前方舌根性
From Wikipedia, the free encyclopedia
特徴
言語例
前方舌根性でよく知られるのは西アフリカのアカン語やイボ語などの母音である。また、これらの言語には母音調和があり、母音が前方舌根かどうかで2つのグループに分かれ、ひとつの語には原則として片方のグループの母音しか出現しない[5]。イボ語には8つの母音があり、以下のように分かれる。
| 前方舌根(+ATR) | i̘ | e | u̘ | o̘ |
|---|---|---|---|---|
| 後方舌根(-ATR) | i̙ | a | u̙ | o̙ |
表記上の習慣として、前方舌根性の記号のかわりに伝統的な母音記号を使って、-ATR の[i̙ u̙ o̙]を[ɪ ʊ ɔ]のように表すこともある[5]。
アカン語では狭母音と中央母音が2つのグループに分かれる[6]。
| 前方舌根(+ATR) | i̘ | e̘ | u̘ | o̘ |
|---|---|---|---|---|
| 後方舌根(-ATR) | i | e | u | o |
ただし、ピーター・ラディフォギッドによると、区別はかならずしも前方舌根性によって行われるのではなく、喉頭の高さによって咽頭の容量を変えることもあるという[3]。このため「前方舌根性」という用語はやや不適当であり、咽頭の拡張 (Expanded) のような用語に変えた方がいいともいう[7]。
東アフリカのナイル諸語であるナンディ語(Nandi; ケニアで話されるカレンジン語の一つ)では5種類の母音(/i/, /e/, /a/, /o/, /u/)に前方舌根性の有無の区別があり[8]、マサイ語(ケニアおよびタンザニア)でも4種類の母音(/i/, /e/, /o/, /u/)に前方舌根性の有無の区別と母音調和が見られる[9]。