瓶
ガラスや陶器でできた容器
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概要

液体を入れる標準的な形に、澱をビン内に留める工夫が見られる




「瓶」あるいは「壜」は現代では主にガラス製の液体用容器(ガラス瓶)を指す[1](漢字の意味の変遷については後述)。原料のガラスはソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラスに分けられるが、一般的な瓶にはソーダ石灰ガラスが用いられ、薬びんなどにはホウケイ酸ガラスが用いられている[2]。
形状では頸部が相対的に長く細口の細口瓶と、頸部が短く広口の広口瓶がある[3]。
具体的な種類としてビール瓶、一升瓶、牛乳瓶などがある。瓶の閉栓方法としては、機械栓、コルク栓、内ネジ栓、王冠栓、紙栓などがある[3]。
名称
歴史
古代のガラス容器の製造技法は粘土で芯を作り、この芯を溶融したガラスに浸すか、柔らかくなったガラスを巻き付け、表面を再加熱してから固化させて芯を取り出す方法であった(コアガラス技法)[7]。紀元前1世紀頃には細長い中空の金属棒の先端に高温のガラスを付け、鋳型の中で吹いて成型する型吹きガラスびんの製造が行われるようになった[7]。
ワイン用
古代からワインは大きな樽あるいは陶器の甕(かめ)、皮袋に貯蔵して、必要な分を直接杯や水差し容器に汲んで飲まれており、16世紀頃には陶器や金属、木材、皮などの飲料容器が用いられた[7]。1500年頃のイギリスの文献に容器の栓の材料としてコルクの記述があり、その頃にガラス製造技術の進展によってワイン用ボトルが作られるようになった[7]。
ビール瓶
ビールも樽から直接杯に注ぐか、陶器または皮製の容器で保管されていたが、17世紀頃には自家製ビール(ホップの入らないエール)がガラス製のボトルで貯蔵されるようになった[7]。
1892年にアメリカのウィリアム・ペインターが王冠栓を発明し、安価で簡単な構造ながらビールなど内圧がかかる飲料の密封ができるため広く普及した[7]。
清涼飲料用
ヨーロッパでは17世紀後半には鉱泉を飲む風習があり、陶器などの容器で販売された[7]。18世紀後半には人工的に炭酸ガスを含ませたソーダ水が陶器ボトルで販売されるようになったが、すぐにガラス瓶が用いられるようになった[7]。
1849年にはイギリスのハイラム・コッドが炭酸飲料用の「コッド・ボトル」と呼ばれるガラス玉を内蔵した瓶(いわゆるラムネ瓶)を発明した[7]。
1900年頃には炭酸飲料の瓶にも王冠が使用されるようになった[7]。
牛乳瓶
19世紀末にガラス瓶の製造が盛んになると、欧米では瓶入り牛乳が発売されるようになった[7]。1889年には今日用いられているような牛乳瓶が開発された[7]。
食品用容器
ガラス容器は古代ローマから食品用容器に使用されたが長期保存用ではなかった[7]。1804年になりニコラ・アペールがコルクで密封した瓶詰を発明した[7]。1858年にはアメリカのメーソンがメーソン式広口びん(メイソンジャー)を特許登録した[7]。
瓶容器の分類
瓶容器の特性
- 化学的に安定した物質(不活性)で内容物を汚染することもなく耐熱性がある[9][10]。
- ガスバリアー性が高く気体あるいは水蒸気の透過性が全く無いため味の変質を抑制できる[9][10]。
- 透明で内容物がよく見え、また、表面には光沢があり質感も良い[9][10]。ただし、光線の影響を受けやすい[9]。
- リサイクルが可能である[9]。
- 世界的に見て原料となる珪砂、ソーダ灰、石灰は豊富であり資源的に安定している[9]。
- 紙容器などに比べて重たい[9]。
- 衝撃や急激な温度変化に弱く割れやすい[9][10]。
- 密封・殺菌が容易でない[9]。ただし、缶詰は一度開けると容器としては元に戻らなくなるが、ねじ蓋のガラス瓶は閉め直すことができ容器を反復して利用することができるという利点がある。
その他の瓶
瓶はガラスや陶器、あるいはプラスチックなど加工時には可塑性を持ち加工後は硬質化する、安定した物性を持つ素材で作られるのが常である。ただし映画の撮影やコントなどでは、ガラス瓶の「強い衝撃を与えると割れ砕ける」という性質を安全に再現するために飴ガラスと呼ばれる、特別製の瓶が利用される。これは既存のビール瓶などに似せて作られるが、弱い力で割れ、また破片で怪我をし難い。この他ロジン(樹脂の一種)などでも同様の物品が作られる。ただしこれらは容器としての役には立たず、瓶の形をした壊れ易い物品に過ぎない。
プラスチックをはじめとした棄物が環境に与える影響を踏まえて、紙製ボトルの製作も試みられている。2019年には、ビール会社のカールスバーグが木質繊維のボトルにPET樹脂をコーティングしたビール容器の試作品を公表している[11]。
