書物の『九位』(『九位次第』とも)は、『花鏡』よりも少し後に書かれた、世阿弥の能芸論書である。この著書の中で世阿弥は、仏教における九品になぞらえ、能の芸の段階(芸位)を9段階に分けて示した。9段階それぞれの境地の説明には、禅の詩句が引かれている[3]。
世阿弥は同時代の能楽者について、増阿弥の能や音曲の芸位を「閑花風」と評し、また犬王(道阿弥)の能を「上三花にて、つゐに中上にだに落ちず」と評したことが『申楽談儀』に見える。
また、能の演目の位としても用いられている。『申楽談儀』で世阿弥は「井筒」を「上花」、「松風村雨」は「寵深花風か」と評している。