行空間
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定義
K をスカラーの体とする。A を、行ベクトル r1, r2, ... , rm を伴う m × n 行列とする。それらの行ベクトルの線型結合は、次の形式で記述される任意のベクトルで与えられる:
ここで c1, c2, ... , cm はスカラーである。ベクトル r1, ... , rm の線型結合として起こり得る全てのものからなる集合のことを、A の行空間と呼ぶ。すなわち、A の行空間は、ベクトル r1, ... , rm の張る部分空間である。
例えば、行列
に対し、その行ベクトルは r1 = (1, 0, 2) および r2 = (0, 1, 0) で与えられる。この r1 と r2 の線型結合は、
の形式で記述される任意のベクトルである。そのようなベクトルすべてからなる集合が、行列 A の行空間である。この場合の行空間は、方程式 z = 2x を満たすようなベクトル (x, y, z) ∈ K3 の集合で与えられる(デカルト座標を用いることで、この集合は3次元空間において原点を通る平面となる)。
同次線型方程式系を表す行列に対し、行空間はその系におけるすべての線型方程式によって構成される。
A の列空間は、AT の行空間と等しい。
基底
行空間は、行に関する基本変形には影響されない。このことから、行空間の基底を見つけるためにガウスの消去法を使用することが可能となる。
例えば、行列
を考える。この行列の行は、行空間を張るが、それらは線型独立でないこともあり得る。そのような場合、それらは基底にはならない。ここでは行列 A の基底を見つけるために、行階段形へと A を書き下す:
r1、r2、r3 は行列 A の各行を表す。
行列が階段形になれば、そのときの非ゼロの行が行空間の基底となる。今回の場合、基底は { (1, 3, 2), (0, 1, 0) } となる。他にあり得る基底として、さらなる書き下しの結果、{ (1, 0, 2), (0, 1, 0) } を得ることが出来る[注 3]。
この計算方法は、ベクトルの集合の張る部分空間の基底を見つけるために、一般的に用いられる。行列がさらに行既約階段形へと簡略化されるなら、その結果として得られる基底は行空間により一意的に定められる。
次元
零空間との関係
余像との関係
脚注
注釈
- この記事でも述べられているように、線型代数学は非常によく発達した数学の学問分野であり、多くの関連文献が存在する。この記事で述べられているほとんど全ての内容は、Lay 2005、Meyer 2001 および Strang 2005 に見られる。
参考文献
- Axler, Sheldon Jay (1997), Linear Algebra Done Right (2nd ed.), Springer-Verlag, ISBN 0-387-98259-0
- Lay, David C. (August 22, 2005), Linear Algebra and Its Applications (3rd ed.), Addison Wesley, ISBN 978-0-321-28713-7
- Meyer, Carl D. (February 15, 2001), Matrix Analysis and Applied Linear Algebra, Society for Industrial and Applied Mathematics (SIAM), ISBN 978-0-89871-454-8
- Poole, David (2006), Linear Algebra: A Modern Introduction (2nd ed.), Brooks/Cole, ISBN 0-534-99845-3
- Anton, Howard (2005), Elementary Linear Algebra (Applications Version) (9th ed.), Wiley International
- Leon, Steven J. (2006), Linear Algebra With Applications (7th ed.), Pearson Prentice Hall
外部リンク
- Weisstein, Eric W. “Row Space”. mathworld.wolfram.com (英語).
- Gilbert Strang, MIT Linear Algebra Lecture on the Four Fundamental Subspaces at Google Video, from MIT OpenCourseWare
