室間孔
側脳室と第三脳室を結ぶ孔
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構造
室間孔は左右それぞれの側脳室から第三脳室へつなぐので、合計2つ存在する[2]。側脳室側の出口は側脳室中央付近の下面にあり[3]、第三脳室の前面へ流入する[4]。孔の前側には脳弓があり、後方には視床がある[4]。室間孔の穴の形は通常三日月形であるが、側脳室の形状によって丸いことや大きいことがある[4]。
発生
脳室系の発生と形状には脳の様々な部分の発生が関連しており、脳室系は最終的に神経管から生じる[4]。側脳室は発生を通して第三脳室とはつながった状態のままであり、発生に伴い第三脳室から分離してできた袋のようになって発生する[4]。脳弓が大きくなってくると、室間孔はゆっくりと前外方へ発達する[4][5]。
機能
臨床との関連
室間孔が狭窄または閉塞すると疾患の原因となりうる[4]。室間孔の狭窄は小児に好発する[7]。特に、TORCH症候群のような先天性の感染症に伴う炎症や瘢痕化、脳底動脈や脈絡叢などの発達異常、コロイド嚢胞や結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫、過誤腫といった周囲の組織の異常な増殖などに関連している[4][7]。
室間孔の閉塞で最も起こりやすい症状が頭痛であり[7]、他の症状として失神、認知症、昏睡などを起こす。これらは脳室の流れが滞ってしまう非交通性水頭症に関連する症状である[4][7]。水頭症は頭部CTや頭部MRIで確認することができ[7]、治療は脳神経外科的手術により内視鏡で孔を広げる、または左右の側脳室の間にある透明中隔を通じて新しい通路を作ることによる[4]。脳室を閉塞するものが非常に大きい場合や内視鏡的には困難な場合は、開頭術または髄液シャント術により脳室の髄液を腹腔へ排出する方法が必要になる[4][7]。脳に存在する微小な構造であるため、手術により付近の解剖学的構造を障害する可能性がある。障害されると前向性健忘、片麻痺、無動無言症、脳梁離断症候群などを起こしうる[4]。
歴史
室間孔はスコットランドの医師でエディンバラ大学の卒業生であるアレクサンダー・モンロー2世にちなんで命名された。彼は1764年のエディンバラ王立協会で水頭症により拡張した室間孔を初めて報告し[8]、その後1783年にObservations on the Structure and Functions of the Nervous System(直訳すると神経系の構造と機能の観察)が発行された[4]
モンローはその著書にて、脳室系は古代の解剖学者、ガレノスの時代から脳室系がつながっていることは言及されてきており、孔の存在を示唆するものである、と述べた[4]。以下、モンローの記述の引用である。
... an oval hole, large enough to admit a goose quill, under forepart of the fornix. From this hole, a probe can be readily passed into the other lateral ventricle, shewing [sic], in the first place that the two lateral ventricles communicate with each other[9]
(訳:脳弓の前下方にガチョウの羽根ペンを入れれるほどの大きさの卵円形の穴がある。この穴から針を入れると簡単に通過させることができ、もう一方の側脳室に着く。つまり、第一に2つの側脳室は互いに交通しているということである。)
モンローの、2つの側脳室が室間孔によりつながり、それから第三脳室に入るという当初の記述は実際には不正確であった[8][9]。モンロー自身も指摘しているように、脳室がつながっているということは以前から知られていたことであり、モンロー孔というエポニムを付けるのは違うのではないか、という声もある[9]。