逆遺伝学
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逆遺伝学(ぎゃくいでんがく、英: reverse genetics)とは、着目した遺伝子の発現を抑制あるいは亢進することによって起こる表現型の変化を調べ、その遺伝子の機能を解析しようとする研究手法である。従来の遺伝学と全く逆の手順を踏んでいることから、「逆」遺伝学と呼ばれる。ただし、ウイルス学の分野においては[1]、合成したウイルス核酸を使って、完全なウイルス粒子を人工的に作り出すことも reverse genetics と呼び、この場合の方法論は、他の生物のものとは異なる。
逆遺伝学は、ゲノム計画により塩基配列が網羅的に解析されたことから可能となった。一般に、研究者が破壊を試みる遺伝子は、他の生物で機能が明らかにされているものや、既知の因子と相同性の高いものが多い。
現在では、モデル生物を中心に、様々な変異体を逆遺伝学的に作製されている。
順遺伝学と逆遺伝学
基本的に分子遺伝学において、王道の研究方法とされるのが順遺伝学であり、その手法を順遺伝学的手法と呼ぶ。順遺伝学的手法はポジショナルクローニングとタギングに分類される。ポジショナルクローニングでは、まず野生型同士の交配から変異体を生み出し、他の遺伝子で起こっている変異を取り除くためもとの野生型と掛け戻しを繰り返し、単一遺伝子の変異体を選ぶ。その変異体同士を掛け合わせるなどして、2重変異体の表現型を観察し、遺伝子の相互作用を調べることで遺伝子地図を作成し、表現型に対する遺伝子の染色体上の位置を絞り込んでいく。一方、タギングでは、トランスポゾンを無作為に選んだ遺伝子領域に挿入して変異を起こし、そこから得られた表現型を観察したうえで、トランスポゾンの単離を行い、野生型への復帰を確認することで、表現型に対する遺伝子の位置を把握する。
分子遺伝学の進展により、逆遺伝学が生まれ、その手法である逆遺伝学的手法が登場した。この手法では、調べたい表現型に似た表現型をもつ他の生物の中で、その表現型の遺伝子が判明している生物を選び、その遺伝子を候補遺伝子とする。候補遺伝子と同祖的と考えられる配列ヵ所に対し変異を起こし、表現型の変化を観察し、形質転換による野生型への復帰を観察することで、その配列ヵ所が調べたい表現型の遺伝子であると同定する。この方法は、他の生物の既知の遺伝子を再発見しているだけで新規の遺伝子を見つけてくることができないという点が問題として挙げられる。