トン数
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概要
1854年のイギリス商船法において総トン数と純トン数の測度方法が定められた[3]。総トン数は船舶の安全衛生に必要とされる場所(上甲板上の機関室、操舵室、便所、賄室、出入口室など)を除く船内の総内容積で、船の大きさを示す指標である[3]。これに対して純トン数は総トン数の容積から船舶の航行に必要な場所(船員室、荷足水艙、水夫長倉庫、上甲板下の機関室など)を除いた容積で、船の稼働容積を示す指標である[3]。
1873年、コンスタンティノープルの国際トン数委員会で各国がイギリスの測度方式を例に導入したことから、総トン数と純トン数は国際的な概念となった[3]。ただ基本的な性格は同一であるものの、総トン数関係では測度甲板上の測度、荷足水倉、客室、甲板旅客用の場所の容積の算入について、純トン数関係では荷足水倉、ビルジ排出のできる貨物油ポンプ、水夫長倉庫、飲食料倉庫の容積の控除について違いを生じ、同一船舶でありながら国籍によってトン数に違いを生じていた[3]。
船舶のトン数の測度基準を統一するため政府間海事協議機関(IMCO)において「1969年のトン数測度に関する国際条約」(昭和55年条約第30号)が採択された[4]。同条約に基づいて日本で制定された法律が「船舶のトン数の測度に関する法律」(昭和55年法律第40号、以下「トン数法」)である。
計量法で定めるトン数の単位
総トン数
総トン数は船舶の大きさを示すのに用いる指標である[3]。別名としてグロストン (gross tonnage、略称として G.T., G/T, GT)があり、過去には総登録トン数(gross register tonnage、略称として GRT)と表記されることがあった。単に「総トン数」と表記された場合には「国際総トン数」を表すのか「国内総トン数」を表すのか注意を要する。
- 国際総トン数
- トン数法第4条にて規定。政府間海事協議機構(現・国際海事機関)において制定された「1969年の船舶のトン数の測度に関する国際条約」に基づいて、国際的に統一された計測方法により算出される船舶の大きさを表す数値で船内の総容積に条約で定められた係数を掛けて算定する。一般的に商船の大きさを表すのに用いられ、各国保有船腹統計のほか、入渠料、検査手数料、航海補助金、造船奨励金、船舶登録税、船舶輸入関税等の基準となる[1]。
- その算定方法は国際総トン数をt、係数をk、船内総容積をV(立方メートル)とすると
- として計算する。
- かつてイギリスにおいてムアサム・システムによるトン数算出方法が導入される際に、イギリス籍船の全船舶のトン数を総合計した数値と、ムアサム・システムによって算出した全船舶の容積の総合計した数値の比が1トンあたりおよそ100立方フィートとなったため、1登録トン=船舶の密閉空間100立方フィートと定め、その総和を総登録トン数 (gross register tonnage; GRT) とした。また日本でムアサム・システムを導入した船舶積量測度法が作られたが、日本ではメートル法が採用されたため、立方フィートを立方メートルに換算し、1000/353立方メートルが1トン(ton)とされた。すなわち1トン = 約2.832 861立方メートルである。
- ムアサム・システムは船舶内の部屋の使用目的に応じて、その特定部分の容積のみをトン数算出のために使用するものであった。しかし「1969年の船舶のトン数の測度に関する国際条約」では船舶内の全容積をトン数算出のために使用することとなった。そのためトン数算出のために使用される容積は旧来のムアサム・システムより増加することとなったが、トン数を基準に法律などが整備されている海事業界の混乱を防ぐため、条約方式で算出された容積に係数[7]を掛けて、旧来のムアサム・システムで算出した際のトン数と条約方式で算出した際のトン数の差が大きくならないよう対応された。
- このため現在の国際総トン数は1トン=100立方フィートではない。
- 総トン数
- トン数法第5条にて規定。日本国内で適用される総トン数。「国内総トン数」「登録総トン数」と表記されることがある。国際総トン数にさらに係数[8]を乗じて得たトン数であり、この数値に「トン」を付して表す。国際総トン数より小さな値になる。日本国籍を持つ船舶(小型船舶や漁船なども含む)で用いられるトン数である。
重量トン数
- 載貨重量トン数(dead weight tonnage)
- トン数法第7条。貨物(船舶に搭載する燃料等も含む)の最大積載量の重量。重量載貨トン数[1]、積載重量トン、「D.W.T.」「DWT」と表記されることもある。計画満載喫水線に至るまで貨物を満載した時の満載排水量から、 貨物・旅客の他、燃料・潤滑油・バラスト水・タンク内の清水及びボイラ水・消耗貯蔵品・旅客及び乗組員の手回品[注釈 1]を除いた軽荷排水量を引いて求める。
その他のトン数
- 純トン数(ネットトン)(Net tonnage) - トン数法第6条。総トン数から航行に必要な部分の容積を除いたもの。すなわち営業上において専ら貨客運送に供しうる部分の容積をいう[1]。「NT」「N/T」「N.T.」と表記されることがある。主として課税目的で用いられ、トン税(とん税、特別とん税)、入港税、灯台税、桟橋料、水先料等の標準となる[1]。
- 責任トン数 - 「船舶油濁等損害賠償保障法」及び「船舶の所有者等の責任の制限に関する法律」に基づき定められるトン数。
- パナマ運河トン数(Panama Canal Net Tonnage、PCNT[9]) - パナマ運河の通航料計算のために用いられる。1969年のトン数条約による国際総トン数の算出に用いた船舶の総容積に、パナマ運河当局が定める係数をかけて算出するトン数[9]。パナマ運河の通航料は現在は「TEU」(Twenty Foot Equivalent Unit)を用いて計算されている。
- スエズ運河トン数(Suez Canal Net Tonnage、SCNT[9]) - スエズ運河の通航料計算のために用いられる。1873年の万国トン数会議で定められた純トン数規則の純トン数をもとに、スエズ運河庁が定める控除基準を用いて算出するトン数[9]。
- 載貨容積トン数(Capacity) - 船舶で貨物を積載できる場所の全容積(容積載貨能力)を40立方フィートを1トンとして表示したもの[1]。容積載貨トン数と呼ぶこともある[1]。ばら物貨物(石炭など)と比較すると包装貨物を積む場合は船舶の艙内のビームや肋骨などの突起物の影響を受ける[1]。そのため穀物等の粒体・粉体物を積載する場合の「ばら荷容積トン数」(Grain capacity)と、包装・袋詰めをされた貨物を積載する場合の「包装容積トン数」(Bale capacity)がある。
- 標準貨物船換算トン数(Compensated gross tonnage、CGT) - 船舶の建造工事量を表す指標である。船種が異なれば、設計条件や内部構造も異なり、要求される技術のレベルも異なる。タンカーやばら積み船と比べ、客船は手間や資材も多く掛る。造船会社間の工事量を比較するにも、国別の工事量を比較するにも、総トン数や載貨重量トン数ベースの比較は合理的ではないので、船種によって予め決められた二つの係数と総トン数を使って、国際的に決められた計算式に基づいて算出される値(これを標準貨物船換算トン数という)を使うことにより、より正確な工事量の比較をすることができる。
備考
- 潜水船のトン数については、船舶のトン数の測度に関する法律施行規則(昭和56年運輸省令第47号)第8条(特殊な構造を有する船舶のトン数の算定方法)に基づき、「潜水船のトン数の算定方法を定める告示」(平成元年運輸省告示第260号)で算定される[10]。