瀧泉寺
東京都目黒区の仏教寺院
From Wikipedia, the free encyclopedia
歴史
寺伝では、大同3年(808年)、15歳の円仁が下野国から比叡山の最澄の元に赴く際この地で霊夢を見た。青黒い顔をし、右手に降魔の剣を提げ、左手に縛の縄を持つ恐ろしい形相の神人が枕上に現れて『我この地に迹を垂れ魔を伏し国を鎮めんと思ふなり。来つて我を渇仰せん者には諸々の願ひを成就させん。』と告げられたという。夢から覚めた円仁がその姿を彫刻したのが、本尊の目黒不動明王になる。 堂宇建立を決意した円仁が法具の獨鈷を投じたところ、そこに泉が湧出した。その泉は「獨鈷の瀧」と名付けられ、この泉に因んで「瀧泉寺」とした。
東国には円仁開基の伝承をもつ寺院が多く、当寺の草創縁起もどこまで史実を伝えるものか不明である。その後貞観2年(860年)、清和天皇より「泰叡」の勅額を下賜され、山号を「泰叡山」とした[3]。
元和元年(1615年)、本堂が火災で焼失した[3]。寛永7年(1630年)、天海の令旨で瀧泉寺は東叡山寛永寺の末寺となり、寛永寺の子院・護国院との「両寺一主」[4]とされ、天海の弟子・生順が兼務するようになった[3]。この時、徳川家光の庇護を受けて、寛永11年(1634年)、53棟におよぶ伽藍が復興し、「目黒御殿(めぐろ ごてん)」と称されるほど華麗を極めた。
徳川家光がなぜ瀧泉寺を篤く庇護したか、その原因となる話が伝わっている。家光が目黒で鷹狩りをした際、愛鷹が行方不明になってしまった。そのとき、目黒不動尊御宝前に祈願したところ、忽ち鷹が本堂前の「鷹居の松」に飛び帰ってきたという。この霊験を目の当りにした家光は、瀧泉寺を篤く尊信したという。
文化9年(1812年)、「江戸の三富」と呼ばれた「富くじ」が行われた(他は、湯島天満宮と谷中感応寺。)[3]。富くじ興行は天保13年(1842年)天保の改革により中止となった。寺名の由来となった、境内の独鈷の滝(とっこのたき)を浴びると病気が治癒するとの信仰があった。江戸時代には一般庶民の行楽地として親しまれ、『江戸名所図会』にも描かれている[5]。周辺一帯は景色を眺めながら諸寺に参詣できる一大観光地であったこともあり、当寺の門前はいくつもの店で賑わった[2]。現在の下目黒と上大崎にまたがる行人坂から当寺の門前までは、料理屋や土産物屋がぎっしりと並んでいた[2]。落語の目黒のさんまは、この近辺にあった参詣者の休息のための茶屋(爺が茶屋)が舞台とされる。江戸時代には大いに栄え、門前町が発達した。門前町の名物として、当時目黒の名産品であった筍(江戸時代後期に薩摩藩より移植したものが商品作物として普及した)を使った筍飯/たけのこ飯(たけのこめし)と棒状に伸ばした白玉飴(練飴の一種)を包丁でトントン切っていく「目黒飴」が人気であった。また、細い竹にしんこ餅を付けた「餅花(もちばな)」というものや、粟餅などもあったという。『江戸名所図会』にはこの目黒飴屋の風景が載っていて、図会に載っている絵では従業員が10人近くみられる大店であったことがうかがえる[6][7]。
年表
境内

境内は台地と平地の境目に位置し、仁王門などの建つ平地と、大本堂の建つ高台の2段に造成されている。仁王門をくぐると正面に大本堂へ至る急な石段がある。石段下の左方には独鈷の滝(とっこのたき)、前不動堂、勢至堂などがあり、右方には書院、地蔵堂、観音堂、阿弥陀堂などがある。
- 野村宗十郎銅像
- 仁王門を入って左手にある。野村宗十郎(1857-1925) は、築地活版製造所の社長で、日本に明朝体活字を普及させた人物である。
- 独鈷の滝
- 本堂へと登る石段下の左手に池があり、2体の龍の口から水が吐き出されている。伝承では、円仁が寺地を定めようとして独鈷(とっこ、古代インドの武器に由来する仏具の一種)を投げたところ、その落下した地から霊泉が涌き出し、今日まで枯れることはないという(ただし、天保年間の時点で、1年ほど枯れたことがあったという。)[9]。
- 前不動堂
- 独鈷の滝の左方にある宝形造朱塗りの小堂。江戸時代中期の建築で、東京都の有形文化財に指定されている。
- 大本堂
- 急な石段を登った先の一段高い土地に建つ。■右列に画像あり(テンプレート画像)。入母屋造に千鳥破風をもつ大規模な仏堂で、昭和56年(1981年)再建の鉄筋コンクリート造建築。傾斜地に建っており、室生寺金堂や石山寺本堂のような懸造(かけづくり)風のつくりになっている。天井には日本画家、川端龍子の「波涛龍図」が描かれている。
- 大日如来像
- 大本堂の背後にある露座の銅製仏像。膝前で印を結ぶ胎蔵界大日如来像で、天和3年(1683年)の作。
- 青木昆陽墓
寺宝
- 不動明王像 - 本尊。
- 天国宝剣(あまくにのほうけん) - 本尊である不動明王像が所持する降魔の剣。
- その他は、文化財と重複する。
