ミノア語

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ミノア語(ミノアご)は古代クレタにあったとされる言語(あるいは諸言語)である(紀元前2千年紀)。ギリシア語との類縁関係は不明であり、大陸からのギリシア人(ミケーネ文明)により島の文明が取って代わられる以前の言語とされる。

クレタ島のミノア文明

1900年、イギリス考古学者アーサー・エヴァンズはクレタ島のクノッソス宮殿跡を発掘し、多数の粘土板を得た。エヴァンズは粘土板の文字を聖刻文字線文字A線文字Bに分類した。これらの文字は未解読だったが、ミノア語を表すものとされた。

2023年現在は、聖刻文字線文字Aがミノア語を表すと考えられているが、引き続き未解読であり、同一の言語を表しているかどうかも明らかでない。

  • 線文字Bは解読され、ギリシア語の一種(ミケーネ・ギリシャ語)を表記していることが判明し、ミノア語から外された。

なおクレタ島で紀元前1千年紀の碑文に残る純正クレタ語があり、ギリシア文字で書かれているが、ギリシア語ではないことが判明している。ミノア語との類縁関係は不明である。

歴史

ミノア語は主として線文字Aの碑文から知られており、これは線文字Bと比較すればかなり可読性が高い。クレタ聖刻文字は紀元前2千年紀前半にさかのぼるとされる。線文字Aの文書は、主として粘土板に記されており、クレタ島全土に広がり、島内40以上の地点から出土している。

エジプトの文書

エジプト第18王朝からは、ケフティウ(Keftiu)人の言語における人名および呪文を含む4つの文書が伝わっている。これらは、非エジプト語の文書において通例であるように、エジプト聖刻文字で記されており、その結果、これらの名前と呪文の発音を再構築することが可能となっている。

  • 『魔術パピルス・ハリス』(ラテン語: Papyrus magicus Harris XII, 1–5)― 第18王朝初期:ケフティウ語の呪文[2]
  • 書写板(B.M. 5647)― 第18王朝初期:ケフティウ人名を記した学習用黒板[3]
  • 『ロンドン医術パピルス』(B.M. 10059)― 第18王朝末期:疾病に対抗する二つの呪文(第32–33番)
  • 「エーゲ海地名表」:いくつかのクレタの地名

これらの文書に基づき、ケフティウ語の音韻体系は以下の子音を有していたと再構されている[4]

さらに見る 両唇音, 歯音 ...
子音音素
両唇音 歯音 歯茎音 硬口蓋音 軟口蓋音 口蓋垂音 声門音
鼻音 m n
閉鎖音・破擦音 p b t d ts k q
摩擦音 f s ʃ h
ふるえ音 r
接近音 j w
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分類

ミノア語は未分類の言語であり、あるいは同一の文字体系で記された複数の未確定言語であった可能性もある。それは印欧語族セム語族ティルセニア語族との比較が試みられてきたが、いずれも決定的な結論には至っておらず、孤立言語と見なされている[5][6][7][8][9][10][11]

統語論

メルボルン大学の言語学者かつ考古学者であるブレント・デイヴィスは、線文字Aにおいて一般的に見られる定型的な語式の性質に基づき、この言語の基本的語順は動詞–主語–目的語(VSO)である可能性を提案している[12]

脚注

参考文献

関連項目

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