ジシアン

From Wikipedia, the free encyclopedia

ジシアン (dicyan) は、分子式 C2N2 で表される化合物である。青素シアノゲンシアノジェン: cyanogen)あるいはシュウ酸ジニトリル(: oxalonitrile)とも呼ばれ、また単にシアン: Cyan)といえばこの物質またはシアノ基のことを指す。

概要 物質名, 識別情報 ...
ジシアン
Skeletal formula of cyanogen
Skeletal formula of cyanogen
Ball and stick model of cyanogen
Ball and stick model of cyanogen
Spacefill model of cyanogen
Spacefill model of cyanogen
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
バイルシュタイン 1732464
ChEBI
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.006.643 ウィキデータを編集
EC番号
  • 207-306-5
Gmelin参照 1090
MeSH cyanogen
RTECS number
  • GT1925000
UNII
国連/北米番号 1026
CompTox Dashboard (EPA)
性質
N≡C–C≡N
モル質量 52.036 g·mol−1
外観 無色の気体
匂い 刺激臭、ビターアーモンドのような
密度 950 mg/mL (at −21 °C)
融点 −28 °C (−18 °F; 245 K)
沸点 −21.1 °C; −6.1 °F; 252.0 K
45 g/100 mL (at 20 °C)
溶解度 エタノール、エチルエーテルに溶ける
蒸気圧 5.1 atm (21 °C)[5]
1.9 μmol/(Pa·kg)
磁化率 −21.6·10−6 cm3/mol
屈折率 (nD) 1.327 (18 °C)
熱化学
標準モルエントロピー S 241.57 J/(K·mol)
標準生成熱 fH298)
309.07 kJ/mol
標準燃焼熱 ΔcHo −1.0978–−1.0942 MJ/mol
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
体内でシアン化物を形成、可燃性[5]
GHS表示:
可燃性急性毒性(高毒性)水生環境への有害性
Danger
H220, H331, H410
P210, P261, P271, P273, P304+P340, P311, P321, P377, P381, P391, P403, P403+P233, P405, P501
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
NFPA 704 four-colored diamondHealth 4: Very short exposure could cause death or major residual injury. E.g. VX gasFlammability 4: Will rapidly or completely vaporize at normal atmospheric pressure and temperature, or is readily dispersed in air and will burn readily. Flash point below 23 °C (73 °F). E.g. propaneInstability 2: Undergoes violent chemical change at elevated temperatures and pressures, reacts violently with water, or may form explosive mixtures with water. E.g. white phosphorusSpecial hazards (white): no code
4
4
2
爆発限界 6.6–32%[5]
NIOSH(米国の健康曝露限度):
PEL
none[5]
REL
TWA 10 ppm (20 mg/m3)[5]
IDLH
N.D.[5]
安全データシート (SDS) inchem.org
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
 verify (what is  ☒N ?)
閉じる

性質

シアノ基2つが炭素原子同士で共有結合した構造 (NCCN) を持つが、異性体としてイソシアノゲン (NCNC) およびジイソシアノゲン (CNNC) も知られている。

常温では特有の臭気をもつ無色の気体である。冷水と反応してシアン化水素シアン酸を生ずるなど、ジハロゲン分子 (X2) と似た性質を示す擬ハロゲンである。

エーテルに比較的溶けやすい。塩酸中でスズと反応させるとエチレンジアミン還元される。

酸素との至適混合気を燃焼させると桃色の炎を上げ 4600 ℃ という高温になる。

これは燃焼によって水を生じないためである。一方アセチレンのように燃焼により水が生じると、3000 ℃ ほどで水分子が解離するためそれ以上の高温にはならない[6]

製法

実験室レベルではシアン化水銀など重金属塩の熱分解によって得られる。

他にたとえば硫酸銅(II)のような二価銅の水溶液にシアン化物を加えると、不安定なシアン化銅(II)が生成し速やかにシアン化銅(I)とジシアンに分解する[7]

五酸化二リンによるオキサミド(シュウ酸アミド、)の脱水、炭素窒素の高温加熱などでも得られる。

工業的には塩素と二酸化ケイ素触媒を用いたり、二酸化窒素と銅の化合物を用いたりして、シアン化水素を酸化することで製造されている。また窒素とアセチレンの混合気に放電して得る方法もある[8]

パラシアン

高温で長時間加熱すると重合体のパラシアンを生成し、この重合は光をあてることによって促進される。パラシアンは不溶液の黒褐色の粉末で、800 ℃以上に熱すると再びジシアンを遊離する[9]

歴史

スウェーデンの化学者カール・ヴィルヘルム・シェーレ紺青から単離したのが最初で、その後1815年にジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックが合成して実験式を与え、ギリシャ語の瑠璃色 (κύανος) に因んでcyanogèneと命名した[10]

19世紀後半の肥料工学の成長に伴い重要性を増し、今日でも化学肥料生産における重要な中間産物となっている。またニトロセルロース生産における安定剤としても使われている。

安全性

他の無機シアン化合物と同様、還元によりシアン化水素を生じ、ミトコンドリアにおける呼吸を阻害することで高い毒性を示す。また眼や呼吸器に対して刺激性がある。ジシアンを吸引すると、頭痛めまい頻脈吐き気嘔吐意識喪失痙攣を引き起こし死に至る[11]

参考文献

関連項目

外部リンク

Related Articles

Wikiwand AI