琉歌

奄美群島・沖縄諸島・宮古諸島・八重山諸島に伝承される叙情短詩形の歌謡 From Wikipedia, the free encyclopedia

琉歌(りゅうか)は、奄美群島沖縄諸島宮古諸島八重山諸島に伝承される叙情短詩形の歌謡である。

もともと和歌と同様に「ウタ」と総称されていた歌謡が、1609年の薩摩侵入以後、ヤマトの和歌と区別するために「琉歌」と呼ばれるようになったと考えられている。詠むための歌であると同時に謳うための歌でもある。奄美群島においては主に島唄と呼称される。

定義

那覇港埠頭にある琉歌の歌碑。

琉歌は八音を中心に、五音・六音・七音を標準とする定型詩である。基本的には「サンパチロク」といわれ、八・八・八・六を基本形とする。

歴史

成立過程において、琉歌は『おもろさうし』に代表される古代的・叙事詩的な歌謡(おもろ)とは異なる性格を持つようになったとされる。一般には、琉歌は古代的共同体を基盤としたおもろから離れ、個人的抒情を表現する歌として発展したとする見方が定説となっている。ただし、現存する琉歌の多くが読み人しらずであり、共同体的感情を色濃く反映している点から、この区分については再考の余地があるとも指摘されている。

近世琉球において、琉歌は三線音楽と結びつきながら発展し、王府社会から農村社会に至るまで広く歌われてきた。1795年に成立した最初の琉歌集成『琉歌百控乾柔節流』は、歌詞ではなく三線の節(旋律)によって分類されており、琉歌が本来「読む詩」ではなく、「歌う詩」として伝承されてきたことを示している。

また、琉歌は王府時代を通じて古典舞踊とも結びつき、音楽・舞踊・詩が一体となった表現文化の中で継承されてきた。こうした伝統は近代以降も断絶することなく受け継がれ、琉歌は現在に至るまで、沖縄における情感表現の詩形式として生き続けている。

歌体

短歌形式

八八八六の三十音の形式。サンパチロクともいわれる。民間歌謡(古典民謡、現代民謡)、古典音楽(宮廷音楽)の多くがこの形式で歌われる。
(例)
かぎやで風 (かじゃでぃ風)
きゆぬふくらしゃや (今日のほこらしゃや)
なうにぢゃなたてぃる (何にぎやな譬る)
つぃぶでぃうるはなぬ (莟でをる花の)
ちゆちゃたぐとぅ (露行逢たごと)
  • 仲風
七五、八六、又は五五、八六の形式。古典音楽の仲風節が代表的な歌謡である。
(例)
かたりたや         (語りたや)
かたりたや         (語りたや)
つぃちぬやまぬふぁに  (月の山の端に)
かかるまでぃん      (懸かるまでも)

長歌形式

八八八八の連続音で、末句は六音
  • つらね
八八の連続音で、末句は六音。長歌より長いもの。
八八の連続音で、八音の間に囃子が入る。
七五の連続音で、和歌の風潮に似る。中世日本の芸能である「口説き」が伝来し、保存されたものとされている。

琉歌の名人

女流歌人

※島倉竜治、真境名安興「琉歌の名人」『沖縄一千年史』 日本大学 1934年、578頁より。

名歌

  • 恩納岳あがた 里が生まれ島 もりもおしのけて こがたなさな (恩納なべ)
  • 世間とよまれる 瀬長山見れば 花や咲き美しさ 匂しほらしや (平敷屋朝敏)
  • 二見美童や だんじゅ肝清らさ 海山の眺め 他所に勝てヨ (照屋朝敏)
  • なつかしや沖縄 戦場になとい 世間お万人と 涙ながち (読人知らず)
  • 汗水ゆ流ち 働ちゅる人の 心る嬉しさや 他所の知ゆみ (仲本稔)
  • ほまれそしられや 世の中の習ひ 沙汰もないぬ者の 何役立ちゆが (具志頭親方文若)
  • てんしゃごの花や 爪先に染めて 親のよせごとや 肝に染めれ (読人知らず)
  • わが身つで見ちど よその上や知ゆる 無理するな浮世 なさけばかり (尚敬王)
  • 肝のもてなしや 竹のごと直く 義理の節々や 中にこめて (義村王子朝宜)
  • ほめられもすかぬ そしられも好かぬ 浮世なだやすく 渡りぼしやぬ (名護親方寵文)
  • けふのほこらしやや なをにぎやなたてる つぼでをる花の 露きやたごと (読人知らず)
  • 波の声もとまれ 風の声もとまれ 首里天がなし みおんき拝ま (恩納なべ)
  • 御万人のまぎり 拝みすてやへら 玉の産水の ももの御恩 (渡嘉敷唯徳)
  • 恩納松下に 禁止の牌のたちゆす 恋忍ぶまでの 禁止やないさめ (恩納なべ)

歌集

  • 『サンパチロクにわらいあり 琉歌おもしろ読本』、青山洋二編集、郷土出版、1998年。
    • 狂歌、戯れうた、風刺歌のみを取り上げた歌集。182首ある。
    • 歌や三味線(さんしん)に 踊(うど)い 跳にしちょて 清(ちゅ)ら瘡(かさ)ぬ う伽(とじ)遊(あし)ぶうりしや
      • 疱瘡神をほめたたえるために歌や三味線で踊り跳ねして遊ぶのは嬉しい。昔は治療法がなかったので、こういう風習があった。
    • 官話(かんわ)大和口(やまとぐち)沖縄物語(うちなむぬがたい)一人(ちゅい)話し 話し ぴりんぱらん
      • 廃藩置県頃の世相。それぞれが北京官話、日本語、沖縄方言を勝手気ままに喋るので、内容は意味不明でチンプンカンプンだ。

参考

文献

関連項目

外部リンク


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