四酸化三鉄
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四酸化三鉄(しさんかさんてつ、英: triiron tetraoxide)は組成式 Fe3O4 をもつ酸化鉄である。
| 物質名 | |
|---|---|
別名 ferrous ferric oxide, ferrosoferric oxide, iron(II,III) oxide, magnetite, black iron oxide, lodestone, rust, Mars black, Pigment Black 11 | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
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| ChEBI | |
| ChEMBL | |
| ChemSpider | |
| ECHA InfoCard | 100.013.889 |
PubChem CID |
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| UNII | |
CompTox Dashboard (EPA) |
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| 性質 | |
| Fe3O4 FeO.Fe2O3 | |
| モル質量 | 231.533 g/mol |
| 外観 | 黒色の粉末 |
| 密度 | 5 g/cm3 |
| 融点 | 1597 °C |
| 沸点 | 2623 °C [2] |
| 屈折率 (nD) | 2.42[3] |
| 危険性 | |
| NFPA 704(ファイア・ダイアモンド) | |
| 熱化学 | |
標準生成熱 (ΔfH⦵298) |
−1120.89 kJ·mol−1[4] |
四三酸化鉄(しさんさんかてつ)、酸化鉄(II,III)(さんかてつ に さん、英: iron(II,III) oxide)とも呼ばれる。Fe2+ イオンと Fe3+ イオンを含む為、時として FeO.Fe2O3 と表される。錯体や混合物ではなく、一定の結晶構造を持つ純物質(混合原子価化合物)である。
自然界では鉱物の磁鉄鉱(マグネタイト)として見出される。鉄材の酸化で表面に形成された四酸化三鉄は黒錆と呼ばれ、この層・被膜は黒皮とも呼ばれる。実験室では黒色粉末の形状で提供されている。
四酸化三鉄は常磁性やフェリ磁性を示す[5]。時として誤ってフェロ磁性と表される場合がある。また、製法により粒子のサイズや形状が異なるため、鉱石由来より合成によって製造された黒色顔料が非常に広く利用される[6]。
製法
反応
構造
Fe3O4 は逆スピネル型構造の立方晶系で、立方格子の頂点に酸素が配置し、酸素を中心とする八面体頂点の半分に Fe2+ イオンが、残りの八面体頂点の半分と四面体頂点に Fe3+ イオンが配置している。
FeO も γ-Fe2O3 も酸素の配置は同じく立方格子をとる。酸化反応あるいは還元反応により容易にこれらの3種の化合物は相互に変化するが、その際の最終的な構造の違いは小さい[5]。
試料によっては Fe3O4 は不定比化合物の場合もある[5]。
Fe3O4 のフェリ磁性は八面体中心にある Fe2+ イオンと Fe3+ イオンの電子スピンが強磁性的に結合すると共に、四面体中心の Fe3+ イオンのスピンがそれらに対して反強磁性的に結合していることに起因している。この両者の磁気的な寄与がつりあっていないことから永久磁石の性質を示す[5]。
特性
黒錆
用途
- ダッチオーブンや中華鍋などでは意図的に空焚きして鍋の表面に黒錆を発生させ、内部の腐食を防いでいる。
- C.I pigment black 11 (C.I. No.77499) という名称で知られる黒色色素に利用される[13]。
- ハーバー・ボッシュ法のアンモニア製造の触媒や水性ガスシフト反応[18]の触媒としても利用される。特に後者は、酸化クロム(III)によって安定化された HTS (high temperature shift catalyst) の酸化鉄触媒が広く利用され[18] 、そのフェリクロム触媒はプロセス起動時に α-Fe2O3 から Fe3O4、Cr2O3 から CrO3 を生成させる[18]。
- Fe3O4 のナノ粒子は核磁気共鳴画像法のコントラスト造影剤としても利用される[19]。
