フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)
From Wikipedia, the free encyclopedia
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(フタルさんビスにエチルヘキシル、Bis(2-ethylhexyl)phthalate)は有機化合物、フタル酸誘導体のなかでも最も主要な物質であり、フタル酸に分枝アルキルの2-エチルヘキサノールがエステル化した構造を持つ。一般には略号DEHP(Di(2-ethylhexyl)phthalate)が使用される。DEHPは無色の粘調液体で油に溶解するが、水には溶けず、可塑剤として良い特性を有している。DEHPは多くの企業により大量に生産されており、様々な別名を持ち、DEHP以外には、フタル酸ジ2-エチルヘキシル等であり、フタル酸ジオクチル(DOP)とされることもある。消防法に定める第4類危険物 第4石油類に該当する[1]。
| 物質名 | |
|---|---|
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) (BEHP) | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol) |
|
| ECHA InfoCard | 100.003.829 |
| KEGG | |
CompTox Dashboard (EPA) |
|
| |
| 性質 | |
| C24H38O4 | |
| モル質量 | 390.56 |
| 示性式 | C6H4(COOC8H17)2 |
| 融点 | -50°C |
| 沸点 | 385°C |

製造
利用
環境暴露
DEHPは蒸気圧が低いため、室温では揮発しにくい。しかし、DEHPを含むポリ塩化ビニル製品を加工するために、高温状態に処理した際、温度上昇に伴いDEHPは揮発し、周辺の環境に含まれるDHEP蒸気の濃度は上昇する。その結果、健康被害の危険が惹起される(ガス放出を参照のこと)。DEHPは食物や水から吸収される可能性があり、牛乳やチーズから相対的に高いレベルで検出される。またプラスチックに接触することで飲食物等に移動してくる可能性がある。その場合は食品容器のポリ塩化ビニルから食用油や脂肪などの非極性の溶媒に抽出される。アメリカ食品医薬局は飲料やスープなど液体容器にDEHPを含有する製品の使用を禁止している。土壌に関しては、水に溶けにくいのでDEHPは非常にゆっくりと広がってゆく。最終処分場に廃棄されたプラスチックからの拡散は一般にはゆっくりとしている。アメリカ合衆国環境保護庁は飲料水のDEHPレベルは6 ppbであると報告しており、アメリカのOSHAは大気中でのDEHP規制値を5 mg/m3と定めている。日本では 2002年に厚生労働省より、食品用の器具や容器包装およびおもちゃについてDEHPを原材料とするポリ塩化ビニルの使用を禁止する通知が出された[4]。
医療機器への利用
DEHPはかつて点滴のプラスチックチュープやバック、カテーテル、流動食チューブ、透析チューブやバック、血液バック、気管チューブ等の医療機器に可塑剤として利用されていた。そのため、患者はDEHPに曝露されていたと考えられている。特にNCUの未熟児や血友病患者や透析患者は注目されている。2002年6月にアメリカ食品医薬局はDEHPに関するPublic Health Notificationを発行し『男性の乳児、未熟児または男性胎児の妊婦にはこれらのリスク回避のためにDEHP不使用代替物の利用を推奨する』としている。DEHP不使用代替物はDEHP接触を避けるためと考えられる。
代謝
DEHPが代謝により加水分解されるとMEHP (フタル酸モノエチルヘキシル)を経由してフタル酸となる。遊離したアルコール成分は酸化により相当するアルデヒドやカルボン酸になると推定される[2]。
