戦慄の王女
クイーンのスタジオ盤
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『戦慄の王女』 (Queen) は、イギリスのロックバンド、クイーンのデビュー・アルバム。全英24位[3]、全米83位[4]を記録。
| 『戦慄の王女』 | ||||
|---|---|---|---|---|
| クイーン の スタジオ・アルバム | ||||
| リリース | ||||
| 録音 |
1971年12月、1972年6月-11月 デ・レーン・リー・スタジオ、トライデント・スタジオ | |||
| ジャンル |
ハードロック[1][2] プログレッシブ・ロック[2] ヘヴィメタル[2] | |||
| 時間 | ||||
| レーベル |
パーロフォン(リイシュー盤) キャピトル・レコード→ハリウッド・レコード(リイシュー盤) 東芝EMI→ユニバーサルミュージック(リイシュー盤) | |||
| プロデュース |
ジョン・アンソニー、ロイ・トーマス・ベイカー&クイーン ルイ・オースティン(「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」のみ) | |||
| 専門評論家によるレビュー | ||||
| チャート最高順位 | ||||
| ゴールドディスク | ||||
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| クイーン アルバム 年表 | ||||
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| 『戦慄の王女』収録のシングル | ||||
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本来なら「QUEEN」は「女王」と訳されるべきだが、本作の邦題では「王女」となっている。これについては当時のレコード会社の担当者が「雰囲気で『女王』の使用を避けた」ためと語っている[5]。
解説
1971年2月、ジョン・ディーコンが加入したことでメンバーが固まったバンドは、9月にデ・レーン・リー・スタジオの導入機材のテストを担当することと引き換えに、無料でデモテープを製作する権利を得る。ルイ・オースティンのプロデュースの元レコーディングが進められ、ここで「炎のロックンロール」、「グレイト・キング・ラット」、「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」、「ライアー」、「ジーザス」が録音された。その後、バンドはマネージメント会社・トライデントと契約を結び、1972年夏頃からトライデント・スタジオにて、ジョン・アンソニーおよびロイ・トーマス・ベイカーのプロデュースの元、本格的なアルバム製作に取り掛かる。同スタジオではデヴィッド・ボウイやローリング・ストーンズも作業しており、クイーンは空き時間にしかスタジオを使えなかったが、それでも1973年1月までにはほぼ完成した。本作に収録された楽曲は「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」を除き、すべてトライデント・スタジオで録音されたものである。[6]
何重にもオーバーダブされたコーラスやギター・オーケストレーション、クラシック音楽を基調としたメロディ・ラインやドラマチックな曲展開など、クイーンのオリジナリティはこの時点ですでに備わっていたと言える。アルバムに「...and nobody played synthesizer(誰もシンセサイザーを演奏していない)」と明記されているのも、彼らのサウンドへの強い自負の表れとも言えるが、この緻密な音造りは、プロデューサーのベイカーの影響が強い。[6]また、ディーコンの名前の表記が「ディーコン・ジョン」になっているが、これはクレジットミスではなく、メンバーの意図によるものである。だがディーコン本人が「僕の名前はジョン・ディーコンだ! 直してくれ!」と激怒したため、次作の『クイーン II』では「ジョン・ディーコン」に戻されている[6]。
ジャケット
ジャケット・デザインはフレディ・マーキュリーとブライアン・メイ、そしてジャケット写真を撮影したダグラス・パディフットによる。表ジャケットのバンドのロゴはマーキュリーがデザインした[7]。ジャケットのデザインは基本的に全世界共通だが、国によっては色合いやバンドのロゴの位置が異なるものもあった。CD時代になってからは全てイギリス版のデザインに統一されている。
評価
イギリスではリリースされた1973年のうちにはチャート・インすることはなく、次作『クイーンII』のヒットに乗る形で1974年3月30日付で47位に初ランクイン、1976年2月7日付および2月21日付の24位が最高位である[3]。アメリカではイギリスよりも早くチャート・インしたが83位に留まった(1974年2月2日付)[4]。
リリース当初のイギリスでは、複雑な曲構成やふんだんに使用されたエフェクトが批評家筋から嫌われ、中には「こんなものが売れたら帽子でも何でも食ってやる」と叩く批評家もいたが、アメリカではおおむね高評価を受けた。ローリング・ストーン誌は「このファンキーでエネルギッシュなイギリスの4人組は、レッド・ツェッペリンが放棄したヘヴィメタルの王座を狙えるだけのツールがあり、ロック界に大きな影響を与える勢力になることは疑いようがない」と賞賛し[8]、ウィニペグ・フリープレスも「彼らは一番新しいイギリスのスーパースター候補である。彼らが大きな成功を収めても驚かない」とバンドを称えた[9]。
メンバーの自己評価はあまり高くなく、メイは「製作に時間がかかりすぎ、アルバムを出す頃には音楽シーンが大きく変わってしまった。ちょっと期待外れだったね」[10]と語り、ロジャー・テイラーも「気に入らない点はたくさんあるよ…ドラムの音とかね」[11]と不満を漏らしている。
リイシュー
1994年、パーロフォンよりデジタルリマスター版が、2001年には日本限定で24ビットデジタルリマスター版がリリースされた。2011年、ハリウッド・レコードより最新リマスター版を発表。リミテッド・エディションのボーナスEPには、これまで未発表だった1971年にデ・レーン・リー・スタジオで録音されたデモ音源が収録された。
2024年10月25日に本作が発表から半世紀以上を経て、ジャスティン・シャーリー=スミス、ジョシュア・J・マクレー、クリス・フレドリクソンの手によってリミックス及び修復を施され、バンドが長年望んでいたサウンドとした、最新リミックス&リマスター仕様として再発売された。このリミックス&リマスター盤にはCD1枚のみのスタンダード・エディションの他、CD2枚組のデラックス・エディション、6CD+LPのコレクターズエディションも発売されている[12]。
DISC 1とLP(日本盤のみSHM-CD仕様)はジャスティン・シャーリー=スミス、ジョシュア・J・マクレー、クリス・フレドリクソンが手がけた2024年リミックス&リマスター音源仕様で、オリジナル発売時には収録されなかった「マッド・ザ・スワイン」が追加収録され、本来予定されていた曲順で構成されている。 DISC 2「ディ・レーン・リー・デモ - 2024ミックス」にはアルバム制作に先立ってバンドが録音していたデモ音源の最新リミックス&リマスター音源、DISC 3「 戦慄の王女 (クイーン I) セッション」には倉庫から発見されたマルチ・トラック・テープを元に制作された別バージョンやラフ・ミックス、デモ音源など未発表音源、DISC 4「戦慄の王女 (クイーン I) バッキング・トラック」には本作収録曲のリード・ヴォーカル抜きのバッキング・トラック、DISC 5「戦慄の王女 (クイーン I) アット・ザ・BBC」にはイギリスのラジオ局、BBCでオンエアされたライヴ音源、DISC 6「戦慄の王女 (クイーンI) ライヴ」には発売の翌年に行った、クイーンが本国で初めて行った単独ツアー「Queen II Tour」のレインボー・シアター公演から本作の収録曲のみを選曲、更には未発表ライヴ音源などが収録されている。
収録曲
特記を除き、リード・ボーカルはフレディ・マーキュリーが担当。
| # | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| 1. | 「炎のロックンロール」(Keep Yourself Alive) | ブライアン・メイ | ||
| 2. | 「ドゥーイング・オール・ライト」(Doing All Right) | メイ、ティム・スタッフェル | ||
| 3. | 「グレイト・キング・ラット」(Great King Rat) | フレディ・マーキュリー | ||
| 4. | 「マイ・フェアリー・キング」(My Fairy King) | マーキュリー |
| # | タイトル | 作詞・作曲 | リード・ボーカル | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| 5. | 「ライアー」(Liar) | マーキュリー | ||
| 6. | 「ザ・ナイト・カムズ・ダウン」(The Night Comes Down) | メイ | ||
| 7. | 「モダン・タイムス・ロックン・ロール」(Modern Times Rock'n'Roll) | ロジャー・テイラー | テイラー | |
| 8. | 「サン・アンド・ドーター」(Son and Daughter) | メイ | ||
| 9. | 「ジーザス」(Jesus) | マーキュリー | ||
| 10. | 「輝ける7つの海 (インストゥルメンタル)」(Seven Seas of Rhye…) | マーキュリー | ||
合計時間: | ||||
コレクターズ・エディション
パーソネル
※特記なき限り、アルバム記載のクレジットに準拠
クイーン
- フレディ・マーキュリー - ボーカル、ピアノ、ハモンドオルガン(#5)[13]、アートワーク
- ブライアン・メイ - ギター、ピアノ(#2)、アートワーク
- ロジャー・メドウズ・テイラー - ドラムス、パーカッション、ボーカル(#7)
- ディーコン・ジョン - エレクトリックベース
スタッフ
- ジョン・アンソニー - プロデューサー
- ロイ・トーマス・ベイカー - プロデューサー、レコーディング・エンジニア
- マイク・ストーン、テッド・シャープ、デヴィッド・ヘンツェル、ルイス・オースティン - レコーディング・エンジニア
- ジョン・ハリス - 機材監督
- ダグラス・パディフット - 写真、アートワーク