特殊列車

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特殊列車(とくしゅれっしゃ)とは、通常の旅客貨物の輸送とは異なる、特殊な使命を持った列車である。その多くは臨時列車であるが、排雪列車の一部などはあらかじめダイヤに組み込まれているものもある。目的に応じて専用の事業用車を使用して運転されることも多い。

特殊列車の種類

お召列車

天皇皇后皇太后が使うために特別に運行される列車。

団体列車用として製造された近鉄20000系「楽」

団体列車

特定集団(団体)が旅行する際に、一般客の乗る普通の旅客列車と別に設定されて貸しきる列車。

試運転列車

線路設備の維持管理のために試運転扱いで検測走行をするE926形新幹線電車

試運転列車(しうんてんれっしゃ)とは、その名のとおり、車両試運転のために運転される列車である。

主として以下のような目的で運転される。

  • 新製車の性能試験
  • 工場検査出場に伴う検査完了の確認
  • 試作車両や新形車両の試験走行や新形装置の試験
  • 乗務員訓練(回送列車扱いとする場合もある)
  • 線路の検測
    線路維持管理のために、軌道架線信号などの設備を走行しながら検測する列車である。観測・測定用の各種機器を備えた検測車が使用される。
    新線開業の際などに、軌道上に列車が通行することができるだけの空間があるかどうかを測定するため運転される、建築限界測定車を使用した列車もこの一種である。かつての建築限界測定車は障害物の有無を確認するために金属の棒が枝のように放射状に広がっており、その状態が花魁が髪にを挿した姿に類似することから、通称「おいらん」とも呼ばれた。
  • その他(適切な分類が存在せず、便宜上試運転扱いとなるもの)

回送列車

回送列車は厳密には特殊列車ではないが、非営業列車の一種である関係上、特殊列車と位置付けられる場合もあるため、便宜上記載する。

排雪列車

宗谷本線で排雪列車の運用に就くDE15形ディーゼル機関車

排雪列車(はいせつれっしゃ)とは、線路積雪したときに除雪のために運転される列車である。蒸気機関車全盛時代は貨車の一種である雪かき車を機関車の前に連結して運転された。また、後述のロータリー車による除雪の際は雪壁を崩しながら投雪する車両がなく、機関車-マックレー車-ロータリー車-機関車という編成を組んだ列車で除雪作業が行われ、この編成は通称キマロキ編成と呼ばれた。ディーゼル機関車の発展に伴い、ラッセルヘッドロータリーヘッドを備えた機関車が登場し、21世紀初頭の現在ではこれらが主力となっている。

通常はラッセル車を用いて運転されるが、大量の積雪があってラッセル車では対応できない場合や、ラッセル車による除雪を繰り返して雪の壁ができてしまった場合には、ロータリー車の出番となる。ロータリー車による排雪列車を特殊排雪列車(略して特雪-トクユキ)と呼ぶ。

一方、除雪作業には保線機械の一種である排雪モーターカーが使用されることもあるが、車籍を持たないため列車として運転することはできず、線路閉鎖の措置を取る必要がある。反面、閉鎖された線路内を自由に動けるため、ダイヤにとらわれず積雪状況に応じた除雪作業が可能である。なお、北海道旅客鉄道(JR北海道)には、排雪モーターカーにATSなどの保安装置を取り付けて機関車としたDBR600形が在籍していた。同車は車籍を有するため、線路閉鎖することなく列車として運転されていた。

救援列車

救援列車の一例。故障した213系と救援した119系が連結されているのが判る。

救援列車(きゅうえんれっしゃ)とは、事故の際の救援および復旧作業のために運転される列車である。救援用の資材を積載した救援車が使用される。また、車両故障などのために自走できなくなった列車を牽引するために機関車が単独で現場に向かう場合や、取り残された乗客を輸送するために代わりの車両を送り込む場合も救援列車として扱われる。

EF65形による工臨列車

工事列車

工事列車(こうじれっしゃ)とは、線路の工事のために運転される列車である。営業運転ではない事業用の列車であり、以前は定期列車に位置づけられるものもあったが、近年は臨時列車として運行されるため、略して工臨(こうりん)とも呼ばれる。通常は、線路の保守を担当する事業者(JRであれば各旅客鉄道会社)が運行するものを指し、工事現場までレールや資材を運搬する列車や、バラストを散布するための列車などがある[注釈 1]

工事用資材輸送の列車と言ってもその解釈は広く、直接工事現場へ輸送するものではないバラスト輸送や、工事列車用貨車を検査のために回送する列車も工事列車として取り扱われることがある。橋梁の架け替えのためのクレーン車(鉄道では操重車と呼ぶ)を現場まで牽引する列車などもその一種である。

東海旅客鉄道(JR東海)では機関車や貨車の老朽化に伴い、新型レール輸送気動車キヤ97系が導入された。この車両は、JR貨物の名古屋港駅に隣接する名古屋資材倉庫でレールを積載し、日本貨物鉄道(JR貨物)名古屋港線をDE10に牽引されて名古屋まで走行した後、以降自社線内は自力で各地へレールを輸送する。

配給列車

EF64牽引の配給列車
(2020年9月17日 宮原駅 - 大宮駅)間
EF81牽引の配給列車
(2020年9月23日 宮原駅
配給列車用に製造されたクモル145形電車

配給列車(はいきゅうれっしゃ)とは、鉄道会社内の社用品を運搬するための列車を指す。基本的に列車番号の頭に「配」の文字が付く。営業は行わないので事業用列車に分類される。社用品の解釈は広く、小さいものでは乗車券類や文書類から、大きいものでは電車や機関車など車両そのものの場合もある。車両は主に保安装置等の都合で自走できない場合に行われ、改造時の入出場や転属などがあるほか、総合車両製作所新津事業所からのJR東日本向け新製車も配給輸送が行われる。

最も一般的であったのは自社工場から車両基地へ部品などを運ぶ列車で、その車両は配給車と呼ばれた。21世紀初頭の現在、それらはトラック輸送や営業列車への積込輸送に移行され、本来の運用の場はない。

社用品が対象であり、また社内での運行が原則であるため、自社向け車両でも受け渡し前であったり、他社線を経由するような場合は一般的にJR貨物に委託される[注釈 2] [1][2]。この場合は同社により甲種鉄道車両輸送と呼ばれる貨物列車の一種として運行される。なお甲種輸送列車の場合は、団体臨時列車にも見られるような、頭に「甲」と付く輸送番号が与えられるが、列車番号は通常の臨時貨物列車と同様のものが与えられる。

配給列車の特殊な例では、小田急電鉄4000形電車がJR東日本大宮総合車両センターで改造を行うため、松戸車両センターから電気機関車牽引による配給列車扱いの形で回送された例がある[3] [4] [5] [6][7] [8]

また、JR貨物では配給列車と称した貨車の試運転列車が存在する。これは、交番検査明けの貨車などが連結され、基本的に貨物駅と貨物駅の間を1往復する。首都圏ではJR貨物川崎車両所神奈川臨海鉄道塩浜派出委託)で交番検査が実施された貨車の試運転列車として東京貨物ターミナル駅熊谷貨物ターミナル駅東海道貨物支線 - 南武支線 - 武蔵野線 - 高崎線経由で往復運転する配8795列車と配8794列車などがそれにあたる。

錆取り列車

錆取り列車(さびとりれっしゃ)[9]とは、レール表面に付着したを取り除くために走らせる列車のことである。サビ落とし列車[10][11]とも呼ばれる。本来は事業用列車の一種であるが[12]、他の列車を用いることもある[13]

電化路線に於いては、線路に錆が発生すると、架線から集電した電気をレールを通して返すことができなくなり、列車の運行が不可能になる場合がある。また、電化路線・非電化路線を問わず、自動信号機や自動踏切はレールと車輪を介した軌道回路によって作動するため、同様に、錆によって作動に支障を及ぼす場合がある[14]。このため、定期的にレールの錆を落とす目的で錆取り列車が運行される。

錆取り列車の例

錆取り列車は、定期的に列車が通過しない線区であっても、臨時列車が通る場合に備えて、1日1往復程度走行する場合がある。

例えば、2004年6月に休線となり、2009年3月に廃線となった関西本線貨物支線(阪和貨物線)では、阪和線における貨物列車の廃止により定期的に通過する列車はなくなっていたが、和歌山方面から奈良京都方面へ向かう団体専用列車や、南海電気鉄道向けの甲種輸送列車が通過することがあったため、117系電車などを用いて1日1往復、他の列車が通らない日は錆取り列車を走らせていた[9]

また、新規に開通する路線では工事期間中にレール表面が錆びるため、地上設備と車両設備の調整時に錆取り運転を実施する[15]

ストライキ時における錆取り列車

1975年11月26日から12月3日まで続いた公共企業体等労働組合協議会(公労協)によるスト権ストでは、当時の国鉄組合である国労動労がストライキに参加したため、全国規模で国電など多くの電車、列車がストライキ決行中運休になった。しかし、スト解除後の運転再開に備えて、錆取り列車は運転されていた。スト解除後には、運転再開に備えるため錆取り列車が先だって運転された[11]

脚注

関連項目

参考文献

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