メガキャスト
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歴史
2010年代、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者は、電気自動車テスラ・モデル3のアンダーボディーの複雑な造り方を問題視。「玩具のクルマのように」もっと簡素に造れないかと考えて、大きなダイカストマシンで成形する発想を思いついた。この方法を実現するためにイタリアのイドラ社が、この構想を実現する6,000重量トン(tf)のダイカストマシン(ギガプレス)を開発・製造してテスラに提供。テスラは、テスラ・モデルYのリアアンダーボディー、フロントアンダーボディーをギガプレスにより製造し、モデル3では171点もあった部品点数をわずか2点に減らすことに成功した[1]。
その後、ダイカストマシンの使用については、自動車メーカー各社で採用が続くも、徐々に適正化(後述)が進んだ。テスラ自身も、2025年4月に納車を開始したモデルYのマイナーチェンジモデルにおいて、ギガプレスによる骨格製造を車体後部のみに限り、前部は鋼板のプレス部品などからなる骨格に切り替えた[2]。
発展
課題
衝突安全性
複数の部品で構成されていた部分を1つの鋳造物に置き換えるため、衝突安全基準を確保するための新たな部品設計技術が必要となる。メガキャストで製造する部品自体の剛性は確保できるものの、従来、自動車の衝突時に非常に多数の部品同士が変形、歪みを生じさせながら衝撃を吸収していたところを、一つの部品の各部を座屈させながら衝撃を吸収させることを検討しなければならない[4]。加えて、アルミニウムの鋳造部品は、部位ごとに板厚をミリ単位で厚くしたり薄くしたりする制御は難しく、新たな知識や経験を必要とする[5]。
設備や部品の適正化
大型部品を鋳造する上で必要な金型は、定期的に補修を行うため交換する必要が生じる(頻度が高い企業では1日に1回)。型締め力が9,000重量トンのダイカストマシンの場合、質量は100トンほどにも達するため、初めから重い金型を取り外したり搬送したりすることを想定した製造ライン、生産体制を組む必要が生じる[6]。
本田技研は、大型ダイカストマシンによる製造の優位性を認めつつも消費電力の少なさ、設備の大きさ、運搬や修理の容易さなどのポイントをあげ、単に部品の規模を大きくするだけではなく、最適な規模での生産性向上を狙う必要があるとし、2024年の時点では、あえてメガキャストの範囲にとどめていることを説明している[7]。