持効性注射剤
薬剤を徐放性に設計した注射製剤
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持効性注射剤(じこうせいちゅうしゃざい、英: long-acting injectable(LAI) 、英: Depot injection、デポ剤)は、薬剤を徐放性に設計した注射製剤のこと[1]。持効性注射剤の導入により投薬の頻度を減らすことが可能となる。持効性注射剤は、特に薬を飲み忘れやすい患者の服薬アドヒアランスの向上や治療の一貫性を高める目的で設計されている。プロドラッグのように薬剤分子自体を改変する方法や、油性・脂質懸濁液などの投与方法を変更することで製剤化される。作用が1か月以上持続する場合があり、抗精神病薬やホルモン剤など多くの種類の薬剤で利用可能である[2]。


目的
メカニズム
発見
薬物動態
利用
持効性注射剤は多くの定型抗精神病薬および非定型抗精神病薬、一部のホルモン製剤やオピオイド使用障害治療薬として利用されている[11][12][13][3]。抗精神病薬の持効性注射剤は、統合失調症などの疾患を持つ患者の低い服薬アドヒアランスを改善するために使用される[11]。製品によっては医師や看護師が投与するものもあれば、患者が自己投与できるよう設計されているものもある[14]。自己投与可能な持効性注射剤は、特に発展途上国において、医療アクセスを拡大し、医師の受診頻度を減少させるために利用される[14]。
インスリンも製剤によっては持効性注射剤とみなされる場合がある。例えば、インスリン グラルギンは注射後に沈殿し、通常インスリンよりも長期間にわたって体内に吸収されるよう設計されている[15]。持効性インスリンの研究では、体内の自然な基礎インスリン分泌を模倣するための技術開発が進められている[16]。
用語
日本神経精神薬理学会が編集している「統合失調症薬物治療ガイドライン」では持効性注射剤という用語が用いられている[1]。英語では以前は、デポ剤(Depot Injection)と呼ばれていた。初期のデポ剤は、主に油性基剤を用いた製剤が主流であったが、製剤技術の進化により、水性基剤やポリマーを利用した製剤が登場した。これに伴い、「デポ剤」という用語は、油性基剤を想起させることもあり、より包括的で技術の進化を反映したLAI(Long-Acting Injectable)という表現が主流となった。また、「デポ」という言葉が「貯め込む」というニュアンスを持つため、患者に不安感を与える可能性があることが指摘され、より中立的で柔らかい表現として「LAI」が使われるようになった[17]。
持効性注射剤
- リスパダール・コンスタ:リスペリドンの持効性注射剤。2週間持続。
- エビリファイメンテナ:アリピプラゾールの持効性注射剤。4週間持続。
- ゼプリオン:パリペリドンの持効性注射剤。4週間持続。
- ゼプリオンTRI:パリペリドンの持効性注射剤。12週間持続。
- ハロマンス:ハロペリドールの持効性注射剤。4週間持続。
- フルデカシン:フルフェナジンの持効性注射剤。4週間持続。
- ゴセレリン:性腺刺激ホルモン放出ホルモン作動薬(GnRH作動薬)。1か月製剤と3か月製剤がある。