軍船表
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軍船表[1][2](ぐんせんひょう、古希: νεῶν κατάλογος、英: Catalogue of Ships)は、古代ギリシアの叙事詩『イーリアス』の序盤、第2歌494行から759行の呼称。トロイア戦争にギリシア方(アカイア方)で参戦した都市や武将を列挙する箇所。軍船の表[3]、軍船のカタログ[4]などともいう。
ボイオーティア人の大将はペーネレオースにレーイトスにアルケシラーオスにプロトエーノールにクロニオス、ヒュリエーと岩がちなアウリスとスコイノスとスコーロスと山襞多いエテオーノス、テスペイア、グライアと広いミュカレーソスの住人、ハルマとエイレシオンとエリュトライのまわりに住む人々、エレオーンとヒューレーとペテオーンと/オーカレエー、堅固なメデオーンの城、コーパイとエウトレーシスと鳩の群がるティスべーを領する人々、コローネイアと草深いハリアルトスを、プラタイアーを領する人々、グリーサースの住民、堅固なヒュポテーバイとポセイドーンの輝く杜なるよきオンケーストスを領する人々、葡萄に富むアルネーとミデイアといとも聖なるニーサと国の端なるアンテードーンを領する人々。彼らの乗ってきた船は五十艘、一つ一つの船には百と二十のボイオーティアの若者が乗り組んでいた。…… — 高津春繁訳『イーリアス』494-510行[5]
詩人はムーサに祈りを捧げた後、ボイオーティア、オルコメノス、ポーキスなど地方ごと、あるいはオデュッセウスやアガメムノーンなど武将の領地ごとに、部隊を列挙する[1]。総数は29部隊、46武将、163都市、1196艘[3]または1186艘となる[6]。『イーリアス』第2歌816-877行では、トロイア方の軍勢も列挙する。伝アポロドーロス『ビブリオテーケー』にも似た文章がある[7]。
現代の一般読者にとっては退屈な箇所だが[2]、詩人が朗唱するのを聞いた古代ギリシア人にとっては、量的・音響的・親近感的に、魅力的な箇所だったと考えられる[1]。競技にたとえるなら試合前の陣容表と言える[3]。
ホメーロス研究においては「なぜボイオーティアが最初なのか」「軍船表は後世挿入されたものか否か」などをめぐって諸説ある[3]。