逆刺
釣り針や銛、槍、鏃に付く棘状の突起。
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逆刺(かえし)または逆棘は、釣り針や銛(もり)・簎(やす、矠)などの漁具や、槍(やり)や鏃(やじり)などの武器に付けられた、本体の刃先とは逆方向に突出した棘状の刃部。狩りの獲物や戦闘における攻撃対象の身体に刺さった際に体内に食い込んで抜けにくくし、獲物を逃さない、あるいは殺傷力を増すという機能がある[2]。名称は「逆刺」以外にも「鐖(あぐ/あげ/あご/あぎ/あら)」や「戻り(もどり)」などがあり[3]、鏃の場合「腸抉(わたくり)」とも呼ばれる[4]。また「逆刺」の読み方にも複数の読み方がある。

- 鉤元(チモト)
- 軸
- ベンド
- 逆刺、または鐖(あご)
- イケ先(針先から逆刺の針先まで)
- 懐(ふところ)幅
- 懐
概要

釣り針や銛(または簎)、槍・鏃などの刃部の両側または片側に、刃の向きとは逆方向に突出する。獲物の動物などの肉体に刺さると逆刺が支障となって容易に抜くことが出来なくなる[2]。
釣り針の場合、針に食いついた魚の口から外れず、銛(または簎)であれば大型魚類の身体に突き刺した際に逃がしにくくなる[3]。また槍や弓矢の鏃の場合、戦闘や狩猟の際に、攻撃対象に突き刺さると容易に抜けないだけでなく、無理に引き抜こうとすれば内臓や筋肉を損傷して傷口を広げ、攻撃力・殺傷力を増す効果がある[4]。
歴史上、逆刺を持つ利器の出現は古代に遡る。日本列島の考古資料の場合、縄文時代草創期に出現した槍の1種である有舌尖頭器に逆刺状の突出が見られる[5]。
釣り針では、世界最古級の釣り針と見られる沖縄県南城市サキタリ洞遺跡から出土した旧石器時代の釣り針形貝製品には逆刺は見られないが[6]、縄文時代の骨製・角製の釣り針には逆刺が存在する。なお、現代の釣り針は、針の湾曲の内側に逆刺が付くものが多いが、縄文時代のものは湾曲の外側に付くものがある[7]。
呼び方・読み方
逆刺には、様々な呼称や、漢字の読み方が存在する。「逆刺」または「逆棘」と書いた場合、「かえし」のほか「かえり」と読む場合がある[8]。また、正倉院の宝物の1つである密教[法具]]としての銛(鉄三鈷)の場合は「さかし」と読まれている[9]。
漁具の場合に「鐖」の字を用いて「あぐ」「あげ」「あご」「あぎ」「あら」などと呼ぶほか、「戻し(もどし)」と言う呼び方がある[3]。
鏃の場合「腸抉(わたくり)」と呼ばれる。これは先述のように「ワタ(臓物)を抉る」の意味と解されている[4]。日本列島の古墳時代中期(5世紀)の鉄鏃には、逆刺(腸抉)を2段持つものがあり、「2段逆刺(あるいは腸抉)鉄鏃」などと呼ばれる[10]。