WEAPONS/ウェポンズ
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| WEAPONS/ウェポンズ | |
|---|---|
| Weapons | |
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| 監督 | ザック・クレッガー |
| 脚本 | ザック・クレッガー |
| 製作 |
ザック・クレッガー ロイ・リー マリ・ユーン J・D・リフシッツ ラファエル・マーグレス |
| 製作総指揮 |
ミシェル・モリッシー ジョシュ・ブローリン ピート・チアペッタ アンソニー・ティッタネグロ アンドリュー・ラリー |
| ナレーター | スカーレット・シェール |
| 出演者 |
ジョシュ・ブローリン ジュリア・ガーナー オールデン・エアエンライク オースティン・エイブラムス キャリー・クリストファー トビー・ハス ベネディクト・ウォン エイミー・マディガン |
| 音楽 |
ライアン・ホラデイ ヘイズ・ホラデイ ザック・クレッガー |
| 主題歌 |
『Beware of Darkness』 ジョージ・ハリスン 『Under the Porch』 MGMT |
| 撮影 | ラーキン・サイプル |
| 編集 | ジョー・マーフィ |
| 製作会社 |
ニュー・ライン・シネマ サブコンシャス ヴァーティゴ・エンターテインメント ボルダーライト・ピクチャーズ |
| 配給 |
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| 公開 |
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| 上映時間 | 128分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $38,000,000[3] |
| 興行収入 |
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| 次作 | Untitled Aunt Gradys Prequel Film |
『WEAPONS/ウェポンズ』(原題: Weapons)は、2025年製作のアメリカ合衆国のホラー映画。監督のザック・クレッガーが脚本とプロデュースを兼任。出演はジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、オールデン・エアエンライク ほか。
一夜で17人もの児童が忽然と姿を消した町で、行方不明になった我が子を捜す父親と、子どもたちの担任教師が事件の行方を追ううちに恐ろしい真相が浮かび上がる。
『WEAPONS/ウェポンズ』は当初、アメリカで2026年1月11日の公開を予定していたが、テスト試写が好評だったことを受けて配給元のワーナー・ブラザースは公開日を2025年8月8日に前倒しした[5][6]。
この映画は劇場公開前のキャンペーンとして、“ブレットクラム方式”を採用した。「まき餌」を意味するパンくず(=breadcrumbs)に例えて、映画の謎を仄めかすだけで、どういうジャンルかを明確にしないことで観客の興味を掻き立てたのだ[7]。アメリカ公開にあたり全米映画配給協会MPAの審査で、「激しい流血が伴う暴力と陰惨な画像、全編にわたる暴言、一部の性描写および薬物使用」を理由にR指定を受けた[8]。
『WEAPONS/ウェポンズ』は、本国アメリカの公開3日間で興行収入65億円(43,501,217ドル)を突破して初登場1位に輝き、口コミ効果から公開2週目、4週目と3度にわたって全米週末興行ランキング1位を記録した。この好調ぶりを受け、日本では2025年11月28日から緊急劇場公開することが、10月13日の各メディアで報道された[9]。日本での劇場公開時は、映倫の審査によりR18+(18歳未満の鑑賞禁止)区分に指定されている。
2025年をもって、ワーナー ブラザース ジャパンによる米国ワーナー・ブラザース洋画作品の国内配給業務が終了するため、この映画は同社最後の新作洋画配給作品となった。そのため、これまでの感謝を込めた入場者特典として、ワーナー・ブラザース映画シールドロゴステッカーが配布された[1][10]。
ストーリー
ペンシルベニア州の小さな町で、小学校1クラスの児童17人が深夜2時17分に家を飛び出して、そのまま行方をくらました。ただ1人の生徒アレックス・リリーを残して。失踪した生徒の保護者たちは担任の女教師ジャスティン・ギャンディを糾弾し、校長のマーカスはギャンディに休職を言い渡す。アルコール依存症のギャンディは寂しさから、昔の恋人で地元の巡査ポール・モーガンを呼び出し、夫婦関係が冷めていると話す彼と激しいセックスをしながら一夜を共にした。アレックスを案じるギャンディは彼の自宅を訪ねて、窓の隙間から家の中を覗くと、両親らしき人影が暗い室内に座っているのを見て不審に思う。その夜、車中からアレックスの家を見張っていたギャンディは酒に酔って眠ってしまい、家の中から出てきたアレックスの母親は、寝ているギャンディの頭髪をハサミで一房切り取って去って行く。
行方不明の生徒マシューの父親アーチャー・グラフは、マシューの同級生ベイリーの両親に会って、防犯カメラに記録されたベイリーが家を出て行く時の映像を見せてもらう。アーチャーは他の児童も家を出た後マシューと同じ方角を目指して走っていることに気付くが、目的地がどこなのか判明しない。ポールは町をパトロール中に、ホームレスの若者ジェームズが住居侵入を試みている現場を発見して過剰な暴行を加えるが、パトカーのドライブレコーダーにその現場が映ってしまったことに狼狽し、2度と現れないようジェームズに言い渡して開放する。麻薬中毒患者のジェームズは金品目当てでアレックスの家に空き巣に入り、地下室に行方不明の児童たちが集まっているのを発見。懸賞金5万ドル欲しさに、通報しようとしているところを再びポールに見つかり追いかけられる。ジェームズは警察が懸賞金をかけている子どもらを見たと話し、ポールのパトカーで問題の家に向かう。アレックスの家の中に招き入れられたポールはしばらく姿を現さず、夜になるとパトカーの中から突然ジェームズを引きずり出して、アレックスの家の中に連れ去って行った。
生徒たちが失踪した学校の校長室に現われた老婆グラディスは、アレックスの叔母だと名乗り、アレックスの親が病気のために家で世話をしていると話した。後日、マーカスの自宅に押しかけてきたグラディスは、マーカスの同性婚の男性テリーの頭髪をハサミで切り取り、棒に毛を巻き付けて何かのまじないを施すと、マーカスはテリーを襲って殺害する。グラディスはギャンディの頭髪を同じような呪術に使うと、走り出したマーカスはガソリンスタンドでアーチャーと口論中のギャンディを襲い、路上で自動車に轢かれて死亡した。ギャンディの窮地を救ったアーチャーは、自分の子どもや学校の子が走り去った方角の地図を見せ、ギャンディはその中心地にアレックスの家があることに気付いた。一連の事件は、アレックスの家にグラディスが引っ越してきたことが発端であると徐々に明かされて行く。
キャスト
- アーチャー・グラフ - ジョシュ・ブローリン[11]
- ジャスティン・ギャンディ - ジュリア・ガーナー[11]
- ポール・モーガン - オールデン・エアエンライク[11]
- ジェームズ - オースティン・エイブラムス[11]
- アレックス・リリー - キャリー・クリストファー[11]
- マーカス校長 - ベネディクト・ウォン[11]
- グラディス - エイミー・マディガン[11]
- エド・ロック - トビー・ハス[12]
- アレックスの父 - ホイットマー・トーマス[12]
- アレックスの母 - キャリー・シュテラ[12]
- ドナ・モーガン - ジューン・ダイアン・ラフェエル[12]
- ベイリーの母 エリカ - サラ・パクストン[12]
- ベイリーの父 - ジャスティン・ロング[12]
- アーチャーの妻 - メリッサ・ポンツィオ[12]
- マシュー - ルーク・スピークマン[12]
- 酒屋の店員 - ロニー・マシュー[12]
- ガソリンスタンドの店員 - フィディラス・シングルトン[12]
- 語り部 - スカーレット・シェール[12]
スタッフ
- 監督 - ザック・クレッガー[11]
- 製作 - ザック・クレッガー[11]、ロイ・リー[11]、マリ・ユーン[11]、J・D・リフシッツ[11]、ラファエル・マーグレス[11]
- 製作総指揮 - ミシェル・モリッシー[11]、ジョシュ・ブローリン[11]、ピート・チアペッタ[12]、アンソニー・ティッタネグロ[12]、アンドリュー・ラリー[12]
- 脚本 - ザック・クレッガー[11]
- 撮影 - ラーキン・サイプル[11]
- 編集 - ジョー・マーフィ[11]
- 音楽 - ライアン・ホラデイ[11]、ヘイズ・ホラディ[11]、ザック・クレッガー[11]
- 美術 - トム・ハモック[11]
- 衣裳デザイン - トリッシュ・サマーヴィル[12]
- キャスティング・ディレクター - アリソン・ジョーンズ[12]
- 特殊メイク - ジェイソン・コリンズ[12]
- 特殊効果 - ヴィクター・カークスライガー[12]、リッチー・ベアデン[12]
- 視覚効果 - イルダナス・アイト=フェラ[12]
- スタント・コーディネーター - ローレンス・チャベス[12]
- スペシャル・サンクス - デヴィッド・フィンチャー[12]
製作
ザック・クレッガーは、脚本と監督を務めた2022年のホラー映画『バーバリアン』が予想外のヒットを収めた後、『Weapons』と題したスペック・スクリプト(※発注者のいない脚本)を書いていた。2023年1月には複数の映画スタジオが、どんな内容なのかも分からないこの作品に熾烈な入札合戦をしていた。ヒット作『バーバリアン』同様、一切の謎を伏せたホラー映画という戦略が各社の興味を惹いたのだ。同年1月25日に『ハリウッド・リポーター』が、慌ただしい交渉を経てニュー・ライン・シネマが映画化の権利を獲得したことを報道した[13][14]。
この脚本にはトライスター ピクチャーズ、ネットフリックス社、ユニバーサル・ピクチャーズも興味を持っていた。ネットフリックスはニュー・ライン社よりも多くの前払い金を払える用意があったが、『エルム街の悪夢』シリーズや『ファイナル・デスティネーション』シリーズ、『死霊館』ユニバースなどでホラー映画の実績があるニュー・ラインの方が有利に働いた。『Weapons』のあらすじなど未公開ではあるが、ホラーとスリラーを融合させたようなストーリーとされている[15][16]。

そもそもザック・クレッガーが、この脚本を書くきっかけを作ったのは、友人の死だった。「『バーバリアン』の製作中に親友のトレヴァー・ムーアが酷い事故で突然亡くなったんです。悲しみを乗り越えようと、2週間ほど猛烈な勢いで脚本を書き始めた。最初の文は“これは実話だ。故郷の半分の子どもが突然いなくなった”というもので、子どもたちは何処へ行ったのか? 最後に何が残されるのか? 何も分からない。そんな状態で、とにかくこの事件が解決できるのか試してみようと思いながら書きました」と話した。クレッガーは、行方不明になった生徒たちを抱える担任教師、消えなかった唯一の児童、消息不明の息子を捜す父親、麻薬中毒のホームレスなど、『ウェポンズ』の登場人物たちをまとめた70ページの脚本を書き上げ、結末を決めてからマネージャーの家に急いで向かった。登場人物たちのヒントにしたのはポール・トーマス・アンダーソン監督の群像劇『マグノリア』(1999年)だとクレッガーは語っている。小学3年生の男児アレックスからの視点を描く章は、自身の少年時代を反映させた。「子どもの頃、まさにアレックスと同じ立場を僕は経験しているんだ。薬物依存の父親を持ち、その世話をしなければならない辛さを」。そしてクレッガー本人もアルコール依存症を経験し、10年間禁酒しているため、主人公である女性教師のキャラクターにとても共感していると話した[17]。
なお、完成した映画のエンドクレジットには、デヴィッド・フィンチャーへの賛辞が添えられている。これに関してクレッガーは「デヴィッド(フィンチャー)はとても親切な人で、映画の準備期間からポストプロダクションの段階までも、親身になって相談に乗ってくれたんです。編集した映画に目を通し、建設的な意見と沢山のアイデアを出してくれました。『バーバリアン』の頃には持てなかった、新しい視点での編集に目を開かせてくれたんです。彼のおかげで本当に視野が拡がりました」と語っている[18]。
オープニングタイトルで「Weapons」のO(オー)の中に△が入っており、エンドクレジットにも三角形が現われる。これはアルコール依存から立ち直るための相互援助グループ “アルコホーリクス・アノニマス”のロゴマークを模したデザインで、主人公のジャスティン・ギャンディや禁酒中のポール・モーガンなど作中の登場人物たちがアルコール依存症に陥っている(または過去に苦しんでいた)ことを表わしている[16]。
キャスティング
2023年5月に速報として、『ワンダーウーマン 1984』(2020年)で知られるペドロ・パスカルが『ウェポンズ』に主演すると報じられ[19]、さらにパスカルの相手役としてレナーテ・レインスヴェ、他にブライアン・タイリー・ヘンリー、オースティン・エイブラムス、ジューン・ダイアン・ラフェエル、トム・バークなどがキャストとして発表された。2023年7月のニュースによると、エリザベス・オルセンとルーニー・マーラもオファーを受けたが出演を断ったとされている[20][21]。
2023年のハリウッドの労働争議は、全米映画俳優組合と映画・テレビプロデューサー連盟の争いで勃発したストライキから業界全体の停滞を招き、その影響を受けてペドロ・パスカルのスケジュール調整が困難になった。彼は行方不明になった子どもの父親役だったが、このキャラクターはパスカルからジョシュ・ブローリンに変更された。続いてレナーテ・レインスヴェ、ブライアン・タイリー・ヘンリー、トム・バークも降板することになり、麻薬中毒のホームレス役でキャスティングされていたオースティン・エイブラムスだけは留まった。監督のクレッガーは「こういうことって、よくあるんですよね。ストライキで誰かのスケジュールが合わなくなると、次々と他のキャストにもそれが伝播して、結局(キャスティングが)振り出しに戻ってしまう。誰に対しても怨みはありませんが、ドミノ倒しみたいに不幸が重なったんです」と語った[22]。
2024年4月、ジョシュ・ブローリンの共演者としてジュリア・ガーナーが『ウェポンズ』に出演すると報道された。Netflix配信の犯罪ドラマ『オザークへようこそ』(2017年)で注目を浴びたガーナーは、この当時も『ローズマリーの赤ちゃん』の前日譚『7A号室』(2024年)のポストプロダクション中で、さらにマーベルヒーロー映画の『ファンタスティック4』にも出演が決まり、大手スタジオの仕事獲得に前向きな点を頼られた。同じく4月にオールデン・エアエンライクもキャストに加わった。2人はそれぞれレインスヴェとバークが演じる予定だったキャラクターに扮する[23][24]。
同年5月2日にはベネディクト・ウォン、エイミー・マディガン、キャリー・クリストファーが新たにキャストに加わった。ウォンは降板したブライアン・タイリー・ヘンリーが演じる予定だった校長役となる。キャスティング初期段階から名前が発表されていたジューン・ダイアン・ラフェエルは、降板せずに引き続き出演する[25][26]。

本作の黒幕キャラクターのグラディスは特に重要な人物であるため、クレッガーは「グラディスが上手く描けなければ、この映画は成功しない」と考え、長い候補者リストを作成した。あるスタッフがメリル・ストリープを推薦した時、クレッガーは「確かに彼女は素晴らしい俳優だけど、それでは映画が台無しになるだろう」と話し、『フィールド・オブ・ドリームス』(1989年)を観て以来ファンだったエイミー・マディガンの名を目にした瞬間、「総てがカチッと嵌まった」という[27]。
クレッガーはグラディスのキャラクターに関する2つのヒントをマディガンに与え、どちらかを本人に選ばせた。ひとつは、不治の病を克服するため最後の手段として黒魔術に頼った普通の人間、もうひとつは人間のように振るまっている人ならざる生き物で、人間たちの前では老人っぽい容姿に偽装するため極端な化粧とウィッグを使っているという案だ。「エイミー(マディガン)に、2つの選択肢を提示して、“どちらか選んでください。別に僕に教えなくていいけど、どちらかね”と伝えました。だからエイミーがどっちの解釈で演技をしたのかは知らないんだ」とクレッガーは語った。グラディスはアレックスを操って多くの子どもを連れ去り、子どもの生命力を吸い上げることで自らの生命力と若さを保っているキャラクターだが、クレッガーはグラディスの設定や背景については解釈の余地を残しておきたいとオープンに語っている[28]。しかしグラディスの正体に関わる伏線は途中にあり、アレックスの両親と話がしたいというマーカス校長に対し、グラディスがアレックスの親は「“consumption”=労咳(ろうがい)」を患っていると、現代では使われていない結核の古い呼び名を口にしており、これにより彼女が何世紀も生きていることを示唆している[16]。
撮影
物語の舞台になっているメイブルックという町は架空の名称だが、実際のロケ地はジョージア州アトランタである。主要な撮影は2024年5月からアトランタで始まった[29]。
集団失踪事件が起きた小学校は、アトランタ郊外のジョージア州タッカーにある、ブロケット小学校でロケを行なっている。最も大がかりな撮影日には170人以上の子どもが動員され、撮影時間外で子どもたちが快適に過ごせるよう児童労働コーディネーターが配置されていた[16][29]。血まみれのベネディクト・ウォンが、ジュリア・ガーナーに襲いかかるガソリンスタンドのシーンは、同じくジョージア州のコビントンにあるガソリンスタンドと、そこに隣接するコンビニエンスストアで3日間をかけて撮影された[29]。
ラストシーンの脚本は、グラディスが玄関から逃げ出すと、子どもたちが次々と窓から飛び出し、芝生の上でグラディスを捕まえるという内容だった。しかしクレッガーは、ここを笑えるシーンにしたかったため、もっと工夫した方が盛り上がって映画は良くなると考えた。すでに費用はオーバーしていたが、ラストバトルを盛り上げるためにクレッガーは私費を投じている。「あそこはもう一度撮り直したっていい。だってあのシーンは観客の皆を笑わせるんだから。この辛い道のりの終わりに、皆を笑顔にしてくれる最高のシーンだからね」とクレッガーはこだわりを語っている。子どもたちに追いかけられる撮影現場には、エイミー・マディガンのスタントマンが待機していたが、自分で走るつもりだったマディガンは「あの人、ここで何をしている人なのかしら?」と思っていた。クレッガーは怪我をしたら大変だからと何度も説得したが、マディガンは「大丈夫、走れるわよ」と言い、叫びながら全力疾走するグラディスを観客の脳裏に刻み込んだ[30]。子どもに追いつかれたグラディスが転倒する瞬間だけ、スタントマンが担当している。映画の撮影は2024年7月に終了した[16]。
興行
反響
2024年7月にロサンゼルスで『ウェポンズ』のプレミア上映を開催した時、クレッガーは「彼女はこの映画の心臓であり、まさに僕の夢が叶いました」という賛辞と共にエイミー・マディガンを紹介した。映画の公開後にグラディスが注目されたことにより、マディガンは「ザック(クレッガー)とスタッフは、公開日まで私のキャラクターを極秘にするという戦略を取ってくれました。この映画とグラディス役を誇りに思っていますが、まさかこんなに爆発的な人気になるなんて予想もつきませんでしたね」と反響の大きさに驚きを見せた。75歳にして住宅地を全力疾走したラストシーンの撮影にも言及し「凄く興奮したわ。ザックがスタントマンを用意しているからと言ってくれたけど、“いやいや、私がやるから”と断ったの。シャーリーズ・セロンみたいなスーパーヒーロー役じゃなかったけれど、信じられないぐらい楽しかった」と思い出を話している[32]。
『ウェポンズ』が全米の話題になり、謎めいた“グラディス叔母さん”に注目が集まったことで、監督・脚本を務めたクレッガーは「そうなることを祈っていました」とインタビューで心境を話した。「実は何年も前にグラディスの原型になる話を書いていたんです。子どもの視点から書かれた脚本で、ある狂った女が小学校に主人公の男児を迎えに来て、自宅に連れ帰り、彼の両親を支配してしまう。男児は狂人の女の支配から抜け出す方法を考える、という話だった。今回『ウェポンズ』の脚本を書き始めた時、姿を消した子どもたちが何処へ行ったのか分からなかった。50ページほど書き進めていた時に、ずっと昔に暖めていたあのアイデアが蘇り、“この話にぴったり合うな”と思いついたんです」。グラディスが使う魔術は、映画『ゾンビ伝説』(1988年)の原作になっている小説『蛇と虹』と、イギリスのバンド、ザ・メコンズの楽曲『Dancing in Your Head』から着想を得たという。「メコンズの歌は、ゾンビの作り方を説明したマニュアルみたいなものなんだ。いつか自分だけのクレイジーなブードゥー教の儀式で操るゾンビを作りたい、そう思っていた。『ウェポンズ』は、それを実現するチャンスだったんです[30]」。
アメリカ本国での記録的な大ヒットを受けて、日本公開日の2025年11月28日に、初出カットを含む2パターンのTVスポット『ヒミツ知りたい?編』と『このナゾ解ける?編』が解禁された。ナレーターは声優の大谷育江が担当している[33]。同日、映画監督の樋口真嗣、映画パーソナリティの伊藤さとり、映画プロデューサー川村元気など各界のクリエイターの感想コメントと共に、ファイナル予告編も公開された[34]。
批評家から絶賛されている『ウェポンズ』は、ワーナー・ブラザースとニュー・ライン社から続編の期待が寄せられ、まだ契約されておらず製作時期も未定だが、グラディス叔母さんに焦点を当てる前日譚になりそうだとのこと。『ウェポンズ』は複数の章で物語が構成されていて、クレッガーはグラディスとその背景を掘り下げた章を用意していたものの、そのシナリオの長さから大部分を割愛している。前日譚は、この失われた章を拡張する形で長編になる予定と報じられた。「これは『ウェポンズ』が大ヒットしたから前日譚を思いついたわけじゃありません」とクレッガーは語る。「映画が公開される前から、このアイデアは頭の中にあったんです。ワーナーとも実現に向けて話をしているので、嘘じゃないですよ」[35][36]。
クレッガーは2025年9月の『エンターテインメント・ウィークリー』のインタビューの中で、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019年)や『ゴジラvsコング』(2021年)の脚本を担当したザック・シールズと共同作業で、若い頃のグラディスにスポットを当てた前日譚を進めていることを認めた。「まだ書き上げていませんが、ストーリーは頭の中にもう出来上がっています。初期段階だし詳しいことは話せませんが、もう1人の才能ある脚本家と親友と取り組んでいるところで、素晴らしい作品になると思います」と語っている。この時のインタビューで、前に報道された“『ウェポンズ』のシナリオからカットされた部分の映画化”の話を否定し、違う内容だと明かした[37]。
2025年12月8日、エイミー・マディガンはこの映画でゴールデングローブ賞にノミネートされたことを受け、『ピープル』誌のインタビューで、長い年月を経て再び認められたことが本当に嬉しいと心境を明かした。マディガンが同賞にノミネートされたのは、1989年のTVムービー『沈黙の裁き』以来、36年ぶりのことであった。同時に2025年のアメリカのハロウィンで、グラディス叔母さんのコスチュームに扮した人の多さにも触れ、「多くのゲイ・コミュニティやドラァグクイーンのコミュニティ、それからストレート・コミュニティの人たちや子どもまでもがグラディスに扮していました。まぁ、子どもが観ても大丈夫なのかはさて置いても、全く予想外の出来事でした。幅広い人たちから好まれたという意味で、彼女は普遍的な魅力があるんでしょうね」と話した。この時のインタビューで、クレッガーが構想中だという『ウェポンズ』前日譚について「実現したら嬉しいですけど、私は映画のビジネスに無関係な立場ですから、どうなるかは見守るしかありませんね」とも語っている[38]。
評価
レビューアグリゲーターのRotten Tomatoesでは358人の批評家レビューにより93%の肯定的評価を集めた。同サイトの総評は「ザック・クレッガーは『ウェポンズ』で、恐ろしい謎とスリル満点の陰謀を描き出し、ホラー映画の巨匠としての地位を確固たるものにした」というものだった[39]。加重平均を用いるMetacriticでは、48件の批評家レビューに基づいて81/100点という高スコアを記録し、「普遍的な賞賛」の評価を与えた[40]。
Rotten Tomatoes公認の映画評論家グラン・ワトソンは、「登場人物は魅力的で、中心となる謎は非常に印象的ですが、最初の1時間は観客の忍耐力を試す酷く退屈なものです。クライマックスでの謎の見返りは途方もなく大きいですが、それが時間をかけた価値を充分に満たすか否かは議論の余地があります」と、物語のエンジンがかかるのが遅いと指摘し、「率直に言って編集を上手く調整すれば、もっと高いレベルに到達できたはずだ。詳細を伏せた映画のマーケティングも、編集と同じぐらい責任がある。こうした欠点とテンポの悪さが『ウェポンズ』の真価を阻んでいる気がします」と批評している[41]。
『ロサンゼルス・タイムズ』のエイミー・ニコルソンは、登場人物の構成に着眼したレビューを寄せた。「ジュリア・ガーナーは、神経質で物静かな女教師ジャスティンのキャラクターを巧みに演じている。そして彼女の身の上に次々と起こる悲劇は、全く超自然的なものではない」と綴るニコルソンは、張り込みをしている最中に酔って眠ってしまう、元カレとの性交でエイズキャリアかも知れない精液を注がれる、不倫相手の妻から酒屋で攻撃されるなど、「普通の脚本ならジャスティンを中心に据え、彼女が犯す数々の失敗の果てに、窮地を救われるまでの過程を観客は楽しむことになる。しかしクレッガーはそうせず、他の登場人物たちを加えている。警察官ポール、ホームレスのジェームズ、ピエロのような化粧をしたグラディスがこのアンサンブルを完成させ、イタリア映画のジャッロの要素を加味した」と、人物配置を評価しながらも、全体的には不満だと述べた。「エンディングは力強く、満足感に満ちているが、映画館を出る時にあらゆる点で不満は残る。アーチャーが走る子どもたちを追尾ミサイル(兵器)のようだと表現する以外には意味がないようなタイトル、空に浮かぶライフルのイメージ、ジャスティンやアーチャーが見る夢の意図、そしてエンドクレジットに現われる何かの象徴らしき三角。勿論、総ての質問に対して答えが与えられるわけではない、という論理は好きだ。クレッガーがこれからも質問を投げかけてくれることを願う」とニコルソンは結んでいる[42]。
『サンフランシスコ・クロニクル』のボブ・ストラウスは「何よりも素晴らしいのは、クレッガー監督があらゆる側面に於いて、これまで以上に巧みなコントロールを見せていることだ。キャスティングから物語のテンポ、そして映画の謎めいた展開へ観客を引き込むまで、クレッガーは独自の手法で物事を描き、まるで自分の身に起こっているかのように感じさせる。クレッガー監督の数あるユーモラスな演出の中で最も繊細なのは、マーベル映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で宇宙の半分を消滅させたサノス役の俳優に、これほどまでに心優しい”子どもの捜索者“を演じさせた点だ」と、クレッガーの演出手腕を絶賛し、こう続けた。「大胆かつ巧みに計画された構成上の仕掛けとして、物語の時間を巻き戻すことで、7人の主要人物それぞれの視点から事件の全貌を解きほぐし、最後の種明かしへと進んで行く。クレッガーは唯一無二の、際立った才能の持ち主です」[43]。
『オースティン・クロニクル』の記者リチャード・ウィテカーは、肯定的な文脈で『ウェポンズ』は映画ではなく ジグソーパズルだと語った。「例え順序通りでなくとも、パズルのピースを組み合わせて行くうちに輪郭は浮かび上がる。答えよりも数々の穴の向こう側に謎が多く積み重なるだろう。そして最後のピースが嵌めこまれる瞬間まで、何となく全体像の想像はつくにしても、疑問は多く残る不気味な謎のままなのだ。物語の完成度が高く、満足の行く結末へ辿り着く『ウェポンズ』は、パズルを全クリアした後でも、箱を振り回してもう1度試してみたくなる作品だ」と賛辞を送った[44]。
ガイアナの日刊紙『スタブローク・ニュース』のアンドリュー・ケンドールは「クレッガー監督は恐怖の具体的なイメージを喚起する手法に長けているが、その一方で無関係なジャンプスケアに頼りがちだ。児童失踪事件の真相が明かされる場面ですら、悪役の理論的根拠が曖昧で掘り下げられないため、その魅力は薄れている」と評し、「小さな町で17人の子どもたちが1ヶ月以上も行方不明になる。そこには描き込むべき緊迫したドラマが山ほどあるのに、クレッガーは感情的な文脈を掘り下げずに放置している。映画の結末は好奇心を掻き立てる興味深いものになるものの、心に残るものはほとんどないように感じられる」と結んだ[45]。