ヤマセミ
鳥類の1種
From Wikipedia, the free encyclopedia
ヤマセミ(学名: Megaceryle lugubris)は、ブッポウソウ目カワセミ科の鳥である。
| ヤマセミ | |||||||||||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヤマセミ | |||||||||||||||||||||||||||
| 保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
| LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||
| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Megaceryle lugubris (Temminck, 1834) | |||||||||||||||||||||||||||
| シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
|
Ceryle lugubris (Hartert, 1900) | |||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||
| Crested Kingfisher | |||||||||||||||||||||||||||
|
主な分布域 |
形態
カワセミに似て大きな嘴、ボサボサの頭で黒と白の斑模様の鳥である。以下、清棲(1978)による[2]。
雌雄ほぼ同色。雄は額から頭上、目の周りと耳羽は黒色で白色の班が散在する。頭上と後頭の羽根は長く、羽冠となり毛羽立つ[2]。羽冠部分の羽根は黒地に白斑が入るものと、白地に黒斑が入るものがある。腮(あご)、喉、頬は白色で、下嘴から伸びる黒色の頬線がある。後頸は黒色で白色の班が入るが、一部に純白の羽根がある。背・肩羽・腰・尾筒は白色で灰色の縞模様が密に入る。胸と腹は白色で胸には黒斑が混じった幅の広い横帯入るが、黒斑の多少は個体差が大きい。この部分は全体に赤錆色を帯びている。脇は白色で灰黒色の横縞がある。下雨覆と腋羽は白色。
雌は雄とほぼ同色であるが、胸の赤錆色の帯模様が無い。また、下雨覆と脇羽が錆び色になる[2]。
- 羽冠がよく目立つ。斑模様だが頸・胸・腹などはほぼ純白。
- 背中側はほぼ斑模様となっている。尾羽も比較的大きく目立つ
- オスは下雨覆と脇羽は純白、胸に赤錆色の横帯が入る。
- メスの下雨覆と脇羽は錆び色になる
生態
名のとおり山地の渓流や池の周囲に生息するが、冬は平地の河川や海岸にもやってくる。単独または番い(つがい)で生活する。
食性は動物食。採餌するときは水辺の石や枝の上から水中に飛び込んで、魚類や甲殻類、水生昆虫などを捕食する。ときには空中でホバリング(滞空飛行)しながら飛び込むこともある。カワセミと同じように捕獲後は再び石や枝に戻ってえものをくわえ直し、頭から呑みこむ。大きな魚をとらえた時は足場に数回叩きつけ、殺してから呑みこむ。
繁殖時には土砂斜面の崖地に横穴を掘って営巣する鳥で、これはカワセミも同じである。ヤマセミはカワセミと比べて川から遠い場所でも営巣するが、崖の状態にはカワセミ以上に敏感であるという[3]。
- 川沿いで生活する
- 魚を捕えたヤマセミ
- ホバリング
分布
人間との関わり
種の保全状況
国際自然保護連合(IUCN)が作成するレッドリストでは、本種の絶滅の危険性について2024年時点で低危険種(Least Concern, LC)と評価している。近年のレッドリストはいずれもLCでの指定であるが、生息数は減少傾向にあるとされている[1]。日本の環境省が作成する環境省レッドリスト(鳥類の最新版は2014年公開2020年最終改訂の第四次リスト)には掲載されていない。
都道府県が作成するレッドリストでは2025年現在、40あまりの都府県で絶滅危惧種等の指定を受けており、特に茨城県、千葉県、東京都、静岡県、愛知県、福井県、滋賀県、和歌山県、香川県、徳島県、長崎県では絶滅危惧Ⅰ類での指定である[4]。
生態節の通り営巣地となる崖の状態に敏感であるほか、長野県での観察によれば川に釣り人がいるだけでも雛への給餌回数などに負の影響が出るという[5]。
現在の「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(平成十四年法律第八十八号、通称:鳥獣保護法)の施行規則第十条に定める狩猟鳥獣の一覧にも入っておらず[6]、日本では狩猟鳥獣ではない。違反すると同法八十三条などにより罰則がある[7]
自治体の鳥
以下の自治体の指定の鳥である。
日本の普通切手
名称
標準和名は「ヤマセミ」とされ、『日本鳥類目録』(1974)[9]、『世界鳥類和名辞典』(1986)[10]などではこの名前で掲載されている。「セミ」は昆虫のセミとは関係なく、元々は「ソニ」「ソビ」などと呼ばれていたものが、「ショウビン」を経て転訛した説が有力とされており、江戸時代の複数の文献、たとえば『大和本草』、『物類称呼』、『倭朝禽類異名』ではこの説を採っている[11]
種小名 lugubrisは「喪服の、悲しげな」などの意味があり、黒と白で構成される本種の地味な体色に因むものと見られる。属名 Megaceryleのうち、ceryleはギリシア神話に登場する伝説の海鳥である[12]。Ceryle属というのもあり、かつてはこちらに入れられていたこともあった。Megaは大きいという意味で、両者を合わせたMegaceryleはCeryle属のものよりも大きいことを示す。