最高財務責任者

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最高財務責任者(さいこうざいむせきにんしゃ、chief financial officer、略語: CFO)とは、企業または組織の役員であり、プロジェクトや財務(財務計画、財務リスク管理、記録管理、財務報告、および近年ではデータ分析など)に関する意思決定の主要な責任を担う。CFOは財務部門に対して最終的な権限を持ち、組織の財務に関する主要な代弁者である。

CFOは通常、最高経営責任者(CEO)および取締役会に対して報告を行い、取締役会の議席を持つこともある。CFOは、予算管理、費用便益分析、予測ニーズ、および新しい資金調達の確保に関するあらゆるビジネス事項において、最高執行責任者(COO)を直接支援する。一部のCFOは、最高財務・執行責任者CFOO)の肩書きを持つこともある[1]。ほとんどの国では、財務部長(FD)は通常CFOの下位に位置し、CFOに昇進する前の役職とされる。

CFOの代わりに会計役[注釈 1]または財務担当副理事長又は副社長[注釈 2]を置く法人もある。英国においては財務担当役員[注釈 3]が同様の職務を行う。また、最高財務責任者は企業に限らず、フロリダ州政府の州財務官[注釈 4]の名称としても使われる。

概要

最高財務責任者(CFO)は、最高経営責任者(CEO)最高執行責任者(COO)と同様に、アメリカ合衆国内における法人の役員で、一般に理事会(法人が会社の場合は取締役会)によって選任されるが、定款の定めにより、社員総会(法人が株式会社の場合は株主総会)で選任する場合もある。理事会または取締役会はいつでもCFOを解任することができるとされる。

CFOの職務は理事会または取締役会による指揮およびCEOによる統括の下で、法人[注釈 5] の財務に関する業務執行を統括し、会計予算信用取引保険、及び資金を含むすべての財務に関する職務に責任を負うとされる。

米国法律協会[注釈 6] による「企業統治の原則:分析と勧告」[注釈 7] において、法人の最高財務責任者[注釈 8]主要上級執行役員[注釈 9] に分類されている。

米国法に置ける最高財務責任者という役職は、日本の会社では、財務部長・財務本部長とほぼ同じ意味である。キャッシュ・フロー投資の管理、経営計画策定における数値的裏付けの作成と管理など、業務範囲は多岐にわたり、CEO・COOの「片腕」ともいうべき存在である。また、理事会又は取締役会の構成員である場合が多い。

法人と第三者との資金の授受に関する責任の所在を明確にするため、カリフォルニア州のように最高財務責任者(非営利法人などでは、会計役もしくは最高財務責任者またはその両方)を置かなければならないと法人法典[注釈 10]会社法を包含する)で定めているもある。米国で伝統的に法人の役員[注釈 11] とされる会計役が兼任することが多く、カリフォルニア州のように、基本定款[注釈 12] または付属定款[注釈 13] に別段の定めがない限り、最高財務責任者を置かない場合は、会計役が最高財務責任者となると定める州もある。一方、法人を設立した国や州によっては役員の名称に規定がないため会計役を置かないでCFOを置く場合がある。また、法人によってはCFOの統括の下に会計役と経理部長[注釈 14] を置く場合もある。なお、現在の日本では法的にCFOを定義する法律は存在せず、CEO等と同様に会社の内部的職制の名称でしかない。

役割

CFOは組織における財務の権威として機能する[2]。重要な点として、CFOは財務管理の日常的な側面に最終的な責任を負い、キャッシュ・フロー、利益率、リスク軽減を重視する運営環境を確保する。また、税務管理(および最適化)も並行して焦点となる。

このように、CFOはリスク管理、投資管理、および財務(トレジャリー)管理を監督する。最高リスク管理責任者(CRO)、最高投資責任者(CIO)、および財務部長(トレジャラー)はCFOに報告を行う(小規模な企業では、CFOがこれらの役割を兼務する)。組織によっては、CFOが最高調達責任者(CPO)を任命することもある[3][4][5]

また、CFOは企業の長期的な財務戦略を推進する。ここでは、主要な資本投資の実行可能性と方向性の決定に深く関与する。これは、必要に応じて合併・買収(M&A)や、より一般的なコーポレート・アクションにも及ぶ。これらに対応して、CFOは企業の資本構成の管理に責任を持つ。これには、自己資本と負債による資金調達の適切な組み合わせを特定・維持することが含まれ、必要に応じて株式発行や債券発行による増資を行う。後者には、投資家、銀行、その他の金融機関との交渉も含まれる。

主要な責任の一つは財務報告および関連するコンプライアンスである(ただし、多くのCFOは依然として取引報告などの伝統的な会計業務に多くの時間を費やしている)[6]。上場企業の場合、これには各種の義務付けられた証券報告書や株主報告書が含まれる。通常、CFOは株主教育およびコミュニケーションにおける中心人物となることが期待される[7]。コントローラー、会社秘書役、および投資家広報(IR)担当者もCFOに報告を行う。

CFOは組織内の財務データの所有者として信頼されており、近年ではビジネスデータ全般にその範囲が広がっている。この役割において、CFOの責任は意思決定支援にまで及び、企業がより効果的かつ効率的に運営できるようにし、関連してデータの整合性、モデルの透明性、および説明責任を確保する。そのため、CFOと最高情報責任者(CIO)は協力し、時には重要業績評価指標(KPI)を共有する必要がある[8]

意思決定支援のためのデータ分析への注力は、デジタル技術の台頭とともに、CFOが他の経営幹部(C-Suite)の期待に応えるための圧力となっている[9]。多くの組織では、以下の4つの柱に基づいた財務機能を構築している。

  1. シェアードサービスとしての会計組織
  2. 財務計画プロセスを推進し、ビジネスパフォーマンス向上のための財務・非財務KPIへの洞察を提供するFP&A(財務計画・分析)組織
  3. 部門、地域、およびパフォーマンス改善のリーダーシップに基づく財務ビジネスパートナー組織
  4. 税務、財務(トレジャリー)、内部監査、投資家広報などに特化した専門センター

伝統的に、CFOは財務の「ゲートキーパー」と見なされていた。しかし時が経つにつれ、その立場はCEOに対する顧問および戦略的パートナーへと変化した[10][11]。ある情報源によれば、「明日のCFOは、詳細志向よりも大局的な思考を持ち、控えめであるよりも率直であり、自ら手を下すよりも委任することを好み、物事のやり方よりも達成された成果を重視し、独断よりも協力的な意思決定を行うべきである」とされる[12]。現代のCFOの職務は、伝統的な財務管理の領域と、戦略的・ビジネス的リーダーシップという進歩的な領域の両方にまたがっており、運営に対する直接的な責任と監督も増えている[13]

この大きな役割の変化は、多くのCFOが現在「次期CEO候補(CEO-in-Waiting)」という地位にあることによく表れている。CEOは、CFOが現行の戦略に異議を唱えることを含め、組織の戦略形成に積極的に参加することをますます期待している[14]。CFOはリーダーおよびチームビルダーとして機能し、組織の財務課題を設定し、CEOを直接支援し、取締役会にタイムリーな助言を提供することで、企業の戦略形成において重要な役割を果たしている。これは、財務の変動性の管理が戦略の中心となる不確実なマクロ経済環境において特に顕著である[15][16]。実際に、1990年代には戦略的CFOが台頭し、多くの企業が最高戦略責任者(CSO)の役職を新設した[17]

CFOはCEOと同様にコーポレート・ガバナンスと監督の一翼を担い、戦略的選択の策定と批判において根本的な役割を果たす。その重要性から、退職、解雇、または新たな機会によるCFOの交代は、企業の方向性と安定性に大きな影響を与える可能性がある[18]

法的要件

CFOまたはFDの選任は、法律によって義務付けられている場合がある。例えば、インドでは2013年会社法第203条の規定により、払込済資本金が1億ルピー以上のすべての上場企業は、常勤のCFOを置く必要がある。公共部門においても規定されることがあり、1990年に制定された米国の最高財務責任者法は、23の連邦機関それぞれにCFOを設置した。

資格

CFOおよびFDは、通常、米国公認会計士(CPA)あるいは公認会計士(CA)、公認管理会計士(CMA)、またはCIMAなどの専門的な会計資格と、それに付随する会計学の学士号または修士号を保有している。職務が税務や財務報告に及ぶため、これらの資格が指定されることが多い[19]。同様に、財務マネージャーもしばしば資格を持つ会計士である。

大企業では、CFOやFDが経営学修士(MBA)や財務学修士などの追加の大学院資格を保持していることも多い[20][21][22]。また、公認財務アナリスト(CFA)の資格も一般的である。これらの資格は、会計的な視点をより一般的なビジネス戦略、リーダーシップ、および金融市場の考慮事項で補完し、広範な財務および運営上の課題への対応力を高める。

参考文献

  • Steven Bragg (2020). The CFO Guidebook (4th ed.), AccountingTools, ISBN 9781642210484
  • Fabozzi, Frank (2008). The Complete CFO Handbook - From Accounting To Accountability. Wiley. ISBN 9780470099261

脚注

関連用語

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