカムのバンド、ザ・ウォーターボーイズにゲスト出演したことをきっかけに、同バンドに加入した。シャノンが所属していたのは18ヶ月間であったが、アルバム『ルーム・トゥ・ローム (Room to Roam) 』(1990年)においてアコーディオンおよびフィドル演奏を担当しているほか、自身にとって初の世界ツアーも、ザ・ウォーターボーイズのメンバーとしてであった[1]。ウィッカムの脱退およびバンドのロック路線回帰を受けて、彼女も脱退を余儀なくされた[5]。
ソロ活動・初期(1991年〜2000年代初頭)
1991年のデビューアルバム『シャロン・シャノン (Sharon Shannon)』は、これまでアイルランドでリリースされたアイルランド伝統音楽のアルバムのなかで最も多く売れている[2]。
シャノンのソロ作品は、とりわけアイルランドでは、放送においても商品販売においても大ヒットとなった。コンピレーション・アルバム『ア・ウーマンズ・ハート (A Woman''s Heart) 』に自身の曲が入り、ザ・レイト・レイト・ショーにおいて称賛されたことで、シャノンの音楽はメディア露出が大幅に増え、デビューアルバム売り上げの記録更新に寄与することとなった[6]。
セカンドアルバム『アウト・ザ・ギャップ (Out The Gap) 』(1994年)は、「ブラックベアード」ことデニス・ボーヴェルが一部の曲をプロデュースしており[1][7]、レゲエらしさが顕著である[8]。
1996年のコンピレーション・アルバム『コモン・グラウンド (Common Ground: Voices of Modern Irish Music) 』には、ドナル・ラニーが作詞を担当したシャノンの楽曲「Cavan Potholes」が収録されている。同アルバムには他にシネイド・オコナー、エルヴィス・コステロ、ケイト・ブッシュ、ボノなどが曲を寄せているが、シャノンはボノとアダム・クレイトンの楽曲でもアコーディオンを担当している[9]。
4作目のアルバム『スペルバウンド (Spellbound) 』は1998年9月にリリースされた。このコンピレーション・アルバムには、新曲やライブの録音、以前のアルバムからの楽曲が収められている。また同年には、ヴァイオリニストのナイジェル・ケネディに請われて「ジミ・ヘンドリックス組曲」の演奏に参加し、その後ヨーロッパ各都市でのライブで同曲を披露している[6]。
2000年リリースのアルバム『ザ・ダイヤモンド・マウンテン・セッションズ (The Diamond Mountain Sessions) 』には、幅広いジャンルのアーティストがヴォーカルを担当しており、このアルバムもまた、トリプル・プラチナ認定(300万枚相当)を受けるなど商業的ヒット作となった[10]。同アルバム内の楽曲「The Galway Girl」はスティーヴ・アールとの共演であり、アールも自身のアルバム『トランセンデンタル・ブルース (Transcendental Blues) 』(2000年)に同曲を収めている[11]。アールとの共演という点では、他にもインストゥルメンタルの「Dominic Street」があり、こちらは2002年のアルバム『サイドトラックス (Sidetracks) 』に収められている[12]。
このほか、シャノンがコラボレーションを果たしたアーティストには、ジャクソン・ブラウン、モイア・ブレナン(クラナドのヴォーカル)、カースティ・マッコール、クリスティ・ムーア、シネイド・オコナー、ポール・ブレイディ、リアム・オメンリィ、マンディ、ジョン・プラインなどがいる[8]。
ソロ活動・後期(2000年代中盤以降)

ソロの音楽家としては、シャロン・シャノンはオーストラリアからヨーロッパ、香港や日本まで、ツアーを行なっている。また彼女は、ビル・クリントンやバラク・オバマ、メアリー・ロビンソンやレフ・ヴァウェンサ(ワレサ)といった国家元首の前でも演奏したことがあり、マイケル・ヒギンズとは個人的な交流がある[13]。動物福祉などみずからが支持する運動のため、募金コンサートも開いている[13]。
2004年にリリースしたアルバム『リベルタンゴ (Libertango) 』において、シャノンは一部の曲でローシーン・エルサフティやシネイド・オコナー、カースティ・マッコールらと共演した。2005年のアルバム『チューンズ (Tunes) 』はフランキー・ギャヴィン、マイケル・マクゴルドリック、ジム・マレーとの共作である[8]。同年にはイライザ・カーシーとのコラボレーションも実現した[14]。2006年には、過去15年分の録音が『ザ・シャロン・シャノン・コレクション 1990-2005 (The Sharon Shannon Collection 1990–2005) 』に集められている。2007年にシャロンはベリンダ・カーライルのアルバム『フレンチ・ソングブック (Voila!) 』で彼女と共演した[15]。2008年にはトランスアトランティック・セッションズへの出演を果たした[16]。
ライブでマンディと共演したバージョンの「The Galway Girl」は、2007年にアイルランドで最多ダウンロードを記録し、メテオ音楽賞を受賞した[17]。 2009年のメテオ音楽賞では、功労賞と最多ダウンロード曲賞を再受賞し、受賞式会場において「The Galway Girl」をライブ演奏した[18]。
数年にわたり、シャノンはシェイン・マガウアンと数多くのライブ共演をステージやテレビにおいて行なっており、彼女のバンド(ザ・ウッドチョッパーズ (the Woodchoppers) )がザ・ポーグズの楽曲を多数カバーすることもあれば、逆にマガウアンがシャノンの楽曲をカバーすることもあった(そのような場では、たまに彼は新曲をライブや放送で披露することもあった)[19][20][21][22][23][24][25]。シャノンによって録音されたことで未発表になるのを免れたマガウアンの曲としては、「Mama Lou」がある。一方マガウアンは、2009年のシャノンのアルバム『セインツ・アンド・スカウンドレルズ (Saints and Scoundrels) 』に収録された自身の曲「Rake at the Gates of Hell」のカバー、および『コラボレーションズ (Collaborations) 』(2010年)に収録された「Fiesta」のカバーにおいて、みずからヴォーカルを担当している[26][27]。
シャノンはリー・トンプソン・スカ・オーケストラのシングル「Bangarang」(2014年)において、アコーディオン奏者として参加している(ヴォーカル担当はドーン・ペン)[28]。
表彰および学位
2018年10月、アイルランド国立大学ゴールウェイ校はシャノンに名誉博士号を授与した[29]。
ディスコグラフィ
アルバム
- Sharon Shannon (1991年)
- Out the Gap (1994年)
- Each Little Thing (1997年)
- Spellbound: The Best Of Sharon Shannon (1999年)
- The Diamond Mountain Sessions (2000年)
- Live in Galway (2002年) – ザ・ウッドチョッパーズとの共演
- Libertango (2003年)
- tunes (2005年) – フランキー・ギャヴィン、マイケル・マクゴルドリック、ジム・マレーとの共演
- The Sharon Shannon Collection 1990–2005 (2006年)
- Live at Dolans CD & DVD (2007年)
- Renegade (2007年) – マイケル・マクゴルドリック、ジム・マレー、ディジ・ドネリーとの共演
- Saints & Scoundrels (2009年)
- upside down (2009年) マイケル・マクゴルドリック、ジム・マレー、ディジ・ドネリーとの共演
- Flying Circus (2012年) – ジム・マレー、RTÉ交響楽団との共演
- The Set List US/Canada 2014 (2014年)
- In Galway CD & DVD (2015年) – アラン・コナーとの共演
- Live in the US and Canada 2016 (2016年) – ジム・マレー、アラン・コナーとの共演
- Sacred Earth (2017年) – アイルランドの音楽レーベルCeltic Collectionsによる録音・リリース
- Live in Minneapolis (2019年)
- The Winkles Tapes 1989 (2019年)
- The Reckoning (2020年)
映像作品
- Live at Dolans (2007年)
- In Galway (2015年) – アラン・コナーとの共演