ラジアン
国際単位系における角度(平面角)の単位
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概要
概念としては例えばロジャー・コーツの著書 “Harmonia mensurarum” の編注に見られるが、「ラジアン」という用語自体は19世紀にジェームズ・トムソンが導入した[1]。
日本の計量法体系では、ラジアンは「円の半径に等しい長さの弧の中心に対する角度」と定義されている[2]。1 radは度数法では 180°/π で、およそ 57.29578° に相当する。180° は弧度法においては π rad であり、360° は 2π rad である。
国際量体系(ISQ)における角度は「弧と半径の長さの比」としての無次元量であり、その単位であるラジアンも無次元量である。一貫性のある無次元量の組立単位は 1 に等しく、その意味でしばしば単位 rad は省略されて書かれる。また、circular の頭文字から c という記号が用いられることもあるが、度の記号である「°」と見誤り易い。SI 及び計量法 では、ラジアンの記号は rad のみを認めている[3][4]。

国際量体系において、中心角が θ、半径が r の扇形の、弧の長さ l と面積 S は
である。かつてラジアンはステラジアンとともにSIの補助単位の一つに分類されていたが、1995年に補助単位の分類は廃止され、ラジアンは長さの単位メートルの比 rad = m/m = 1 で組み立てられる組立単位として分類されている。ラジアンは単位方程式に数係数を含まない一貫性のある組立単位であり、この関係と先の量方程式を用いれば、数値方程式が
となる。
一般的な用途に使われる表計算ソフトなどでも、組み込み関数は度数法ではなく弧度法で定義されている場合が多くなってきている。
数理科学における重要性
ラジアンが数学や物理学、工学において標準的な角度の単位として採用される主な理由は、理論体系の簡潔さと単位系の一貫性にある。
解析学における利点
微分積分学において三角関数を扱う際、変数の単位にラジアン(あるいは単位を明記しない実数)を採用することで、極限
において係数が 1 となり、形式が最も簡潔になる。多くの数学書において、この性質がラジアンを用いる「自然な」理由として説明される[5]。量方程式の観点からは式の形は単位の選び方によらないという議論もあるが[6]。
計量学の厳密な観点(国際量体系)からは、これらの公式が簡潔になるのは「単位にラジアンを選んだから」ではなく、角度という量を「弧と半径の比(無次元量)」と定義したことによる帰結であると説明される[7]。しかし、実用上の数値計算や解析学の運用においては、この定義に合致する単位がラジアンであるため、結果としてラジアンを用いることが最適となる。
物理学・工学における利点
物理学や工学(特に電気工学や力学)では、ラジアンがSI組立単位として一貫性を持つことが重要視される。 例えば、電気回路においてインダクタンス L を持つコイルに発生する誘導起電力の大きさ V は、角周波数 ω (rad/s) を用いると
のように係数を含まない形で記述できる。これを度数法や回転数 (Hz) ベースで計算しようとすると、2π や 360 といった係数を都度補正する必要が生じる。単位にラジアンを用いることで、数値方程式と量方程式の形式が一致し、計算の見通しが良くなる。
度数法を用いた場合との比較
仮に度数法を採用して解析学を展開しようとした場合、次のような係数の煩雑さが生じる。
各実数 t に対して、半径 r の円周上の点 P が t ° 回転したときの座標を (x, y) とし、度数法に基づく三角関数を sin* t = y / r、cos* t = x / r と定義してみる[註 1]。 この関数 sin* と、通常の(ラジアンに基づく)三角関数 sin の間には、
という関係が成り立つ。これを変数 t で微分すると、合成関数の微分法より
となる[5]。 このように、度数法を用いると導関数に係数 が現れ、公式が複雑になる。これが、数学的な理論体系においてラジアンが好まれる理由である。
派生単位
ラジアンの分量
- ミリラジアン (mrad) = ラジアンの1000分の1 = 約 0.05729578° = 約 206.2648″ = 約 3′26.2648″
- ミルは、ミリラジアンから派生した単位である。ミルの定義はさまざまであり、NATOの定義では
- 1ミル = 360°/6400 = 0.05625° = 3′22.50″
であり、ミリラジアンとは異なる単位である。
- 1ミル = 360°/6400 = 0.05625° = 3′22.50″
- マイクロラジアン (μrad) = ラジアンの100万分の1 = 約 0.2062648″
ラジアン毎秒
ラジアン毎秒(ラジアンまいびょう、記号: rad/s)は、国際単位系における角速度の単位である。ラジアン毎秒は、1秒間に1ラジアンの角速度と定義される。
ラジアン毎秒毎秒
ラジアン毎秒毎秒(ラジアンまいびょうまいびょう、記号: rad/s2)は、国際単位系における角加速度の単位である。ラジアン毎秒毎秒は、1秒間に1ラジアン毎秒の角加速度と定義される。