氷XII

From Wikipedia, the free encyclopedia

氷XII(こおりじゅうに、ice XII)は、高圧で生じる氷多形のひとつで、準安定相である。

Lobbanらは、液体の水を0.55 GPaにおいて2.5 K hour-1で 260 Kまで徐冷することにより、氷XIIを選択的に結晶化できることを見出し、中性子回折に基づく構造解析から、空間群 I-42d (a = 8.304 Å, c = 4.024 Å) の正方晶系構造を報告した[1]。0.50 GPa, 260 Kにおける密度は1.4365(1) g cm-1であり、これは氷V (1.4021(1) g cm-1)よりわずかに大きく、氷IV(1.4361(1) g cm-1)とほぼ同一の密度である。

同時期にChouらは、ダイヤモンドアンビルセルをもちいた実験から、高圧下で液体の水を冷却することで、氷IV以外の準安定相が生じることを報告していたが、ラマン分光法による特徴づけにとどまっており、構造が報告されていなかったため、彼らはこの相を氷XIIとは命名しなかった[2]。2002年、オーストリアのグループによるラマンスペクトルの比較により、Chouらの新相は氷XIIと同一であると示唆された[3]

氷XIIは、150 K以下で氷Ihを加圧することによっても生じることが報告されている[4][5]。Kozaら[5]は、氷Ihから高密度アモルファス氷(HDA)もしくは氷XIIが生じるとしたが、Kohlらは、氷IhからXIIが生じる場合においても、まずHDAを経由すると提案した[6]。氷XIIは、HDAの加熱によっても生じることがわかっており、特に0.81 GPaにおいては、加熱速度が速い場合には氷XIIが選択的に生じるが、遅い加熱速度では氷IVが結晶化することがわかっている[7][8][9][10][11]

氷XIV

氷XIVは、HClドープした氷XIIを冷却することで生じる、部分水素秩序相であり、2006年にSalzmannらによって最初に報告された[12]。提案された空間群は P212121である。発見直後から、氷XII-XIV転移は常圧では可逆的ではないことがラマン分光法から示されており[13]、より最近の研究によれば、非常に冷却速度を遅くすることで、常圧でも一定の水素秩序度を達成できることが報告されている[14]。また、高圧下で冷却する場合にも、徐冷するのではなく、94 Kまで急冷したのち、94 Kにおいて長時間アニーリングすることで、より高い水素秩序度を持つ氷XIVが作製できることが示されている[15]

参考文献

Related Articles

Wikiwand AI