パントテン酸
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パントテン酸(パントテンさん、英: pantothenic acid)とは、ビタミンB群に含まれる物質で、D(+)-N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンのこと。かつて、ビタミンB5とも呼ばれていた。CoA(補酵素A)の構成成分として、糖代謝や脂肪酸代謝において重要な反応に関わる物質。語源はギリシャ語で、「どこにでもある酸」という意味。栄養素のひとつ。水溶性のビタミンで、食品中に広く存在し、通常の食生活を送る上で不足になることはあまりない。 パンテテイン(英:Pantetheine)は2-メルカプトアミン(システアミン)とのアミドであり、更にパンテテインがジスルフィド結合した二量体がパンテチン(英:Pantethine)である。これらはすべてパントテン酸の生理活性を有する。
| 物質名 | |
|---|---|
3-[(2,4-dihydroxy-3,3-dimethylbutanoyl)amino]propanoic acid | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| ECHA InfoCard | 100.009.061 |
| KEGG | |
PubChem CID |
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CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| C9H17NO5 | |
| モル質量 | 219.237 g·mol−1 |
| 外観 | 粘稠油状 |
物性
生理活性
一日の所要量
過剰症と欠乏症
外用薬として
パントテン酸のアルコール類縁体のデクスパンテノールは、保湿、創傷治癒の商品に成分として含まれ[1]、ドイツでは1944年にベパンテン軟膏 (Bepanthen) が登場した[2]。保湿作用があり、皮膚バリア機能を修復する[2]。1.2%にアレルギー性接触皮膚炎が起こっており、以前の研究における比較的高い発生率に一致する[1]。軽症から中等症のアトピー性皮膚炎の子供に、ステロイドと同等の効果であった[3]。
プロビタミンB5の形態のパントテン酸は、パンテノールである。シャンプーなどの化粧品に配合されている。パンテノールは日本では目の疲れをとる目的で目薬に配合している製品もある[4]。パンテノールとナイアシンを配合した軟膏 (Bepanthen SensiDaily) は、非炎症性の乾燥、敏感肌を対象としているため、108名の小児アトピー性皮膚炎の維持期に使い、3か月後に炎症がなかった割合はパントテン酸軟膏で96%、比較対象の保湿剤で77%であった[5]。皮膚バリア機能と水分量に効果があった[6]。
生化学
生体内において、パントテン酸はパントテン酸キナーゼ(EC 2.7.1.33)、ホスホパントテノイルシステインシンテターゼ(EC 6.3.2.5)、ホスホパントテノイルシステインデカルボキシラーゼ(EC 4.1.1.36)、デホスホCoAピロホスホリラーゼ(EC 2.7.7.3)、デホスホCoAキナーゼ(EC 2.7.1.24)の作用により補酵素A(CoA)に変換される。
- EC 2.7.1.33 ATP + (R)-pantothenate = ADP + (R)-4'-phosphopantothenate
- EC 6.3.2.5 CTP + (R)-4'-phosphopantothenate + L-cysteine = CMP + PPi + (R)-4'-phosphopantothenoyl-L-cysteine
- EC 4.1.1.36 (R)-4'-phosphopantothenoyl-L-cysteine = pantotheine 4'-phosphate + CO2
- EC 2.7.7.3 ATP + pantetheine 4'-phosphate = diphosphate + 3'-dephospho-CoA
- EC 2.7.1.24 ATP + dephospho-CoA = ADP + CoA

